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転生したらビーデルの妹だった件

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第六話

最近パパがまた調子に乗ってます。

なんと先日の地球規模の異変を止めたのはパパのおかげと言う事になっているらしい。

と言う事で今日記者会見をするそうだ。

それもまたパパが地球を救った事にするそうだ。

そのホラもここまで突き通せるのなら身内ながら大したものだよ。

「モンテ、準備出来てるか。行くぞ」

「はいはい」

ママが死んでいる為かパパはこう言う式典に結構わたし達を連れまわしたがる。

以前はビーデルが居たので被害は半分半分だったのだが、ビーデルが家を出てからはわたし一人に回ってくるのです。

記者会見会場にパパと一緒に青のマーメイドドレスを着て降り立つと、周りはすでにサタンファンに埋め尽くされていた。

もうパパの大法螺大爆発。

うんうん、今日も絶好調だ。

と、そんな時空からまさかの宇宙船が降りて来た。

宇宙人が現れたと言うのにこの世界の人は結構驚かないものだな。もっとパニックになるかと思ったのに。

現れたライオンの様な姿をした宇宙人はパパを破壊神ビルスを退けた英雄として勲章を贈りたいそうだ。

それを調子のいいパパは当然と受け取ってしまう。

うん、そんな事をしているとその内バチが当たるよ?

と、そのバチはすぐに降りかかったようで、宇宙船から新たに現れた巨漢のライオンの宇宙人がパパと戦いたいと言い出したのだ。

「よろしい、だが私への挑戦はこの私の娘を倒してからにしてもらおう」

「ぱ…パパ?」

「モンテちゃん、お願いだよぅ、パパを助けると思って」

最近パパは娘たちの異常な強さを自覚したようで、虚勢を張る時に傍に居るとこういう事も多々あった。

「もう、今度何か奢ってもらうからね」

「あ、ありがとうモンテちゃん」

『おっと、対戦者はミスターサタンの娘、皆さまご存じモンテちゃんのようです』

記者が勝手に実況を初め、いつの間にか宇宙人の技術か武舞台が用意されていた。

「こんな小娘なぞと戦えと言うのかっ」

「んー…じゃやっぱパパ頑張ってっ!」

「モンテちゃんっ!お願いっ」

パパ、涙目で娘に懇願するってどうなのよ…

「一撃で終わらせてやる」

拳を握りしめ振り上げるとモンテ目がけて振り下ろす。

左手を前に出して肘で拳を受け止め、力を武舞台へとにがすと、ガルビと名乗った大柄なライオンの宇宙人は驚愕の表情を浮かべた。

スルリ。

スカートの中からマーメイドドレスの切れ目に覗く猿の様な尻尾。

「な…ま、まさか…サイヤ人…なのか?」

「…一応」

「ひぃいいいいいいっ!?」

ガルビは全身を震え上がらせると宇宙船へと直行、他の搭乗員を置いてでも離陸の準備を始めてしまい、うやむやの内に終わってしまった。

サイヤ人…未だに悪名を轟かせているなぁ…


しばらく穏やかな時間が続き、ついにパンちゃんが生まれました。

あまりの可愛さに週七で会いに行ってます。え、毎日じゃん?瞬間移動出来るから実質移動時間なんてないし、隣の部屋に行く程度の感覚しかないですよ?

「うー、あうー」

ベビーベッドに寝かされているパンちゃん。

動く物が気になるのか、尻尾を振っているとすごく喜んでいる。

わたしの尻尾が掴めないと分かると自分の尻尾に噛みついていた。

そう、このパンちゃんには尻尾があるのだ。

夜泣きで疲れている為か、ビーデルは結構昼間訪れるわたしにパンちゃんの面倒を見るようにお願いして来る。

まぁ可愛いからいいんだけどさ。

「べろべろべろばぁ~」

わたしよりもかわいがる髭もじゃの男。

「きゃっきゃ」

「パンちゃんはおじいちゃんの事がだいちゅきですからね~」

おじいちゃん?ちょっと気持ち悪いですよ。年を考えて。

「あー、パンちゃんはパパの方が大好きなんです」

パンちゃんにメロメロなパパと、学会から帰って来た悟飯くんがパンちゃんの取り合いを始めてしまうがいつもの事。

「そう言えばパンちゃんってサイヤ人のクォーターになるのかしら?それとも四分の三?」

「あ、それはボクも気になってました」

と悟飯くん。

「まぁわたしとビーデルは多分わたしの悪ふざけでドラゴンボールに願った結果なんだけど…」

「フュージョンで記憶が曖昧なときね。と言うか今更なんだけど、モンテの存在が一番のなぞね。ドラゴンボールを知っていた事しかり超サイヤ人しかり、フュージョンもね」

「…ズノー様に教えてもらったんで」

前世の記憶が云々は未だに言えないでいる。

こう言うと何か思っていても皆だまくらかされてくれるから好き。

「特徴だけ見ると完全にサイヤ人だけどね。黒髪黒目、尻尾もあるし。ほら悟空さんとベジータさんみたいな純血サイヤ人にそっくりでしょう?」

「確かに」

「でも尻尾があると大猿に変身するのよね」

とビーデル。

「それじゃ思いきって切っちゃいます?」

「あ、そうか悟飯くんも子供の頃は尻尾が生えてたんだっけ」

「はい。いちいち満月で大猿になる訳にもいかないですしね」

「私、満月って一回も見た事無いのよね。映像ではあるわよ?でも子供の頃は有ったはずなのに絶対にモンテが邪魔してきて」

「本当に見なくて良かったです…」

ビーデルの言葉に悟飯くんがため息を吐く。

「モンテさんはサイヤ人には詳しいみたいですが、切ろうと思わなかったんですか?」

「むしろ詳しいから切らなかった」

「は?」

「わたしは変身と言う行為に憧れていたの。それはもう産まれる前から」

「産まれる前って」

あきれ顔のビーデル。だが事実だ。

「わたしにしてみれば大猿も変身の一つだし、超サイヤ人4は尻尾が無いとなれないからね」

「だから父さんでも変身できないんですね」

「そう言う事」

今のままでは悟空さんは天地がひっくり返っても超サイヤ人4には変身できない。

「まぁでも別に切る必要は無いんじゃない?」

「確かに有れば便利だし、無ければ無いで不便だしなぁ」

ああ、ビーデル結構尻尾でドライヤーやら髪を梳いたりやらしてるものね。

もはや三本目の腕のようだ。

「でもパンちゃんには大猿はやっぱり危ないですし」

「悟飯くんは切った方がいいと思っているんだ」

「ボクは無くても困ってませんしね」

「でも親のエゴで選ばせてあげられないのはなぁ」

とビーデル。

「そもそも月って直ってたっけ?」

「「あっ!」」

悟飯くんが大猿になった時に破壊されて以降再生されて無いよ。余りにも満月に過敏になりすぎて見ないようにし過ぎてない事を忘れていたらしい。バカばっかなサイヤ人達だった。

それから再開されるパパと悟飯くんのパンちゃん争奪戦。

空中に投げられてはキャッチされる間の奪い合いに発展するも、さすがにサイヤ人の血が濃いのか笑っているパンちゃん。

そこに様子を見に来たチチさんが乱入。

バカどもからパンちゃんを強奪すると部屋の奥に立てこもってしまった。

立てこもりの理由がパンちゃんには武道家になってサタンの後を継いでもらうと言う会話がきっかけでおしとやかなレディになってもらいたいチチさんに火が付いたようだ。

どっちも大人のエゴだし、パンちゃん本人が決める事だとはわたしは思うのだけど…

「なぁビーデルさも思うだろ、こっただアホ娘に育っちゃったらパンちゃんがかわいそうだ」

なぜかこちらを指さすチチさん。

「アホ娘って…一応あなたの義娘の妹なんだけど…もっと言うと双子なんだけどな…」

立てこもりの方に連れてこられたわたしはさらになぜか説得に現れたブルマさんとヒートアップしていくチチさんとブルマさんママさん談義もしくはサイヤ人を旦那に持つ会に巻き込まれた上にアホ娘扱いである。

「わたし、泣いてもいいよね?」

ライフがゼロになったわたしはブウさんの気を頼りに瞬間移動で飛んで帰ってベッドで号泣していましたとさ。


最近体の調子が悪い。

「ぐぅ…」

突然心臓がキュと締まったかと思うと急に体の自由が利かなくなったりする。

一応数分程度で収まるのだが、何かの病気かと検査したが地球の医学では原因が分からず。

どうする事も出来ずにまた体の不調に苦しんでいる。

「はぁ…はぁ…ぐぅ…」

今回は長いなぁ…

ズルっと体の力が抜けて転げ落ちた。

「モンテっ!いったいどうしたのっ!」

そう言えば、パンちゃんに会いに来ていたんだっけ…

「はぁ…はぁ…大丈夫…大人しくしていれば治まるから…」

「救急車っ!」

「無駄だから…ね?」

それだけ言うと余りの痛みに意識を失った。


気を失っているモンテを心配するように取り囲むのは悟空一家と悟飯一家、ブルマとトランクス、何だかんだでピッコロも居る。一番うろたえているのはやはりミスターサタンだろう。

「ブウの治癒能力も効かないんですね」

「うん、体、どこも悪くない」

悟飯の問いにブウが答えた。

「モンテ、死んじゃうのか?」

「大丈夫ですよ、皆で考えればきっと…」

ブウの弱々しい問いかけに勇気付けるように悟飯が言った。

「モンテ…」

「うわわぁぁああん、モンテーーーーーっ!」

「パパはもう少し落ち着いて、うるさくてモンテが起きちゃうでしょう」

ビーデルがサタンを宥めているが彼女自身が泣きそうだ。

「確かに、呼吸は正常です」

「そうね。色々調べてみたけれど確かに体に異常は無いみたい」

「異常がねぇのに何でモンテは苦しそうなんだ?」

悟空がどういう事だとブルマに問いかけた。

「それがまったく分からないのよね」

ブルマが調べた結果も体には特に異常がない。

体に異常は無いが確かにモンテは衰弱していた。

「ドラゴンボールを使うってのはどうだ?」

「それです父さんっ!」

「ダメよ」

と悟空と悟飯を止めるブルマ。

「なんでだ?」

「もうそれしか方法が…」

「だって理由が分からないんだもの、いったい何てお願いするつもりなのよ」

「そりゃおめぇモンテを健康な状態に治してくれってよぉ」

「彼女、体は健康なのよ。それ以外の何かが彼女を蝕んでいる。その原因が分からなければドラゴンボールでも治らないわ」

「クソ…お手上げか…」

「せめて理由がはっきりしていればね」

「そう言えば」

と言ったビーデルに一同の視線が向かう。

「いつもモンテちゃんが言い訳に使っているズノー様って」

「ズノー様?」

とブルマ。

「何でも知ってる宇宙人らしいんだけど、あ、そう言えば地球からはそれほど遠くない所に居るんだって。そのズノー様に聞く事が出来れば」

「アホ娘のホラ話では無いのか?」

「そうかも知れないけど、もうそれくらいしか頼れるものが…」

「ピッコロさん、あまりビーデルさんを責めないで下さいよ」

「悟飯…俺は別に責めてる訳じゃ無いのだが」

「どの道どこに居るのかもわからない宇宙人に会いに行ける訳ねぇべ」

「あ、そう言えば」

「どうしただ?」

チチの言葉で何かを思い出したブルマは携帯電話と取り出しどこかに電話を掛けている。

「あ、お姉ちゃん。そう、そうアイツ今どこにいるか分かる?うんそう、ちょっと急用でね。うん、あ、ありがとう」

「誰に電話してんだ?」

「ちょっとね」

悟空の問いをはぐらかし待つこと数十分。

空から宇宙船に乗った何者かが現れブルマはその何者かと飛び去って行った。

数時間経って帰って来たブルマは再び深刻な顔をしている。

「なんか分かったんかっ!」

「一応ね」

「むしろ俺はアホ娘のホラが本当だった方がビックリだが」

「ピッコロさんは黙ってて下さいっ!」

「むぅ…」

悟飯にたしなめられて唸るピッコロ。

「どうやらね、モンテは神の気とサイヤパワーのバランスが崩れた上でその両方がせめぎ合っている状態みたいなの」

「神の気だぁ?まさか超サイヤ人ゴッドと同じヤツか」

「それ以上ね。この娘、あなたがビルスさまと戦った時世界崩壊の危機を止めたでしょう?その時大量に吸収した超サイヤ人ゴッドのパワー、そしてビルス様から放出されていた破壊エネルギーを吸収した上で超サイヤ人4なんてものになっていたの。そして体の中から排出できずに残ったエネルギーが活性化して苦しんでいるのよ」

「何とかなんねぇのかっ!オラ昔コイツに命救われてっからよ。何とかしてやりてぇんだ」

「いや、話を聞くに悟空さはモンテさに殺されてんだぞ」

「それでも生き返らしてくれたのもモンテだかんな、だから何か手があるなら何とかしてやりてぇ」

「残念だけど孫君じゃ無理ね。どうにか出来るとしたらウィスさんくらいかしら」

「いいっ!?そんなぁ…ウィスさんってのはビルス様と一緒に居た人の事だろ?今どこにいるのか…気も読めなかったしな」

「タイミングよく恐らくそろそろ地球に来る頃だとは思うのだけれども…」

「ええ?どうしてそんな事が分かるんですか?」

と悟飯。

「私、ウィスさんとは友達だから。たまに会ったりしているのよ?」

「「「「えええっ!?」」」」

「そうですねぇ、わたし達友達ですからねぇ」

「ウィスさんどっから…」

何処からともなく現れたウィス。

「いえいえ、ちょうど今日はブルマさんの所にお伺いしようと思ってましたので…ところでそちらのモンテさんですが」

「そうだったっ!いきなりモンテが苦しみだしてよ。ウィスさん、どうにかなんねぇか?」

と悟空。

「ふむ」

「後で美味しい物ありったけあげるからお願いウィスさん」

「今回も期待していますよぉ。まぁその駄賃くらいならばっと。ほい」

ブルマの一押しでウィスが動きモンテの体を軽く杖で小突いた。

「かはっ……スゥ…」

苦しそうにしていたモンテの寝息が聞こえる。

「これで治ったんか?」

「いえ、私はほんのちょっとモンテさんの体の中をめぐる神の気を調整しただけ。もう一つ暴れているものが有りますがそっちは私ではどうにも」

「ちょっと、何とかならないのっ!?」

とブルマ。

「ふむ…こればかりはモンテさん自身に克服していだだけなければ。そのお手伝いくらいなら出来ますけどねえ」

「お願いします、モンテちゃんを治してください、お願いします」

ウィスに懇願するビーデル。

「仕方ありません。美味しい物はまた今度と言う事で私は一度モンテさんを連れて帰ります」

モンテを小脇に抱えると現れた時と同じようにしてウィスが飛び去って行く。

「まってくれウィスさんオラも行く」

悟空は飛び去るウィスに急いで抱き着き一緒に光の筋となって上空へと消えた。

「悟空さっ!?」

チチの驚いた言葉はもう悟空達には届いていなかった。



……

………

「どこ?ここ」

目を覚ますとどこかも分からない所に寝かされていたようだ。

「ここはアレを言うべきだろうか…うぉっほん」

一度喉の通りを良くして、と。

「知らない天じ」

「起きましたか、モンテさん」

「最後まで言わせてー」

ウィスさんが様子を見に来てくれた感じだ。

ウィスさんが居ると言う事はここはもしかして…

「ウィスさん、ここってビ」

「ここはビルス様の星ですよ」

「最後まで…いわせて…?」

まあいい。

「それで、どうしてわたしはこんな所に居るんですか?」

「ほっほ。ブルマさんに頼まれましてね、あなたに修行をつけて差し上げるためですよ」

「……はい?」

どうやらわたしは大変の事になっているらしい。

以前、超サイヤ人ゴッドの神気やら破壊神ビルスさまの破壊のエネルギーやらを吸収した結果そのエネルギーをどうにかしないと死んでしまうらしい。

それも星の一つくらい破壊してしまうほどの大爆発を起こして。

「え、リアルに人間爆弾?」

「はい、ですのでここでその力を制御出来るようになってもらいますよ」

そして始まる悟空さんベジータさんと一緒の修行。

「死ぬ死ぬ死ぬっ死んじゃうっ!」

両手に重りを通し持ち上げつつ星の外周を走らせられていた。

「叫んでいる暇が有ったらさっさと走れこのバカ娘がっ」

ベジータさん、何だかんだで激励してくれるところとか、ツンデレですね。

走るとは言ったが歩くよりは早い程度の速度しか出せていない。

しかも鬼畜な事に後ろの道はどんどん消されていて、間に合わなければ永遠に次元の間とやらを彷徨う事になるらしい。

ギルガメッシュはイヤァァアァアっ!!

両隣には悟空さんとベジータさんも同じ修行をしているが、当然重りの重さは個々人で違うため大差はない。

「と言うか、なんでわたしはむしろフィジカル面を鍛えられているのぉ!?」

「モンテさんは気のコントロールは中々見どころが有るのですがやはり耐久面が貧弱ですからね。それでは神の気のコントロールなどとてもとても」

そう言ったウィスさんは後ろの道をどんどん消していく。

「しぬぅ!死んじゃうーー」

死と隣り合わせの修行と家事手伝いを続ける事数か月。

「すぅ…はっ!」

気合を込めると高まる神気。髪は紅く染まりどことなく赤いオーラを放っていた。

その状態でさらに神の気を操りそれでいて気を内側でのみ高めていく。

「超サイヤ人ゴッド。もう自在に操れるようになったのですねぇ。向こうで殴り合っている二人もあなたほど覚えが良いと楽なのですが」

「あの二人は多分殴り合っていた方が覚えやすいタイプだと思う」

「まったくです。そこらの河原の土手ででも殴り合っていればそれで良いのではないか、と思ってしまうほどです」

キチンと神の気を操れるようになってどうにか人間爆弾からは卒業したらしい。

超サイヤ人ゴッドの状態からさらに超サイヤ人へと変身すると髪が青く染まり始めた。

「あなたも器用ですね。もうそんな変身を」

「超サイヤ人ゴッドの力をもったサイヤ人の超サイヤ人って所ですね」

そう、一般的に超サイヤ人ブルーと呼ばれる変身だ。

「あなたは気のコントロールは素晴らしい、ですが…」

すっとウィスの視線が悟空とベジータに向く。

「格闘センスや戦闘経験においては悟空さんとベジータさんに遠く及びません。それに同じ変身状態ならばお二人の方が数段上の実力でしょう」

「まぁ、そうですね。敵いませんよ、二人には。あの二人は純粋なサイヤ人ですよ?」

「いえいえ、そうとも言えないのですがね」

「……?」

何を言っているのだろうかウィスさんは。わたしがあの二人に勝てる訳ない。

「ふぅ…修行もひと段落したのでそろそろ一度地球に戻って良いですか?」

「一人で帰れるならご自由に」

「はーい」

ビーデルの気はっと。

「本当、気のコントロールはお上手ですねモンテさんは」

あったあった。

シュン

瞬間移動すると驚いた顔をしているビーデル。その手に持っていた哺乳瓶をうっかり落としたようで床に転がっていた。

「モンテっ!」

「ただいま、ビーデル」

「無事だったんだ…本当に…本当に…もう大丈夫なの?」

抱き着いて来たビーデルを抱き返す。目元に涙を溜めて力の限り抱き着いて来る彼女の力に…

「ギブ…ギブ…背骨…折れる…」

「はっ!?」

強烈なハグから抜け出すとソファーに座りパンちゃんを抱かせてもらう。

ようやくまったりしていると上空から嫌な気が。

「この気は…」

「ねぇ、モンテ…何か嫌な気配が」

このレベルの嫌な気を感じるとなるともうどこに居ても一緒だ。

パンちゃんを抱いたまま舞空術で空を飛ぶとビーデルもついて来た。

途中で悟飯くん、ピッコロさん、クリリンさんと合流。

天津飯と合流した時には…

「チャオズは置いて来た」

ヤムチャの事も思い出してください。

亀仙人は居るのにヤムチャぇ…

情報を纏めるとどうやらなぜか復活してしまったフリーザが千人の部下を引き連れて地球に攻めてくるそうだ。

情報元はブルマさんのお姉さんのお友達の銀河パトロールのジャコだ。

「モンテさんお久しぶりです。無事だったんですね」

「まぁね」

「それより」

悟飯くんから気迫が発せられる。

「どうしてビーデルさんとパンちゃんを連れて来たんですかっ!フリーザが来ているんですよ」

「下手な所に居るより近くに居た方が守りやすいでしょ。ビーデルもそこそこ強いし」

「そんなぁ…モンテさんも気が付いているでしょう。このフリーザの途轍もない気を」

「これ、第一形態の状態とかだったらやだなぁ」

「モンテさんはフリーザが変身型宇宙人だって知っているのですか?」

「はっ!?…ズノー様に聞いたのよ」

と言う訳で到着したフリーザ軍を迎え撃つ。

ゾロゾロと蟻の様に飛び出してくる戦闘員の数は多い。

悟空への復讐をするために現れたフリーザは、悟空が居ないと言うとそれまでに地球を壊滅させるのも一興と行動を開始。

「ビーデル」

「モンテ、パンちゃん」

あ、パンちゃん抱っこしたまま戦闘で離されてしまった。

ビーデルは…うん、フリーザ軍の戦闘員くらいじゃ問題ないな。

悟飯くんの近くで連携して戦えている。

「はっ…よっと」

ウィスさんの修行は伊達じゃないみたいでわたしも戦闘員など物の数にならない。

「きゃっきゃっ」

だが、わたしよりも撃墜数を稼いでいるのはパンちゃんだ。

「パン…ちゃん?」

わたしの腕を離れたパンちゃんは空を飛んで戦闘員に体当たり。それだけで結構の数の戦闘員を倒していた。

「きゃーう」

ふよふよと飛んで帰って来たパンちゃんをキャッチ。

「流石サイヤ人…末恐ろしいわ」

「なんですかっ!その赤ん坊はっ!!」

ムムムとにらみつけるフリーザ。

いくら寄せ集めなフリーザ軍と言えど赤子に倒されてフリーザのプライドを刺激しない訳無かった。

「サイヤ人めっ」

まぁ尻尾で普通に気付くよね。

「死ねぇっ!」

チュンとフリーザから放たれるレーザーの様な気功波。

こんなものパンちゃんが喰らえばひとたまりもない。わたしも生身では弾けないような威力だ。

「はっ!」

気合を入れると髪が金色に染まる。超サイヤ人に変身しフリーザのレーザーを振るった腕で弾くと地面に大穴が空いていた。

「パンちゃーん。くそっ邪魔だぁっ!」

近寄ろうとした悟飯くんだが、なんか禿のどことなく肌の感じが卵っぽい宇宙人に阻まれていた。

ブウと戦った時の悟飯くんなら一撃で倒せそうな敵だが、修行をサボっていた所為か苦戦していて近づけず。

「その髪、その変身…超サイヤ人ですか…いまいましいものですね」

なんかいきなりヤル気になっているフリーザさま。サイヤ人に恨み骨髄のようだ。

「悟空さんが来る前の肩慣らしです。いたぶってから殺して差し上げましょう」

やーめーてー。

「だうだーぁ」

この状態で笑っていられるパンちゃん。やっぱり将来大物になるよ。

フヨフヨと乗っていた浮遊ポットから飛び出してくるフリーザ様。

「勘違いしては困るから最初に言っておくけど」

「何ですか?」

「わたしはね、悟空さんの何倍も…」

ゴクリと誰かが唾をのみ音が聞こえた。

「いいや何十倍も……」

ジリっとした気配。そして…

「……弱いよ?」

「はい?」

真顔で言い切った。これにはさすがのフリーザ様も呆気に取られていた。

「それにわたしは非戦闘タイプだっ!」

と自分では思っている。

「ホッホッホッホ。非戦闘タイプが超サイヤ人になれるのならば惑星ベージタは超サイヤ人で溢れかえっていた事でしょうねぁ」

クックックと笑うフリーザ。だが地球組は笑えない。

割と超サイヤ人で溢れていたからだ。

「面白い事も聞けましたし、特別に優しく殺してあげましょう」

次の瞬間フリーザの姿がブレた。

「くぅっ」

パンちゃんを後ろに放り投げると腕をクロスして全力ガード。

パンちゃんはビーデルがキャッチしてその胸に抱いていた。

「ほう、死にませんか」

「その赤い髪…超サイヤ人ゴッド…だと?」

とピッコロさんが驚愕の声を上げた。

「超サイヤ人ゴッド、ですか。その程度でサイヤ人の神とはまたチンケなネーミングですね」

互いに距離を取るとモンテは構えを取った。

「準備運動くらいにはなりそうですね」

特に力むようなこともないフリーザ。

「モンテさんっ!」

慌てて悟飯が駆け寄ろうとするが…

「止めろ悟飯っ、修行をサボっていたお前がいっても足手まといだっ」

「ピッコロさん…」

フリーザとの戦闘が始まる。

53万なフリーザ様はいったいどこに行ったのか。第一形態ですら超サイヤ人ゴッドのわたしより強いんだけどっ!?

空気が振るえるほどの打ち合いに海が割けて海水が舞う。

「面白い、面白いですよあなたっ!」

「わたしは面白くないーーーーっ!」

悟空にボコられ、ベジータにボコられ、ついでにウィスさんにボコられた結果何とかフリーザ様と戦闘が出来ているに過ぎない。

「キェエエエッ!」

「だりゃあああっ!」

互いの気功波がぶつかり合い、爆発。

「全く戦闘力を感じられないのにその強さ。それが神の気ですか。興味深いですね」

「はぁ…はぁ…もう少し疲れてくれるとわたしは…うれしいのだけれども。…こうまで実力の差があると神の気どうのの問題にはならない…」

悟空さんとベジータさんはまだ来ないし、迎えに行こうにもその隙を与えてもらえない。

ビルスさまの星は遠すぎて気を感じるためにはかなり集中しなければ行けないのだ。

「はーっダダダダダダっ!」

「ほっほ、良いですよ。なかなかいい攻撃ですね」

わたしの拳の応酬もそよ風を受けるがごとく、まるで暖簾に腕押し、柳に風だ。

そしてわたしはフリーザ様の軽く振りぬかれる回し蹴りで吹き飛んで海水を巻き上げる始末。

「けほ…けほ…」

「おや、殺したと思ったのですが、存外ダメージが有りませんね」

蹴りが当たる瞬間、その部分にのみ気を手中させてガードしたのだ。全身を守っていたのでは多分大ダメージを受けていただろう。

「はぁ…はぁ…」

純粋に力勝負じゃ逆立ちしたって勝てないのは分かった。殺されないのも相手が遊んでいるからだ。

だが逆にフリーザを殺せるチャンスが有るのは今だけだ。

別に悟空のパワーアップに今のフリーザは必要ないし…何かが有って取り返しのつかない展開になるくらいならばここでわたしが破壊する。

この時わたしはフリーザを破壊すると言う事がどういう事になるか忘れてしまっていたのだが、後の祭りだった。

距離を開けていたわたしは神の気をクリアに保ったままさらに一段階引き上げる。

「はぁっ!」

全身が青いオーラに包み込まれると髪を逆立てた少女が現れた。

「超サイヤ人だとっ!?」

「でも髪が青いわよ」

「あれはいったい…」

ピッコロさんの言葉をビーデルが否定し、悟飯も分からないと呟いた。

「その変身はなんですか?」

神の気を感じられないフリーザはまだ余裕そうにしている。そのまま油断していてほしい。

「これが最新の超サイヤ人…超サイヤ人ブルーだ」

「ふん、所詮は見掛け倒しでしょう」

第一形態のフリーザは上回ったが最終形態に変身されると多分勝てない。ゴールデンフリーザなど足元にも及ばないだろう。

だが、この気のコントロールを極めた変身形態だからこそ使える技がある。それは…

「はっ!」

気を放出せずに内側に内側に高めていく。

余裕の表れか攻撃を出すまでは待ってくれるようだ。正直ありがたい。

その気を右腕にすべてを収束すると掌に紫色の気が立ち昇り始めた。

「なんですか、それはっ!」

さすがのフリーザもその異様さは感じ取れたらしい。

しかし構わない。

シュンとモンテの姿が消える。

「ヤードラット星人の瞬間移動っ!どこにっ!」

飛んだのはフリーザの真後ろだ。そして気の高まった右手を突き出し…

「破壊っ!」

神の気を感じられないためフリーザは虚を突かれ

「何いっ!それは破壊神のっ!バカなッ!バカなーーーーーっ!?」

直撃した破壊のエネルギーはフリーザを塵に変え、魂ごと再生不可能なまでに砕いたのだった。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

破壊に相手が強いも弱いも関係ない。当たれば破壊される。それが破壊神の破壊だ。

変身を解くと一気に倦怠感が襲って来た。

「ぐぅ…」

次いでアドレナリンが切れたのか右手に大激痛。

破壊のエネルギーなんてものを使った反動か。肉体面では超サイヤ人4の方が強靭だからなぁ…

「仙豆だ、食え」

ピッコロさんが一番で飛んできて仙豆を渡してくれた。

そう言えば初めての仙豆だ。

カリっと歯で齧って嚥下する。

「ぐっ…」

一瞬で体力が戻り、負傷していた肉体は修復される感覚は何とも言いようがないし例えが浮かばない。

「倒したの?」

ビーデルがパンちゃんを抱っこしながら飛んできた。

他の人たちは残った戦闘員を雑に宇宙船に詰めているらしい。

あ、まってまって。送り返す前に最新式のメディカルポッドだけはパクらせてっ!

「倒したと言うか、破壊した。魂までバラバラにしたからもうドラゴンボールでも復活しないかな」

「破壊神の技か」

なるほど、とピッコロさんが腕を組む。

「それになりに反動の有る技のようだな」

ズタボロになっていた右手を見れば分かるだろう。

「はい。それにフリーザも油断していてくれてよかった。あれで第三形態とか最終形態とかに変身されていたらまず間違いなく勝てませんからね」

「フリーザって変身したの?」

ビーデルが問いかける。

「フリーザは変身型宇宙人だ。だがどうしてお前が知っている」

「あはは…いつもの奴と言う事で」

ズノー様バンザイ。 
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