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転生したらビーデルの妹だった件

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第五話

最大の死亡フラグの二つをどうにか乗り越えたわたし!

もう何も怖くないっ!

あ、まてまてそれはヤバイフラグだ…

オレンジハイスクールを卒業するとビーデルは悟飯くんと結婚して家を出て行った。

パパのお金で生活しているわたしが言うのもなんだけど、稼ぎの無い男と結婚する姉、大丈夫かしら…

「モンテ、オレ腹へった」

「はいはい、今作りますよ」

家には今パパとブウ、あとワンちゃんが住んでいる。

食事は基本わたしの仕事でこうやってブウが時間を問わずたかりに来るのだが、もう諦めた。

なんだかんだで美味しそうに食べてくれるのは嬉しいしね。

で、わたしに無理難題を押し付けてくるのは何もブウだけじゃない。

食事を作り終えてまったりしているといつの間にかブウと一緒に食べている不法侵入者。

「よっ!チチには負けるけど相変わらずうめーな」

「悟空さん…また勝手に上がり込んで…」

「わりーわりー…悟飯も最近修行に付き合ってくれなくてな」

そりゃ新婚さんですよ?当然だよ。

「で、わたしの所に来た、と」

「そう言う事、じゃいっちょやっか」

そう言って有無を言わさず超サイヤ人になる悟空さん。

「ま、まってよっ!だからなんでわたしなのよぉ」

周りに悟空の修行に付いていける存在が居なかった所に目をつけられたのがわたし。

超サイヤ人4を見せてしまったの運の尽き。

「モンテ、頑張れ。オレ、応援している」

「ブウさん、応援しないで助けてー」

家の敷地は広い為、相当打ち合っても周りに被害は出ないのは幸いだが…毎回修行につき合うわたしの身にもなってっ!

基本的にわたしと悟空さんの力の差は歴然なので、わたしの変身は悟空さんの一段階上の状態だ。

弱いのよ、わたし…

悟空さんが超サイヤ人ならわたしは超サイヤ人2。

悟空さんが超サイヤ人2ならわたしは超サイヤ人3。

「やるなモンテ、ならオラもっとギア上げていくぞっ!」

「やめてっ!わたしはもう超サイヤ人3なのよぉっ!」

「はぁっ!」

悟空さんの髪の毛が伸びる。

「悟空さん他人の話きーいーてーなーいっ!」

超サイヤ人3だ。

「だりゃぁっ!」

「死ぬってっ!くそぅっこの戦闘バカはぁっ!」

もうやけくそだぁっ!

「お、今日はサイヤパワーって言うのも復活していたかっ!ついてっぞ」

「わたしは不幸だぁーーーーーーっ!」

超サイヤ人4になって悟空さんの拳を受け止める。

「だりゃりゃりゃりゃりゃ」

「おりゃーっ…くぅ…やっぱ無理ぃ…たーすーけーてー」

攻める悟空、迎え撃つモンテ。

もはや涙目である。

「かーめー」

「わ、ちょっとちょっとっ!」

超サイヤ人3状態でかめはめ波のモーションに入る悟空さん。

空中で迎え撃つべくわたしも構える。

「「はーめーーーーー」」

「「波ーーーーーーーっ!」」

空中で閃光がぶつかり合う。

数秒拮抗するが、悟空さんのパワーに押し流された。

ジュ

「またモンテの負け」

「うう、ブウさん…治療ありがとう…うう」

ポヨポヨのブウさんのお腹に抱き着いて泣いているわたし。傷はすっかり元通りになっている。ついでに服も。

ブウさんの不思議パワーで死んでなければ治療も可能だ。

これが頻繁にわたしをボコりに来る理由だろう。

余りにもボコられ続け、サイヤ人特有の復活強化が強制的に発生し、わたしの戦闘力が上がった事に喜んだ悟空さんがまたボコりに来ると言う負のスパイラル。

くそう、いつか十倍かめはめ波をお見舞いしてやるっ!

マジ誰か助けて…

「うーん、まだ修行したりねぇな。仕方ねぇ、界王さまのとこにいってくらぁ。じゃーなモンテまたやろうな」

「二度と来るなっ!」

次の日。

「昨日はカカロットの修行に付き合ったそうだな。今日はオレさまに付き合ってもらうぞ」

ベジーターーーーーっ!?

超サイヤ人3にもなれないベジータのコンプレックスを刺激しまくっているモンテ。

そう、ベジータも頻繁にモンテをボコりに来ているのだった。


くそう、いつまでもボコられているわたしじゃ無いぞっ!

こうなったら最終手段っ!

「弟子にしてくださいっ!」

界王神界に瞬間移動したわたしは界王神さまにドゲザしていた。

どうやって来たのかって?星と言うのは命で満ちているんです。元気玉とかでも星から分けてもらえるし、星その物の気を頼りに飛んで来たんです。

「はぁ…弟子…ですか?」

「このままじゃ死んじゃうんですよっ!」

「地球にまた魔人ブウのような存在がっ!」

「いえ、悟空さんとベジータさんに……毎回毎回…サンドバッグになってるわたしの気持ち…分かります?」

「え、ええ…」

「あと、復活パワーとか便利なんで。いつもいつも仙豆に頼ってばかりいられませんし」

「自分の怪我は治せないのですが…」

「それでも良いんですっ!お願いしますっ!界王神さまの弟子になればきっとなんかアレな不思議パワーが宿るかもしれないじゃないですかっ!」

ついでに絶対止めるであろうキビトさんが合体しちゃっている今が丸め込むチャンスなんです。

もうテコでも動かない勢いでドゲザをし続けると最後はどうやら界王神さまが折れたようだ。

「たしかに今の私には従者も弟子も居ませんしね。仮免ですがよろしいでしょう」

「あ、ありがとうございますっ!」

三日間、わたしの周りを変なおどりを踊り続ける界王神さま。その苦行の果てにどうにか界王神さまの弟子になったのである。




「豪華客船でおッ誕生日会ー」

今日はブルマさんの誕生日、その会場の豪華客船にお呼ばれしたのだ。

普段ベジータが迷惑を掛けているお礼も兼ねて豪華な食事でもして楽しんでくれとの事。

ビンゴ大会も行われ、豪華景品ももらえるらしい。

「久しぶり、ビーデル」

「モンテ、久しぶり」

「お久しぶりです、モンテさん」

ビーデルと悟飯くんもブルマさんの誕生日に呼ばれていたようだ。

周りを見ると悟空さんとベジータ以外のZ戦士の皆が集まっている。

っ!?

この感じって…何か途轍もない者が近づいてきている。

えーっとなんだっけなんだっけ……まぁまだ遠いから大丈夫だろう。


なんて思っていたこともありました。

ブルマがどこからともなく連れてきた新客に震えが止まりません。

何で忘れていたのだろうか…

スフィンクスのような宇宙人。

そう破壊神ビルスが来訪したのだ。隣にはガイド天使のウィスも居るようだし間違いない。

なんだ…どうしてだろうか…普通の人は神の気を感じる事が出来ないはずなのに、こうも力の差がはっきり分かってしまう。

もしかして界王神さまの弟子になったから神の力を感じられる…とか?

ともかくいい気分じゃない。

いつの間にか居たベジータも震えている。

ベジータさんがなんかもう面白いほどうろたえてビルス様のご機嫌取りをしている姿は心のメモリーに永久保存するとして…

ビンゴダンスっ!最高っ!永久保存っ!

あとたこ焼き焼いてる姿も笑えたわっ!にゅふうっふふ、ここまで生き抜いて来た価値がっ!

ふぅっ…発作が…それと安い価値だわ、わたし…


それからブウが独り占めにしていたプリン。まさかビルスがブウからそれを譲ってもらえなくて大変な事になるなんて…

プリンが食えないからと癇癪を起すのは止めて頂きたい。

あの魔人ブウですらビルスさま相手には子供同然に吹き飛ばされてしまった。

「ああっ!わたしのもちもちポンポンが…」

だがしかし、ただの気弾だったようで、死んだと思ったブウさんは無事に再生されたようだ。

「よ、よかった。わたしのもちもちポンポンは無事だった…」

「君もサイヤ人だよね」

げぇ、ビルスっ!

話しかけてくるんじゃねぇっ!

「超サイヤ人ゴッドって知ってる?」

「わたしは超サイヤ人ゴッドには変身できませんよ?」

「超サイヤ人ゴッドって変身するものなの?」

しまったーーーーーーっ!?

「君、何か知っているね」

「し、知りませんし?」

「神さまに嘘を吐くのはいけない。ちょっと痛めつければ何か出てくるかもしれないな」

何でそう言う結論になるーっ!?ちょ、ちょっと悟空さんは何処っ!

こう言うのの相手は悟空さんの担当でしょうっ!

と言うか悟空さんが居ないと超サイヤ人ゴッドを作り出しても意味ないしっ!

ビルスの右手がゆっくりと迫る。しかしその脅威は途轍もない。

「なんで避けちゃうの?」

「避けなきゃ死ぬでしょうっ!」

「君が死ぬか地球が破壊されるか何か思い出すか選べ」

うーわー…

シュンと不意を突いて瞬間移動するとビーデルの隣へと現れる。

「ビーデルっ!超サイヤ人、なれるっ!?」

ガシッとビーデルの両肩を掴む。

「一応悟飯くんと修行してなれるようにはなったけど?」

なんとっ!結婚してイチャイチャしているだけじゃぁ無かったのねっ!

今できる事は悟空さんが来るまで時間を稼ぐのみっ!

「上等っ!フュージョンするよ、フュージョン」

「ええ?あの踊りやるの?」

「っやるの!」

恥ずかしがらないっ!

「何をやるつもりか分からないけれど早くしないと地球ごと破壊しちゃうからね」

ビーデルと左右に立って距離を取る。

「気はこっちで合わせるから、全力でっ!」

「もう、しょうがないなぁ」

ビーデルの髪の毛が金色に染まり体にスパークが走る。

と言うか超サイヤ人を超えた超サイヤ人になれてたのね、ビーデル!

「ほう、超サイヤ人2とか言うやつか。でもまだまだだね」

とビルス。

「はっ!」

こっちも超サイヤ人2になって左右で対象の動きで精神を同一化。

「「フューーーーーーーージョン、はっ!」」

「合体とは…サイヤ人のくせに器用だねぇ」

「久しぶりにモンデルちゃん登場っ!」

周りの観客がどよめいていた。そう言えば見せた事ない奴も居たか。

「とりあえず、一発ビルスさまに攻撃を入れれたら見逃してください」

モンデル渾身のドゲザ。もうプライドなど無かった。

「ほう、面白い事を言うね。まぁ良いよ」

よかった。それならばもしかしたら何とかなるかも?

「でもその状態じゃあねぇ。孫悟空は超サイヤ人3と言うのを見せてくれたのだけど?」

「悟空さんのバカーっ!」

「そうそう、それそれ」

悟空への怒りで超サイヤ人3へと変身するモンデル。

空中に浮かぶと近づかせてなるものかと気弾をばら撒く。

「でも、その状態でも二発で沈んだけどね」

ドンッ!

「ぐあっ!」

いきなり背後に現れたビルスの手刀に海へと向かって落ちていく。

背中で海を割り開き、海水が巻きあがり、水しぶきが収まると…

「ほう、面白いね君。フリーザを倒した孫悟空が出来ないと言うのにまだ上の変身が出来るんだ」

現れた人影は上半身を赤い毛で覆われ目元は紅く隈取されている女性。

金色だった髪は黒髪に戻っている。

「超サイヤ人4」

「なんだ、それでもまだ超サイヤ人ゴッドじゃないんだ。残念」

脱力して本当に残念そうなビルスさま。

「はぁっ!」

裂帛の気合でビルスとの距離を詰めると拳を何十も繰り出すモンデル。

「速度は…まぁまぁか。まぁボクには止まって見えるが」

「はっ!」

抜き打ちのかめはめ波をビルスは軽く腕を振るって弾くと、弾かれた光弾が海を割いた。

「これならどうだっ!」

両手に現れた気円斬を投げ飛ばす。

左右から放物線を描いてビルスに襲いかかるがそれもデコピン一発で破壊された。

「ふん、子供だましだな」

しかし、それでも数秒の時間は稼げた。

モンデルはその隙をついて気を集中し始めていた。

気を極限までコントール、圧縮して放たれるその必殺技。それは…

「10倍かめはめ波ーーーーーーーーーーっ!」

「ほう…これはなかなか」

月の10個や20個は破壊できそうな10倍かめはめ波をビルスは片手で受け止めて割いた。

ビルスの後ろで10倍かめはめ波の余波が切り裂かれた海水で顕になった海底の地形を変えている程なのにビルス本人に焦りの色は見られない。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

「今のは中々凄かったよ。ボクも二割くらい本気を出したくらいだ。誇っていいよ」

でもまぁとビルス。

「これで終わりだ」

一瞬で背後に回るとモンデルが振り返るよりも速く手刀が繰り出された。

が、その瞬間合体に耐えきれなくなったモンデルが分離。空振りに終わる。

「運のいいやつめ」

気を失っているビーデルをモンテが蹴り上げると豪華客船から悟飯が飛び出して受け止める。

「ビーデルさん、しっかりしてくださいっ!」

くそぅ…

「はぁ…はぁ…わたしも…気を失って良いですか?」

「んーー、君は面白いからダメ」

不幸だーーーーっ!違う、不公平だーーーーーっ!

フュージョンでの超サイヤ人4でもダメだとなるともう最終手段しかないだろう。

落ち着け。

もうどうせ次の攻撃で最後だ。

集中しろ。すべてを研ぎ澄ませ。まるで大海が凪いだ海面の様に。さざ波一つ立たない静かな…静かな…

そしてモンテは動いた。

「ぐぅ…」

一瞬、モンテの姿がブレたかと思ったらビルスのカウンターを腹に喰らい悶絶していた。

打ち付けられた拳の上で死に体をさらすモンテはそれでも意識を繋いでいるようで、しかしそれもあと数秒か。

「その変身は何だい?」

モンテの髪の毛は銀色に染まりかけていた。

「さあ?…火事場のクソ力…的な…?もう、本当に…これ以上は……」

そう言ってモンテは意識を手放してしまった。

「ふんっ…約束だ。お前の事は見逃してやろう」

そう言ったビルスを見れば、ピシっと彼の衣服の一部が切り裂かれていたのだった。

そして暗転。


はっ!何か見落としてはいけないもの感じたわたしは瞬時に覚醒する。

甲板のリクライニングチェアに寝かされいたわたしはベジータの怒号で起き上がった。

「よくも……よくも俺のブルマをーーーーーーーーーっ!」

ビルスさまに愛妻を傷つけられた怒りで限界を突破するベジータ。

ただ…もう、ね?前世記憶があると男の人が俺のブルマと言うセリフはもう犯罪者のそれな訳だ。

え、もうハーフパンツの時代だからブルマなんて知らない?何てことだ…

「俺のブルマ…くく…わらっちゃダメだけど…くくく…くく…俺のブルマ…くく…あはははははははははっ!…もうダメ…もうダメだ…ははははははっ!!」

シリアスな雰囲気の中、腹が寄りれるほど一人笑っていたモンテちゃんなのでした。

まぁ限界突破したベジータもビルスさまには敵わなかったのだけれどもね。

あわや地球を破壊されると言う所で悟空さん登場。

ドラゴンボールに頼んで超サイヤ人ゴッドを出してもらうから待ってほしいとビルスに持ち掛けると待ってもらえることに。

「願いを言え、どんな願いもみっつかなえてやろう」

現れたシェンロンに出してもらおうとしても出せず作り方だけ教えるとシェンロンはその場に居た破壊神ビルスにおののいて願いをかなえ切る前にドラゴンボールに戻って飛び散って行った。

「善の心を持つ五人のサイヤ人の心を一人に注ぐ、ね」

ビーデルさんは気絶中。わたしは笑い転げていて気絶している事になっていた。

悟空、悟飯、悟天、ベジータ、トランクスでゴッドを作り出す儀式をするが…

「止めておけ、孫。それはゴッドではない」

とピッコロさん。

戦闘力は上がったがそれだけで、ゴッドとは程遠い。

「やっぱりかー」

「みなさん、よく思い出してください」

ウィスさんが儀式の間違いを指摘する。

五人のサイヤ人が一人に心を注ぐ。つまり必要なサイヤ人は六人だ。

「わ、私が…」

気絶から回復したビーデルが立候補。

「うぅ…」

「ビーデルさ、しっかりするだ」

駆け寄るチチさん。

「けほけほ…うぇ…」

「あれま、これは…もしかして」

「ええ、まぁ」

頬を赤らめるビーデル。

「悟飯ちゃーん、ビーデルさんはダメだべ。お腹の中に赤ちゃんがいるだ」

「ほ、ホントですかビーデルさんっ!」

悟飯が駆け寄り一同祝賀ムード。

確かにめでたい事だし、体の事を気にするなら儀式に参加させる訳にも行くまいが…

「サイヤ人ならもう一人居るだろう。こら、バカ娘いつまでそこで笑い転げているっ」

ピッコロさんの怒声が豪華客船のデッキを駆ける。

「ピッコロさんってわたしに辛辣じゃないっ!?」

ウッドチェアで倒れ込んでいたわたしは飛び跳ねて起き上がった。

「バカ娘の自覚が有るから応えるのだ。さっさと来いっこのバカ娘がっ!」

「えー?」

バカ娘の自覚とな。

「早くしないと約束とか関係なしに君から破壊しちゃうよ?」

「た、ただいまっ!」

ビルスさまの脅しに屈服したわたしはデッキを駆ける。

悟飯くんも空気を察して戻って行った。

「はい」

「早くにぎれば」

手を差し出された悟天くんの手を握り、反対側はトランクスくんの手を握った。

そして超サイヤ人ゴッド降臨の儀式。

気を送るのではなく心を注ぐ。

六人を温かい気が包み込み、ゆっくりと悟空さんへと流れて行った。

これは高純度の神の気…

「これが超サイヤ人ゴッド…」

誰かが呟き皆息を飲む。

悟空の体は引き絞られ髪は赤く染まり真っ赤な神気を纏っていた。

それから始まる悟空さんとビルスさまの戦いはもう、筆舌しがたい。

もう勝手にやってくれと言う感じで大暴れ。

「なんかすごく嫌な感じがするんだけど…」

衝突して漏れる神どうしの戦いに世界が悲鳴を上げている。

なんかてんぱった界王神さまから届けられた声を聴くに後何度かぶつかると世界が無に帰すそうだ。

マジかっ!

神と神ってもっとソフトな戦いじゃ無かったっけ?

そんな世界が終わる系の話じゃなかったよねっ!?

ヘロヘロな体に鞭打って両手を天に向けるとわたしは元気玉の要領で気を集め始める。

集める気など地球上空にこれでもかと散らばっていた。

悟空とビルスの戦いの残滓だ。

成層圏で力比べの果てに生み出された高エネルギー結晶体の押し付け合いに悟空が負ければもはや世界は終わる。

せめてそれだけは何とかしないと本当にもうっ!

やるならステゴロだけにしろよっ!

集めた神気を吸収し始めるわたし。

体がすぐに悲鳴を上げている。

「あら、そんな事をしてはあなたの体がもちませんよ?」

といつの間にか隣に居たのはウィスさんだ。

「まかり間違っても神の気ですからね」

「わたし、これでも気のコントロールだけは悟空さん達にも負けない自信があるんですよ。それと…」

溢れる神気を取り込んだ結果、髪の毛が赤く染まり始めた。

「わたし、一応…界王神さまの…弟子なんで」

体のあちこちが痛い。バラバラにはじけそうだ。

「あらぁ…神の力ですか。これは興味深い」

超サイヤ人ゴッドになれないと言ったな。あれは嘘だっ!

いや、なれなかったのは本当。ただ、界王神さまに弟子入りした結果、神の気のコントロールは出来るようになっていたのだ。

結果、これだけの神気が有れば超サイヤ人ゴッドくらいなれる。

「ですがやはり体がバラバラになりそうですね」

ウィスさーんっ!?そんなはっきり言わないでくださいっ!

世界が滅ぶほどのあれを何とかしないとヤバイのだからなりふり構っていられない。

「体が…耐えられないの…なら…耐えられる…体に…つぁ!」

神の気を持ったまま超サイヤ人4へと変身。

体毛は真紅に燃え上がり黒かった髪も紅くなっていた。

「ほほう、これはまさしく超サイヤ人ゴッドの力を持ったサイヤ人の超サイヤ人4って所ですかね」

ウィスさん。なんか別の名前でお願いします、長いんで。

「長くはもたないけど、一発くらいは逝ける…かな?」

「いけるの文字が違う様に聞こえたのは気のせいですかね?」

気のせいですよ?

わたしは瞬間移動で成層圏へと飛び上がると集めていた神気を掌にさらに集めて悟空さんとビルス様が押し付け合っている球体へと向けた。

「破壊っ!」

「いいっ!?」「なんだとぉ!?」

驚く悟空さんとビルスさま。

破壊のエネルギーはぶつかり合っていたエネルギーを跡形もなく消滅させた。

ぶっつけ本番だけどうまく行ったようだ。

ビルスさまの神気を吸収していたから使えた荒業だ。

一瞬呆気に取られている隙に二人に近づくとゲンコツを二発。

「喧嘩は素手でやれっ!」

エネルギー弾は禁止だっ!

「「は、はい…」」

反射的に頷いた二人のバカども。

だが、威勢が良かったのここまで。

限界はすぐに訪れた。

急激に意識は闇に飲み込まれ、重力に引かれて地球へと落下していく。

あー…これは死ぬかな。

自身の力以上の事をやってのけたのだ。もう体に力が入らず指の一本も動かせない。

そして完全に意識を手放した。



「まったく、サイヤ人と言うのは本当に想像を超えたことをしますね。破壊神でも無いのにまさか破壊のエネルギーを使うなどど」

空中でモンテを抱き留めたのは天使のウィスだ。

「ビルスさまもこの方は破壊しないと約束していましたし、死なれても困りますからね」

スススと豪華客船へと降りていくウィス。

「その娘は何をしたんだ?」

「おや、分かりませんか?」

とベジータの問いに逆に問いかけるウィス。

「ちっ」

モンテの気が途中から感じられなくなっていたことには気が付いていたベジータは悪態で返したのだ。

そして何をしたのかまでは分からないが、上空の圧を消して来たのだろう、と。

モンテに水を差された悟空とビルスは先ほどよりも格闘戦に重視を置くようになり世界の危機はほんのちょっとだけ遠ざかった。

結局悟空はビルスに負けてしまったが、ビルスは満足したのか地球を破壊することなく帰って行ったのだった。



帰路の途中の宇宙空間にて。

「そう言えば、モンテとか言うサイヤ人が放ったあの技。あれ、破壊のエネルギーだったよね。あれどうやったの?」

とビルス。

「どうやら悟空さんとの戦いで飛散したビルス様の神気を取り込んだようでして」

「無茶をするなぁ…でもそれなら破壊神の仕事はあの娘に任せてしまってもいいか?」

「あらビルス様、破壊神を引退するおつもりで?」

「そんな訳あるか。ただの思い付きだよ」

「そうですか。気が変わったら早めに言ってくださいね。モンテとか言う娘に破壊神としての修行をつけるの、私なんですから」

「あーあー。気が変わった。次会ったら破壊しよう」

「ダメですよ。一度見逃すって決めたことなんですから」

「きこえなーい」

とか言う会話があったとかなかったとか。 
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