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おぢばにおかえり

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第五十九話 先輩と神戸でその二十九

「私先輩の過去知らないですけれど」
「そうなってるのね」
「はい、ただ阿波野君は」
 彼はといいますと。
「何かこう」
「私のこと知らないっていうのね」
「何も知らないですよ」 
 これはどう見てもです。
「お会いしたこともあまりないですよね」
「ええ、神殿の前で会ったけれど」
「他はないですよね」
「お話したのもその時だけで」
「それじゃあ先輩のこと知ってる筈ないですよ」
「そうなるわね」
「だからどう考えても先輩のこと知らないのに」
 それなのにです、私は焼売を食べつつ言いました。
「それであんなこと言うって」
「それがちっちが許せないのね」
「絶対に、ですから」
 それで、です。
「私阿波野君が今度先輩に何か言ったら」
「その時はなのね」
「本当に叩きますから」 
 本気でそうするつもりです。
「安心して下さい」
「暴力はよくないわよ」
「愛の鞭です」
 私はこう先輩に返しました。
「それは」
「そう言うの?」
「少し頭をぺしっとやる位ですから」
 若し叩くにしてもです。
「それだけです」
「それだけなの」
「はい、まだそうしてないですが」
「実行には移してないのね」
「そこまではしてないです」
「だといいけれど愛の鞭でもね」
 それでもとです、先輩は私にお話しました。 
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