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戦国異伝供書

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第九十八話 三本の矢その十一

「そして周防と長門は四十万石」
「その二国を合わせるとな」
「百六十万石となり」
 そうなりというのだ。
「八十万石の尼子家にです」
「倍の力で向かえる」
「そうなれば勝てます」
「左様じゃ、しかしな」
 それでもとだ、元就は話した。
「尼子家の備えとしてな」
「我等はですな」
「兵を置かねばならん、播磨の方の備えにもな」
 こちらにもというのだ。
「兵を置きたい」
「そういえばどうも」
 ここで言ったのは元網だった。
「播磨そして近畿の方は」
「近頃三好家の中でな」
「ごたごたしている様ですな」
「何でも松永弾正という御仁が出てきてな」
「随分と権勢を誇っておられるとか」
「そして播磨もな」
 この国もというのだ。
「どうなるかわからぬ」
「だからですな」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「播磨の方にもな」
「備えを置くので」
「それでじゃ」
 その為にというのだ。
「陶家と戦える兵はじゃ」
「少ないですな」
「どうしてもな」 
 そうだというのだ。
「そこが我等の弱み、正面から陶殿と戦っては勝てぬ」
「到底」
「だからな」
「厳島にですな」
「誘い込む、あの島ならばな」
「多くの敵が来ようとも」
「袋の中の鼠に出来る」
 だからだというのだ。
「あの島に誘い出すのじゃ」
「ではその為に」
「色々と陶殿に話を流そう」
 偽のそれをというのだ。
「そしてな」
「あの島において」
「戦う」
 こう言ってだった、元就は厳島の守りが弱いだの村上水軍は毛利家につかないだの毛利家の中は揉めているだの色々な偽の情報を陶に流した、すると。
 陶はこれが機とばかりに兵を動かした、元就はその報を聞いて忍の者達に問うた。
「してその兵の数は」
「二万です」
「大内家の兵の殆どを率いて来られました」
「動かせるだけの」
「陶殿を総大将としてです」
「今の大内家の有力な臣の多くが従っておられます」
「まさに今の大内家の総力です」
 忍達は元就に答えた。
「その数で、です」
「厳島にだな」
「向かう用意をしていて」
 そしてというのだ。
「そのうえで、です」
「船団も用意しています」
「それもかなりの数です」
「二万の数を運ぶだけのものです」
「その大軍で、です」
「厳島に向かうつもりの様です」
「そうか、ならな」
 元就はさらに言った。 
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