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銀河帝国革命

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帝国崩壊の序曲

 
前書き
波に乗れたので早めに投稿できました!今話から帝国ハードモードになります。 

 
帝国暦487年/宇宙暦796年、帝国軍科学技術総監アントン・ヒルマー・フォン・シャフト技術大将が巨大施設の移動可能なワープ装置の開発に成功。帝国軍宇宙艦隊司令長官グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥は、これをガイエスブルク要塞に搭載しイゼルローン要塞との戦いに投入、要塞と艦隊戦力を持ってイゼルローン要塞を攻略するプランを発案する。
しかし帝国内では度重なる混乱からまだ立ち直っておらず、大規模な出兵に反対する声も多かった。特に帝国首相のリヒテンラーデ侯爵と軍務尚書エーレンベルク元帥の両名は強く反対するも、ミュッケンベルガー元帥は統帥本部長のシュタインホフ元帥と幕僚総監クラーゼン元帥の賛成を取り付け皇帝フリードリッヒ4世の裁可を得ることに成功し作戦を強行する。ガイエスブルク要塞と収容艦隊16000隻に加え、回廊出入口より、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ上級大将率いる別働隊36000隻が侵攻する手筈となっていた。艦隊総数52000隻、動員兵力約1700万人にも上る、帝国史上稀にみる大作戦が始まろうとしていた。





銀河帝国首都惑星オーディンの新無憂宮(ノイエ・サンスーシ)の執務室。帝国行政の中心ともいえるこの場所で、銀河帝国首相クラウス・フォン・リヒテンラーデ侯爵は、信じられない報告を受けていた。

「全滅!?5万隻の艦隊とガイエスブルク要塞が全滅しただと!?それは本当なのか!!」

「はっ、ミュッケンベルガー元帥以下、艦隊司令部の尽くが戦死、生き残ったのは数千隻にも満たないとのことです。現在、メルカッツ上級大将が艦隊を率いて回廊出入口に急行しています。」

「……なんということだ……」

リヒテンラーデ侯爵は報告を受けると、力なく椅子に座り込んだ。その姿は、帝国随一の切れ者とは思えない有様であった。





帝国暦487年/宇宙暦796年4月10日、ミュッケンベルガー元帥肝いりの作戦によって始まった第7次イゼルローン攻防戦は、帝国軍の散々たる惨敗で終わった。
同盟軍は第5次イゼルローン攻防戦以来、統合作戦本部長シドニー・シトレ元帥と宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥指導の下、大規模な軍制改革に着手、ジョアン・レベロ政権の後援もあり、軍の最新化と精鋭化に成功していた。更には新たな戦略に基づき情報戦を強化。シャフト技術大将の機密情報漏洩で得たフェザーンからの情報提供も相まって、帝国軍の作戦内容を完璧に把握していた。
帝国軍の作戦に基づき同盟軍は反撃策を立案、同盟軍全宇宙艦隊の3分の2にあたる8個艦隊、約10万隻を動員し帝国軍を万全の態勢で待ち構えていたのであった。

開戦当初はガイエスブルク要塞のワープによる奇襲攻撃が功を奏し、要塞主砲同志の壮絶な撃ち合いによりイゼルローン要塞に多大な損害を与えることに成功。更に別動隊が合流に成功した事により優勢となる。
しかし、背後に潜伏していた同盟軍が帝国側の回廊出入口の封鎖に成功すると戦局は一変。帝国軍は同盟軍の包囲攻撃を受け、大損害を被る。
戦力の9割を失ったことにより、撤退の決断を下したミュッケンベルガー元帥は、艦隊脱出の突破口を開くため要塞による特攻を敢行し回廊出入口を封鎖していた同盟軍第4艦隊と第6艦隊を巻き添えにして自爆。残存艦隊はメルカッツ上級大将に率いられ撤退した。
また同盟軍も二個艦隊が壊滅しイゼルローン要塞が半壊するなど追撃不可能な被害を被っていたため追撃は行わず、ここに第7次イゼルローン攻防戦は終結した。

この戦いにより帝国軍はミュッケンベルガー元帥以下、総参謀長グライフス大将、シュトゥックハウゼン大将、ゼークト大将等の艦隊司令部全員が戦死。またウォルフガング・ミッターマイヤー中将、オスカー・フォン・ロイエンタール中将、カール・グスタフ・ケンプ小将、カール・ロベルト・シュタインメッツ少将、コルネリアス・ルッツ少将等、多くの将来有望な若手将官が次々と戦死したことにより、帝国正規軍全軍の3分の1の戦力を失った事と合わさって、帝国軍の損害は、あの第2次ティアマト会戦の『軍務省にとって涙すべき40分間』を上回ると言われた。
一方同盟軍は、パストーレ中将とムーア中将の両艦隊司令官が戦死、さらに二個艦隊2万隻以上を失い、イゼルローン要塞も半壊するなど、損害は大きかったが、その比率は帝国軍の半分以下であり、結果を見れば同盟軍の大勝利と言えるだろう。

戦後、帝国軍首脳部で作戦に反対したエーレンベルク元帥は留任、作賛成したシュタインホフ元帥とクラーゼン元帥は辞任、後任には撤退戦の功で元帥に昇進したメルカッツが統帥本部長に就任、宇宙艦隊司令長官には上級大将に昇進したシュターデンが就任、クラーゼン元帥の幕僚総監は廃止されることとなり、帝国軍は立て直しを迫られることとなった。

だが、帝国貴族の中で中央に不満を持つ者が奸賊打倒を公言し、帝国上院議長オットー・フォン・ブラウンシュヴァイク公爵と副議長ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世侯爵が不穏な動きを見せ、各地で革命を標榜した民衆の暴動が収まらない中、ゴールデンバウム朝銀河帝国という国家そのものが崩壊しようとしていたのであった。


 
 

 
後書き
何とかここまで書けて良かったです。さあ革命までもう少しだ! 
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