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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第68話 やってきたぜ、塔中華島!チームに分かれて食材をゲットしろ!前編

 
 イッセーが深海熱にかかったと聞いた小猫達は、彼を救うために海鮮の実があるという塔中華島に向かっていた。


「イッセー先輩、待っていてくださいね……!」


 空を高速で飛ぶジェット機の中、小猫は愛するイッセーを想いオープンフィンガーグローブを装着して気合を入れる。


「安心しな、小娘!このオレ様がいるんだ!イッセーは必ず助けてやるぜ!」
「……」


 そんな彼女を毛深い大男が元気づけた。だが小猫は感謝するよりも戸惑いの表情で彼に声をかける。


「あの……ちょっと近いです、ゾンゲさん」


 そう、小猫が声をかけた男性はゾンゲだったのだ。彼は子分と共にジェット機に乗ろうとしていた小猫達の前に現れて同行すると言ってきたのだ。


 どうやらどこかでイッセーの状態を聞いたらしく、以前イッセーに助けてもらった借りを返したいと彼は言った。流石に小猫達もそんな彼の心遣いを無碍には出来ずに同行を許可した。


「ゾンゲ、ちょっと煩いわよ。小猫ちゃんはイッセーが心配なのよ?アンタみたいな大男が騒いだら余計に気が滅入るじゃない!」
「何だと!?」


 何故かついてきたティナがゾンゲに文句を言って彼とにらみ合った。どうも馬が合わないようだ。


 現在のメンバーは小猫、リアス、ゼノヴィア、イリナ、ルフェイ、黒歌、ココ、サニー、リン、ティナ、ゾンゲと子分達だ。鉄平やアーシアはイッセーの治療をする与作を補助をする為、祐斗と朱乃はまだ本調子ではないためライフに残っている。


「協力してくれるのは嬉しいけど正直戦力としては期待できないわよね……」
「滝丸君やマッチさんがいてくれたらありがたかったんだけど……まあしょうがないわよね」


 リアスはゾンゲの心意気には感謝しているが正直グレイトレッグに苦戦していた彼では戦力的な期待はできないだろうと話す。イリナはマッチ達がいてくれたらもう少し楽だったと思ったが彼らにも事情があるので仕方ないと割り切った。


「ふふっ、そんなに悲観しなくても大丈夫さ。確かに彼は実力は低いが美食屋というのは唯強ければいいっていう者じゃない、彼もきっと役に立ってくれるさ」


 そんなリアス達にココはそう発言した。実際ゾンゲがいなければアイスヘルで氷山に生き埋めにされていたかもしれない、それを思い出したリアスは彼は生き残るための運は凄いのかもしれないと思い美食屋というものは奥が深いのね、と知った。


「皆様、もうすぐ塔中華島に到着します」

 
 するとジェット機を操縦していたパイロットが塔中華島に到着すると皆に報告する。一同は窓から下を見て見ると緑豊かな島が見えた。


「あれが塔中華島……あら、何だか人工物のようなモノが見えるわね」


 リアスは島の中に明らかに人の手で作られた古い人工物を見つけた。この島は無人島だと聞いていたがどういうことなのだろうか?


「この島にはかつて人間も住んでいたんだ」
「そうなんですか?」
「塔中華島には栄養が豊富で薬の材料にもなる食材が多くある、それを求めて多くの人間が塔中華島に集まって集落も出来たんだ」
「うん?それではあの島は無人島ではないと言う事か?」
「今は誰も住んでねーんだよ」


 ココが塔中華島に人間が住んでいたと言うとルフェイが質問をした。ココの話では塔中華島には豊富な食材がありそれを求めて人が集まったようだ。それを聞いたゼノヴィアは塔中華島は無人島ではないのかと聞いたがココの代わりにサニーがそれに答える。


「島に住んだ人間たちは最初は仲良くやっていたんだけど、次第に島を支配しようとする人間が現れてそれが増えていったんだ。その争いで島は汚されていき、遂に人間こそが塔中華島を破壊する有害な生き物とされた。そして島の猛獣達に排除されていったんだ。今じゃその当時に住んでいた遺跡や建物だけが残っている、良くある美しくない話さ」
「どこの世界でもそういうことってあるのね……」


 サニーの説明にイリナは欲をかいて滅びる人間の末路を思い浮かべる。住む世界や場所が違えど人間の本質は変わらないようだ。


「今じゃ滅多に人が寄り付かなくなった塔中華島だけど、貴重な食材を求めて美食屋が訪れる事もあるらしいよ。でも島の猛獣達が強すぎて殆どが逃げ帰ってるって聞いたことがあるし」
「そ、そんなに強い猛獣がいるの……?」
「がっはっは!俺様がいれば怖い物なんてねぇよ!」
「流石ゾンゲ様!頼りになりますね!」
「お気楽で羨ましいわね」
「全くだし」


 リンの捕捉にティナが怯えた様子で強い猛獣がいるのかと聞いた。いかにココやサニーがいても怖いものは怖いのだろう。そんなティナを尻目にゾンゲが威勢よく発言し子分の一人が持ち上げたが、そんな能天気なゾンゲをティナとリンは白い目で見ていた。


「大丈夫ですよ、私達だって強くなりましたしココさんやサニーさんがいますから」
「そうね、いつも助けてもらってばかりだから今度は私達がイッセーを助ける番よ。皆、気合を入れていくわよ!」
『応っ!』


 ルフェイのフォローとリアスの号令にオカルト研究部と教会組が力強く答えた。今回はイッセー無しの初めての捕獲になるが、全員がイッセーを助けたいという強い気持ちに溢れ以前のリアス達とは違う頼もしさを感じさせる。


「あそこに海鮮の実が……待っていてくださいね、イッセー先輩。私達が必ず助けますから……!」


 小猫は改めて気合をいれ自分の頬を叩く、こうして一同は塔中華島に降り立った。


―――――――――

――――――

―――


「ここが塔中華島……魅力的な食材で一杯ね!」
「がっはっは!美味いもんは何処だー!」


 島に降り立った一同は島を探索していた。因みに帰りはフロルの風を使うのでジェット機はとっくに帰っている。


 最初は強い猛獣がいると聞いて怯えていたティナも珍しい食材にテンションを上げているようだ、ゾンゲもお腹が空いたのかそこらにある食材を片っ端から食べていた。


「あの二人、目的を忘れてないし?」


 イッセーを助ける為に塔中華島に来たのだが、それを忘れていないかとリンが呟いた。


「アキョー!」
「えっ……」
「危ない!」


 だがそこに何かが現れてティナに襲い掛かった。それを小猫が蹴りで撃退してティナは事なきを得た。


「な、何が起きたの!?」
「どうやら囲まれたみたいだね」


 イリナが何が起きたのか分からず困惑したが、ココの言葉に周囲を見る。すると自分たちの周りをカンフー服のような服を着た鳥がリアス達を取り囲んでいた。


「なにかしら、この鳥たちは?」
「服を着ているぞ」
「顔もどこか九官鳥に似ているわね」


 鳥なのに服を着ていることにイリナとゼノヴィアが怪訝そうに首を傾げた。リアスはその鳥が人の声を真似る鳥、九官鳥に似ていると呟く。すると鳥は素早い動きでゼノヴィアに向かって攻撃を繰り出した。


「なに!?今の動きは……!」


 ゼノヴィアはそれをかわすが鳥の動きを見て驚いていた。


「間違いありません!今のは拳法です!」


 格闘技に精通している小猫は、今の鳥の動きが拳法であると話した。


「この生物は『キュウカンフーチョウ』だね。人の動きを真似する知能の高い鳥だ」
「この島では嘗て拳法が使われていたらしいが、コイツらはそれを真似してるみたいだな」
「九官鳥がカンフーを覚えてキュウカンフーチョウ……なんかダジャレみたいな名前ですね」


 ココは自分達を取り囲んでいる生物の名前を呟き、サニーがそれを補足した。九官鳥がカンフーを覚えたからキュウカンフーチョウ……というギャグっぽい名前にルフェイが苦笑する。


『キエー!』


 キュウカンフーチョウ達は一斉にリアス達に向かって襲い掛かった。どうやら島を荒らしに来た外敵を駆除するために彼らは集まったようだ。


「よし、ココは僕が……」
「猛虎拳嵐!」
「円舞『霧風』!」


 ココが毒を使い攻撃しようとするが、そこに小猫が手刀の連撃でキュウカンフーチョウ達を怯ませた。そして後から続いてイリナが蹴りの風圧で生まれた竜巻を使いキュウカンフーチョウ達を吹き飛ばしていった。


「ココさん、サニーさん。ここは私達に任せて頂戴」
「いつまでも貴方たちに助けてもらっていたら、私達は強くなどなれないからな。いくぞ、リアス!」
「ええ!」


 そしてゼノヴィアとリアスはそろってキュウカンフーチョウ達に向かっていった。因みにゼノヴィアは前までリアスには殿を付けていたが親しくなったのでそれを辞めたようだ。


「部長、ゼノヴィアさん!キュウカンフーチョウ達は美味しくないそうです!」


 そこに小猫からアドバイスが送られた。どうやら先程ティナを庇った際にグルメスティックセンサーでキュウカンフーチョウのデータを得ていたようだ。


「了解よ、小猫。ゼノヴィア、分かってるとは思うけど……」
「ああ、食わない場合は命を奪わないんだろう?承知した!」


 ゼノヴィアは懐から魔剣を取り出した。デュランダルでは威力が強すぎるのでこういう時の為に祐斗に作ってもらっていたようだ。


「はぁっ!」


 ゼノヴィアはキュウカンフーチョウ達の攻撃を回避しながら、鞘ごと魔剣を振るい急所を攻撃してキュウカンフーチョウの意識を刈り取った。


「ふっ!はっ!」


 リアスは籠手を使いキュウカンフーチョウ達の攻撃をさばきながら普通の魔力弾で攻撃していく。滅びの魔力では加減が出来ないため普通の魔力弾を使用しているみたいだ。


「中々のカンフーだが、力不足だったな!」
「修行しなおしてきなさい♡」


 バタバタと倒れていくキュウカンフーチョウ達の背後でリアスとゼノヴィアが決めポーズを決めた。


「ラリホー!」
「ク……」
「カァ……」
「へぇ、リーア達も中々やるじゃん」
「うん、出会った頃よりも強くなっているみたいだね」
「皆ー!頑張れー!」
「あと少しだしー!」


 ルフェイが放った眠り魔法がキュウカンフーチョウ達を眠らせていく。そんなリアス達を見ていたサニーやココも彼女たちの成長を評価していた。ティナとリンは応援をしていたが、近くにいたゾンゲはぐぬぬと悔しそうにしていた。


「このままじゃオレ様の活躍が奪われちまうぜ!負けていられねぇ!」


 ゾンゲは斧を構えると一体のキュウカンフーチョウに向かっていった。


「喰らえ!ゾンゲスマッシュ!」


 ゾンゲは豪快に斧を振り下ろすがキュウカンフーチョウは軽くいなしてゾンゲを蹴り飛ばした。


「あひ~!?」
「ゾンゲ様ぁ!?」
「何やってんのよ、あいつ……」


 蹴り飛ばされたゾンゲは目を回していたが命に別状はないようだ。部下たちが介抱していたがティナは呆れていた。


「どう?まだやるかしら……ってあら?」


 キュウカンフーチョウはリアス達の前で膝をついていた。そんな彼らの行動にリアスが困惑しているとココが彼らの習性を教えてくれた。


「どうやら弟子入りしたいみたいだね」
「弟子入り!?」
「キュウカンフーチョウは自分に勝った強い生物に弟子入りする習性があるんだ。リアス君達の強さを見て弟子になりたくなったんだと思うよ」
「い、いや……そんなことを言われても困るわよ」


 ココの説明にリアスは困惑した様子を見せる。それも当然だ、いきなり弟子入りを志願されても普通は困るだろう。


「ふふふ……いいでしょう、貴方たちには小猫流拳法を伝授しましょう!」
「いいか、私の弟子になったからには剣術も学んでもらうからな。まずは素振り100回だ!」
「いや何やってるのよ、貴方たち……」


 小猫やゼノヴィアはノリノリだったがリアスに突っ込みを入れられた。一同は弟子入りは兎も角海鮮の実の情報があるかもしれないと思い、キュウカンフーチョウ達の住処に案内してもらう事になった。


「そういえば黒歌は戦わなかったけど戦えるの?」
「うにゃ?まあ最初は加勢しようかなって思ったけど白音が思っていた以上に強くなっていたから何もしなかったにゃん」
「へ~、節乃さんの弟子だからきっと黒歌も強いんだろうね」
「ふふっ、いずれ実力を見せられる時が来るよ。そのときまで楽しみにしていてね♪」


 道中でティナが戦いに参加しなかった黒歌に戦えるのか質問した。黒歌としては加勢するつもりだったが小猫達が予想以上に強かったので参加しなかったようだ。


 節乃の弟子である黒歌の実力も高いはずだとリンが言うと、黒歌はいずれ実力を見せると言ってウィンクをした。


――――――――――

――――――

―――


「ここって……」
「遺跡ですね」


 キュウカンフーチョウ達に案内されて島の奥に来たリアス達は、キュウカンフーチョウ達の住処にたどり着いた。だがそこは野生の生物が住むにしては明らかに場違いな場所だった。何故なら人が住むような建物があったからだ。


「ここは恐らくかつてこの島に住んでいた人間たちが住んでいた集落だった場所だね」
「なるほど、廃棄された集落にキュウカンフーチョウ達が住み着いたって訳か」
「でも器用な鳥だよね、人間みたいに工事しているし」


 ココはこの場所がかつてこの島に住んでいた人間たちの集落だと言い、サニーは廃棄された集落にキュウカンフーチョウ達が住み着いて今の状況になったのかと話す。


 キュウカンフーチョウ達はまるで人間のように道具を使い破損した建物を直していた。恐らくそれも以前人間が住んでいた時に覚えたのだろうが知能の高さにリンは驚いていた。


「ねぇ見てよ!あそこに珍しい食材があるわよ!」
「あっ、ティナさん!」


 するとティナが近くに会った珍しい食材に駆け寄っていく。小猫は慌ててそれを追っていった。


「うわー!見て見て『ライチョウザメ』よ!ライチみたいにプルンとした触感が最高なのよ!しかもこっちには海に煌めく星と言われる『星アワビ』!市場でもめったに出ない高級食材ばかりじゃない!うー!テンションめっちゃてんこ盛りだし!」
「おっ、美味そうじゃねーか。俺にもくれよ」
「あっ、ちょっと!そんな汚れた手で触れたら食材が腐っちゃうでしょ!」
「なんだと!?オレ様をばい菌みたいな扱いするんじゃねー!」
「さっきお尻をかいてたの見たんだからね!デリカシーの無い男ね!」


 ティナは星アワビやライチョウザメといった珍しい食材に目を輝かせていたが、ゾンゲが触れようとすると怒りだして喧嘩が始まった。


「あの二人、水と油ね」
「でもどうしてそんな珍しい食材が山盛りにされているんでしょうか?」
「キュウカンフーチョウは海の幸を好んで食べるからね、きっと彼らのエサなんだろう」
「えー、こんな美味しそうなものをずっと食べられるなんて羨ましいしー」
「お前は甘いモンしか食わねーだろうが。だからそんな土管みたいな足になるんだし」
「お兄ちゃん、むかつくしー!」


 リアスはゾンゲとティナの関係を水と油だと言いため息を吐いた。そんな二人を尻目に小猫は高級食材がこんなにもある事に首を傾げていたが、ココはキュウカンフーチョウ達のエサだと話す。


 それを聞いたリンはこんな高級食材を毎日食べられることを羨ましがったがサニーに一瞥されて怒ってしまった。


「ねえ貴方たち、この食材少し分けてくれないかにゃ?美味しいご飯を作ってあげるから~。ねぇ。お願い……?」
『キョー!』
「そんな人間の男みたいな反応まで真似してんじゃないわよ!?」


 黒歌は胸を寄せてキュウカンフーチョウ達におねだりをする、それを見たキュウカンフーチョウ達は興奮したように鳴いて食材を差し出した。それを見たリアスはツッコミを入れた。


 その後リアス達は休憩を取る事になり、それぞれが自由に行動する事になった。黒歌は小猫と一緒に料理を作りそれが出来るころには全員が集まっていた。


「美味いぞ、このおかゆ!黒歌、おかわり!」
「出汁が効いていて美味しい!もっと食べたくなっちゃうわ!」
「がはは!なんか酒が飲みたくなってきたな!おい、鳥!酒をくれ!」
「キュー?」
「そんなものあるわけないでしょう。でも本当に美味しいわね♡」


 出された料理をモリモリと食べるゼノヴィアとイリナ、ティナやゾンゲとキュウカンフーチョウ達の口にもあったらしく全員が黒歌と小猫の料理を堪能していた。


「流石姉さまの作った料理ですね。皆、美味しそうに食べています」
「白音も手伝ってくれたからにゃん。でもまさか白音が料理の腕を上げているとは思わなかったよ、だって小さい頃は包丁で指を切ってえんえんと泣いていたからね」
「私だって成長していますから」


 フンスと胸を張る小猫を見て黒歌はクスッと笑みを浮かべた。彼女はこんな風に家族と楽しく生活をしていた昔を思い出していた。


「皆、少しいいかな?」
「あっ、ココさん。お料理が出来ましたよ」
「ありがとう、小猫君。でもごめん、それは後で頂くよ。実はある情報を得たんだ」
「情報ですか?」


 遅れて来たココに小猫が料理を差し出すが、ココは申し訳なさそうに断った。そして情報を得たという彼に小猫は首を傾げた。


 ココはキュウカンフーチョウの住処の辺りを探索していたらしく、その道中で石碑を見つけたらしい。その石碑には『島に溢れる海 果実は実る』『伝説の四季の食材 隠されし塔の中に眠る』と刻まれていたらしい。


「島に溢れる海……?どういう事でしょうか?」
「それに隠された塔っていうのも気になるわね。ジェット機の上からじゃ塔なんて見えなかったけど」


 小猫は島に溢れる海という言葉に首を傾げ、イリナはこの島を空の上から見た時に塔らしきものは見えなかったと話す。


「塔は見えなかったが、島の中心に湖のようなモノは見えたな」
「でも海って書いてあるんだからそれは違うんじゃないの?」


 ゼノヴィアは島の中心に湖のようなモノが見えたと言うが、リンは海じゃないから違うんじゃないのかと言う。


「うん?そういえば料理の中にイソヌンチャクを使ったものがあったな。クロ、あれは海から持ってきたのか?」
「ううん、あれを取ってきたのは白音だにゃん」
「はい、食材を洗いに川に行ったらあったのでついでに持ってきました」
「おかしいわね?イソヌンチャクって海に住む生物だから真水では生きられないはずなんだけど……」


 サニーがイソヌンチャクを使った料理を見て黒歌に質問をした。すると黒歌はイソヌンチャクを取ってきたのは小猫だと話して彼女もそれに同意した。だがイソヌンチャクは真水には生息していないとティナが話した。


「小猫君、イソヌンチャクをとった場所に案内してくれないか?」
「分かりました」


 小猫はそう言うとココ達をその場所に案内する。そして小猫の案内で近くにあった小川にやってきた。


「ここでイソヌンチャクを取りました」
「確かにイソヌンチャクがいるね、どれ……」


 ココは川に手を入れると水を舐めた。


「思った通りだ、この川の水は海水だね」
「えっ?あっ、本当ね。しょっぱいわ」


 ココが川の水が海水だと言いティナも舐める、するとしょっぱさを感じたようだ。


「川の水が海水ということは何処からか海水が流れ込んできているのか。そうなると空から見た湖の水も海水である可能性は高いな」
「ビンゴじゃない!まさにさっきココさんが言っていた島に溢れる海ってソレの事よ!」


 ゼノヴィアは空から見た湖は海水だったと話して、イリナはそこが石碑に書かれていた場所だと思った。


「じゃあ急いでそこに向かいましょう!」
「いや、待ってくれ」


 急いで島の中心に向かおうとするリアス達だったが、そこにココが待ったをかけた。


「どうしたの、ココさん?」
「時間が惜しい、海鮮の実は僕とサニーで捕獲しに向かう。君たちは四つの四季の食材があるという塔を探してくれ」
「なるほど、二手に分かれるって事ね。ココさんとサニーさんがいれば安心だわ。四季の食材の方は任せて頂戴」
「頼んだよ」
「ちょっと待ってにゃ」


 すると今度は黒歌が待ったをかけた。


「私はココとサニーに付いていくにゃん」
「どうしてですか、姉さま?」
「節乃さんから聞いたことがあるんだけどココって占いが得意なんだよね?四天王と呼ばれる二人がそろって向かうって事はそこにいる猛獣が一番強いって事でしょ?」
「うん、僕の占いではそう出たね」
「ならそこを速攻で片づければココ達が白音達の加勢に行けるにゃ」
「確かにその方が合理的だが……」


 ココは黒歌の提案に合理的だと言うが表情は曇っていた。


「でもそうすると四季の食材を探す方の危険が大きく上がってしまう。特にリアス君と小猫君に死相をうっすらと感じた」
「私達に死相が?」
「ハッキリと見えたわけじゃないから確実ではない、でも死ぬ可能性はあるよ。黒歌君と一緒ならそれが大きく下がるんだ」


 ココの話では黒歌がココ達と共に来るとリアスと小猫が危険と占いで出たらしい。だが時間が無いのも事実で、イッセーを助けるのに黒歌の提案を受けた方が可能性が高くなることも占いで分かっていた。どっちの選択を取るのか、全員が黙っていたが……


「……姉さま、行ってください」
「小猫君?」


 その沈黙を破ったのは小猫だった。彼女は黒歌にココ達についていってほしいと、自分に危険が迫ると分かっていてそうハッキリと言った。


「危険なのは百も承知です。でもそのほうがイッセー先輩を助けられる可能性は上がるんですよね?」
「ああ、僕とサニーだけなら安全性は上がるが時間がかかるみたいだ。黒歌君が一緒ならそれを短縮できるのは間違いない」
「ならそっちを取るべきです。私達はイッセー先輩を助ける為にここに来たんですから」
「……リアス君は良いのかい?」
「私もそれで構わないわ。黒歌が一緒なら心強いけど、いつまでも誰かに甘えていたら強くなれないし、絶対に死ぬって訳じゃないなら生き残って見せるわよ!」
「……そうか。ならここは占いではなく君達を信じてみよう」


 小猫はイッセーを助けられる可能性が高い方を取り、リアスも構わないと話した。ココは彼女達の可能性を信じる事にして黒歌の提案を受け入れた。


「姉さま、気を付けてくださいね……」
「白音達も気を付けてね、直ぐに片を付けてそっちに助けに向かうから」


 ココとサニー、そして黒歌はリアス達と別れると島の中央に向かった。


―――――――――

――――――

―――

 
 ココとサニーは海鮮の実を捕獲するために島の中央を目指していた。川をさか登り島の上に向かうと遺跡よりも大きな人工物が存在していた。


「これは水門かな?なんて大きさなんだ」
「それよりもココ、クロ、気づいているか?俺達、囲まれているぜ」
「どうやら一筋縄ではいかないようだにゃ」


 水門に近づくココ達の前に猛獣達が姿を現した。どうやら水門を守る番人らしい。


「サニー、黒歌さん。ここは僕に任せて先に行くんだ」
「いや、見て見ろよ。お前じゃキツイ奴もいるぜ?」
「アレは……『免疫オロチ』か。毒に対して強い耐性を持つ猛獣、僕の苦手な生き物の一つだ」


 ココは毒を使って猛獣達を動けなくしようとするが、毒に対して体制を持つ生物も多数いるようでココは顔を苦くしていた。


「ここは私に任せるにゃ!」
「クロ一人でか?流石に厳しいんじゃないのか?」
「でもこれを全部相手していたら時間がかかるにゃん。能力的に集団戦はココとサニーの方が強いし時間も無いからそうしたほうがいいと思うにゃ」


 サニーは一人じゃ厳しいと言うが、目の前の猛獣達は捕獲レベルも高く数も多い。全員で挑むよりは誰かが先に行って海鮮の実を捕獲した方が時間も短縮できるだろう。


「任せてもいいのかい?」
「私は節乃さんの弟子にゃ、足手まといにはならないよ」
「……分かった。ここは僕達に任せて。黒歌さんは海鮮の実を頼む」
「了解にゃ!」


 ココとサニーに場に任せて黒歌は水門の奥へと向かった。


「ここが水門の中心ね」


 黒歌の来た場所は湖のような広さの貯水池だった。周りの水には木々が生えておりそこに何かの実が成っていた。


「間違いないにゃん、あれが海鮮の実ね」


 黒歌は海鮮の実を取ろうとしたが、何かが水中から飛び出して黒歌に襲い掛かる。黒歌はそれをかわして後方に跳ぶが大樹から龍のような頭が、そして水中から触手のようなモノがいくつも出てきた。


「この生物はもしかして『饅具龍舞(マングロンブ)』!?」


 黒歌は現れた生物を見て驚いていた。饅具龍舞は水に住む植物獣で中華まんのような実を付けると聞いていたがそれが海鮮の実だとは流石に知らなかったようだ。


 饅具龍舞はいくつもある顔を動かして黒歌に襲い掛かった。黒歌はそれをジャンプしてかわすと手の平に何かの球体を生み出した。


「螺旋丸!」


 黒歌はそれを饅具龍舞の頭にぶつける、すると凄まじいエネルギーによって饅具龍舞の頭が吹き飛ばされた。


 黒歌が使った技は彼女が仙術によって練られた氣をカロリーと混ぜ合わせる事によって生まれるエネルギーをぶつける技だ。


 本来仙術は氣を操れても氣そのものを具現化してぶつけたりは出来ない、だが黒歌はグルメ細胞が目覚めた影響によってカロリーと氣を混ぜ合わせて新たなエネルギーを作れるようになった。螺旋丸はそれを応用して作った技の一つだ。


「ふふん、どうにゃん……!?」


 頭の一つを粉砕して得意げな顔を浮かべる黒歌、だが饅具龍舞の吹き飛ばされた頭が見る見るうちに再生してしまった。


「なんて再生力なの?……もしかしてこの貯水池じゃなくて海の栄養を集める場所なの?」


 饅具龍舞は栄養が豊富な場所では頭を一つ吹き飛ばされても直ぐに再生するほど強くなるらしい、この施設は饅具龍舞を効率よく育てる為にかつての人間たちが作った場所なのかもしれないと黒歌は考えた。


「なら狙うのは頭じゃなくて体ね!はぁっ!」


 黒歌は襲い掛かる触手を螺旋丸で破壊しながら饅具龍舞に迫っていく。だが饅具龍舞は口から水を噴射して黒歌に放った。黒歌は空中で体をひねりそれをかわすが、後ろにあった橋に水が当たると綺麗に斬れてしまう。


「まるでウォーターカッターね!」


 当たったらバラバラに切り裂かれてしまうだろう、そう考えた黒歌は冷や汗を浮かべる。黒歌は饅具龍舞の放つ水流のカッターや触手に阻まれて中々接近することが出来なかった。


「もう少しで氣を練り終えるにゃん、そうすれば……!」


 黒歌は触手をかわすが、水面に触手が打ち付けられた際に打ちあがった水しぶきに視界を奪われてしまう。その隙を突かれて足を触手で掴まれてしまった。


「しまった……!?」


 饅具龍舞は黒歌を捕らえると頭の一つに食べさせた。饅具龍舞の頭の中は水で埋め尽くされており呼吸を封じられた黒歌は苦悶の表情を浮かべる。


(このまま窒息させる気かにゃん……!)


 黒歌は脱出しようとするが触手によって四肢を封じられ、更に激しく渦巻く水に意識を奪われていく。


(く、苦しい……!でも負けられないにゃん!イッセーを助けるまでは……!)


 この世界で妹に再会させてくれたイッセーに黒歌は深く感謝していた。最初は唯の一目ぼれだったかもしれないが、今の黒歌は心からイッセーが好きだと言えるくらい彼を想っていた。


「毒霧の術!」


 黒歌は体から毒の霧を放つ。それが饅具龍舞の頭の中の水と混ざると饅具龍舞は苦しそうに頭を振り出した。


「今にゃ!」


 黒歌は弱った饅具龍舞の触手を引きちぎり頭を蹴りで砕いて脱出した。そして片手に巨大な螺旋丸を生み出すと饅具龍舞に向かっていった。


「大玉螺旋丸!」


 先程よりも大きな螺旋丸が饅具龍舞の体である大樹にぶつかった。ガリガリと抉るように突き進んでいき饅具龍舞の体であった大樹は倒れて水の中に沈んでいった。


「ごめんね、でも直ぐに戻れるはずにゃん」


 饅具龍舞は植物獣なのでまたここで栄養を得て復活するだろう。黒歌は水に浮かんでいた海鮮の実を回収してココとサニーの元に向かった。


「ココ!サニー!無事に海鮮の実をゲットできたにゃん♪」
「お疲れ様、黒歌君」
「こっちも片付いたぜ」


 猛獣達を撃退したココとサニーが黒歌にねぎらいの言葉をかけた。二人の周りには毒やヘアロックで動けなくなった猛獣達が倒れていた。


「じゃあ急いで小猫君達の加勢に向かおう」
「案外もう四季の食材をゲットし終わってるかもしれねぇな」
「白音も頼もしくなったしね♪」


 海鮮の実をゲットした黒歌たちは、急ぎ小猫達の元へと向かうのだった。

 
 

 
後書き
 小猫です。姉さま達と別れた私達は伝説の四季の食材を求めてマッシュルームに向かいました。そこで各フロアごとに分かれて食材をゲットしようとします。私はリアス部長と組んで冬のフロアに向かいましたが……


 次回第69話『やってきたぜ、塔中華島!チームに分かれて食材をゲットしろ!後編』で会いましょうね。にゃん♪ 
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