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レーヴァティン

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第百六十五話 視察その五

「いいな、これは法としてだ」
「定められますね」
「それではです」
「我等もその法を定めます」
「そして天下にその法を敷きます」
「法なくては天下は治められない」
 絶対にとだ、英雄は言い切った。
「まことにな」
「はい、人が治めてはです」
「どうしても限度があります」
「天下が広くなると隅から隅まで見られません」
「そうなりますので」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「天下を広く隅から隅まで治める為にな」
「法がありますね」
「そしてその法を定め」
「そのうえで治めていきますね」
「そうしていく、だからこのこともな」
 起きた世界で言う労働基準や労働環境のこともというのだ。
「定める、そういうことだ」
「そして天下をどんどんよくしていき」
「正しくもしてですね」
「かつ豊かにもしていく」
「そうなのですね」
「そうだ、では進めていく」
 こう言ってだ、英雄は働く者達のことも法で定めた。そうして彼等の酷使を防ぎ安全も確かなものにした。
 するとだ、天下は。
 さらによくなった、それで幕臣達は驚いて言った。
「まさか働く時を決めると」
「そして給与の最低を定めると」
「場を安全なものにしますと」
「ここまでよくなるとは」
「朝早くから夜遅くまで働く」
 英雄はその幕臣達に静かな声で話した。
「それは一見いいが」
「しかしですね」
「疲れが溜まる」
「そうなるからですね」
「やがて働く力が落ちるのですね」
「そうなる」
 つまり能率が落ちるというのだ。
「だからだ」
「働く時は定める」
「長い時間働くのではなく、ですか」
「働く時を決めて働いてもらう」
「その方がいいのですね」
「働き詰めで疲れてはだ」 
 そうなってしまってはというのだ。
「長く働けないしな」
「一日や二日は大丈夫でも」
「すぐに疲れてしまい」
「働く力が落ちる」
「そうなるからですね」
「だからよくないのですね」
「よくわかりました」
 今の働いて出て来る実りが多くなった状況を見てだ、幕臣達は話しった。
「そうなのですね」
「かえってこの方がいいのですね」
「そして暇な時は遊んでもらう」
「妻や子とも一緒にいてもらうのですね」
「そうもしてもらう、遊べばだ」
 どうなるかもだ、英雄は話した。
「色々と金が落ちるな」
「ものを買ったり飯を食ったり」
「そして落語や芝居を観ますね」
「本も買って読みます」
「そこで銭も動きますね」
「そこからまた実りが生まれる」
 遊び、それからだというのだ。
「だからいいのだ」
「左様ですね」
「それではですね」
「これからもですね」
「働きについてはそうしていきますね」
「そうする、遊びもあっていい」
 それを禁じることはしないというのだ。 
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