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レーヴァティン

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第百六十五話 視察その四

「重罪人だからな」
「重罪人なら情けは無用」
「墓も必要なし」
「そして弔う場所もいらぬのですな」
「そのことは徹底しろ、悪を為せばどうなるのかも世に見せるのだ」
 見せしめ、その意味もあるというのだ。
「ではいいな」
「その様にしましょう」
「では鉱山であの者達は徹底的にです」
「搾り取ってやりましょう」
「こき使っていきましょう」
「死んでもそれまでで、です」
 こう言ってであった。
 英雄は鉱山から石炭や銀他の鉱物も掘らせてそうしてだった。
 そこからも利益を得ていた、彼は罪人には無慈悲であった。しかしそれだけでなく港を見てだった。
 周りにだ、こうも言った。
「働いている者は酷使するな」
「時間や給料を決めて、ですか」
「休む場所も清潔にし」
「そして飯もよくしますか」
「それを法でも定める」
 その様にするというのだ。
「民と罪人は違うからな」
「民ならばですか」
「大事にしなければならない」
「その様にせよというのですか」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「港でも店でも工場でもでだ」
「そして船の中でもですね」
「田畑においてもですね」
「働いてもらうが」
 それでもというのだ。
「そこに限度をもうける」
「そして、ですか」
「働く時や報酬、飯はしっかりとしたもので」
「休む場所も奇麗にする」
「その様にしますか」
「そうだ、それでだ」
 そのうえでというのだ。
「長く働いてもらう、民は使い捨てではない」
「民は宝ですか」
「国のそれですか」
「幕府のそれですか」
「それなのですか」
「そうだ、俺はこの世界を救う為にここにいる」
 自分達のすべきことも話した。
「なら尚更だ」
「民は粗末にしない」
「使い捨てにはしませんか」
「だから働く時も給与も考え」
「飯まで、ですか」
「働く場所もだ」
 そちらもというのだ。
「安全な様にな」
「そうしますか」
「働く場所も」
「そこも、ですか」
「そうもしますか」
「そうする、働いている時に怪我をされても困る」
 このことについてもだ、英雄は述べた。
「これは俺の世界でのことだが」
「それでもですね」
「考えとしてこの世界にも入れる」
「そうされるのですね」
「そうだ、そうしたことも出来てこそだからな」 
 それだけにというのだ。
「いいな」
「こうしたことまで考えることは我等にはなかったですが」
「上様は違いますな」
「起きられた世界のこともいいことならですか」
「採り入れられますか」
「いいものは全て採り入れてこそだ」
 まさにというのだ。
「発展する」
「幕府にしても」
「そうなのですね」
「だからこそですね」
「上様はそうしたことも言われますか」
「そして命じる」
 ただ言うだけでなくというのだ。 
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