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星河の覇皇

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第七十五部第二章 開戦直前その十五

「何かとな」
「興味深い戦いが多く」
「それでだ」
「学びましたね」
「我々はな、その武田信玄の言葉だったな」
「戦の勝ちは六分か七分でよし」
「八分が最上だ」
 それだけの勝利でというのだ。
「十分の完全な勝利は最善ではない」
「そう言っていましたね」
「あの戦国大名はな」
 戦国大名はサハラではスルタンと認識されている、どちらも領主であることからそう認識されているのだ。
「名将であったがな」
「そう言っていましたね」
「私は十分の勝利が最善だと考えている」
 アッディーンとしてはだ。
「それがな」
「犠牲を最低限に抑えそのうえで」
「戦略目的を達成する」
「それこそがですね」
「まさに最善だ、だがそれは相手による」
「シャイターン主席が相手では」
「十分の勝ちは有り得ない」
 イスラムの考えでは絶対ではないがそれでもそれが出来る可能性は極めて低い、ゼロに等しいというのだ。
「絶対にな」
「そう言っていいですね」
「しかも兵力がほぼ互角だとすると」
「六分で、ですね」
「最善かも知れない、引き分けでだ」
 つまり五分でというのだ。
「全力かも知れない」
「それでは」
「川中島だな」
「あの戦の様ですね」
 その武田信玄と上杉謙信の戦だ、五度に渡って繰り広げられたが四度目が最も有名である。
「まさに」
「そうだな、そうなってもだ」
「勝ちますか」
「戦争全体でな、一つ負けてもだ」
 局地戦や緒戦でだ。
「それでもだ」
「諦めることはしないですね」
「そうだ」
 こうガルシャースプに話した。
「それはない」
「一つの敗北では、ですね」
 戦術でのそれではというのだ。
「諦めない」
「さらにですね」
「攻める」
 そうするというのだ。
「次の戦いを挑む」
「それでは」
「何度も戦いそしてだ」
「国家同士の戦争としてですね」
「勝敗を決する」
 これがアッディーンのティムールとの戦いへの考えだった。
「何度も戦えばお互いに戦力を消耗するか」
「消耗の度に戦力を補充する」
「そうなればどうなるか」
「はい、国力の高い方が勝ちます」
「消耗戦に持ち込めば有利不利ははっきりする」
 そうした戦いに持ち込めばだ、近代戦においてはこうした国力を念頭に置いた戦争も多くなっている。
「だからだ」
「この度は」
「そうした戦いを強いることもな」
 シャイターンに対して。
「考えているが」
「私が思いますに」
 こう前置きしてだ、ガルシャースプはアッディーンに話した。 
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