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星河の覇皇

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第七十五部第二章 開戦直前その十三

 ふとだ、彼は統合作戦本部長であるガルシャースプに対してだ、彼の部屋でこうしたことを言った。
「このアリーも長いな」
「そうですね、閣下が大佐の頃からでしたね」
 ガルシャースプも共にいたのでよく覚えていることだ。
「思えば」
「そうだった、あの時の私はだ」
 アッディーンは大統領の仕事をしつつ彼に応えた。
「巡洋艦の艦長からだ」
「敗北間近だった戦局を逆転させた功績で大佐になられ」
「この艦の艦長となった」
「そうでしたね」
「その時からだ」
 まさにというのだ。
「私はこの艦に乗って多くの戦場を駆け巡ってきた」
「言うならば愛馬ですね」
 ガルシャースプはここでこうも言った。
「このアリーは」
「そうだな、今は銀河の時代でだ」
「艦に乗り戦場を駆け巡るので」
「艦は馬だ」
「そうですね」
「馬に乗ってだな」
「我々は戦っている」
「今も」
 艦を馬とすればというのだ。
「そうだな、確かに」
「そしてこの度もですね」
「アリーと共にある、しかしこのアリーもだ」
 アッディーンはその愛馬についてこうも言った。
「連合ではな」
「戦艦としてもですね」
「小型だ」
「巡洋艦程の大きさもなかったですね」
 それも軽巡である。
「そうでしたね」
「ティアマト級は凄かったな」
 連合軍を象徴する艦隊を率いるその艦はというのだ。
「恐ろしい大きさだったな」
「サハラの艦艇なぞ」
「まるで蚊だ」
「巨人の様でした」
「そのティアマト級よりも巨大な艦も出て来た」
「ゾロアスター級ですね」
 全長百キロの超巨大戦艦だ、この艦のことはもう人類社会全体に知れ渡っているのだ。連合軍の宣伝によって。
「あれは凄いですね」
「ティアマト級にも驚いたがな」
「一隻でどれだけの戦力があるのか」
「想像も出来ない」
 それ位のものだというのだ。
「ティアマト級一隻で一個艦隊規模と言われた」
「実際にそれだけの戦力がありますね」
「それでだ」
「あの超巨大戦艦ともなりますと」
「それこそだ」
「そのティアマト級以上で」
「恐ろしいものだ」
「あの超巨大戦艦ならば」
 ここでガルシャースプはこうも言った。
「ティムール軍の防衛線もですね」
「容易に突破出来る」
「そうですね」
「突破してだ」
 そのうえでというのだ。
「ゲリラ戦もだ」
「跳ね返せますね」
「それだけの戦力がある」
「ティアマト級でも出来るでしょうが」
 ティムール軍の防衛ライン突破をだ。
「あの超巨大戦艦なら」
「さらにだ」
「出来ますね」
「楽にな、まさに動く要塞だ」
「難攻不落の」
「そうだな、しかし難攻不落というが」
 ここでこうも言ったアッディーンだった。 
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