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星河の覇皇

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第七十五部第二章 開戦直前その九

「私も然りだ」
「既に勝利を確信していた」
「軍を進めるルートや敵の位置、攻め方まで」
「それ故に行ってきた」
「そうなのですね」
「大胆と思われる動きには訳がある」
 確かなそれがというのだ。
「それはだ」
「確かな裏付けがある」
「閣下の場合はですね」
「そうなのですね」
「そうだ、私は確信と共に動く」
 彼の資質に基づくそれによってというのだ。
「人の話も聞いてな」
「それも即断ですね」
「しかも即決ですね」
「戦争は時だ」
 時間、それが最大の問題である。それは決して止まることなく常に動いているものでもある。
「躊躇は最大の敵だな」
「はい、まさに」
「迷ったその時はです」
「敗北します」
「どういった名将でも」
「ナポレオンでもだ」
 この軍神とさえ讃えられた英雄でもというのだ。
「ワーテルローでは迷ったな」
「ここぞという時に近衛軍を投入するか」
「まさにイギリス軍を破れる時に」
「一瞬でありますが」
「その投入を迷い」
「その間にイギリス軍に態勢を整えられ」
「迎撃されてでしたね」
「勝機を逃しました」
「そうなったからだ」
 だからこそというのだ。
「私も今言うのが」
「躊躇こそがですね」
「最大の敵である」
「戦場においては」
「まさに一瞬だ」
 その一瞬でというのだ。
「決まるからな」
「勝敗を分けますね」
「まさに」
「そうなってしまいますね」
 司令達も軍人だ、このことはわかっている。戦場では一瞬の躊躇が生死そして勝敗を分けることをだ。
「だからですね」
「こうした時は迷わない」
「決して」
「そうですね」
「そうだ、間違った判断であってもだ」
 例えそうであってもというのだ。
「若し躊躇すればだ」
「そこに隙が出来る」
「動きが止まる」
「だからですね」
「閣下も我々もですね」
「戦場では躊躇してはならない」
「決して」
「同じワーテルローでだ」
 その戦いでというのだ。
「ネイは迷わなかったのな」
「フランス軍元帥の」
「あの軍人はですね」
「そうだった、全騎兵の突撃を行ったが」
 イギリス軍が下がったと見てそれを勝機と見てだ、歩兵や砲兵の援護を受けなかったが即座に行わせたのだ。
「あそこで逡巡するよりもだ」
「むしろですね」
「あそこで突撃を行わせる方がいい」
「後のナポレオンの行動よりも」
「そうだ、あの時イギリス軍に隙が出来た」
 そのフランス騎兵の突進でだ。 
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