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おぢばにおかえり

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第五十九話 先輩と神戸でその十三

「あの子ですか」
「そう、あの子の分もよ」
「買っておかないといけないですか」
「プレゼントすると喜ぶわよ、彼」
「そういえば明日来るんですよあの子」
 ここで阿波野君のことを思い出さずにいられませんでした。
「うちの教会に」
「じゃあ丁度いいわね」
「はい、あの子食べるの好きみたいだし」
 それならでした。
「月餅がいいですかね」
「月餅ね」
「はい、あのお菓子を」
 こう先輩に答えました。
「どうでしょうか」
「いいわね」
 先輩は私に微笑んで答えてくれました。
「あのお菓子美味しいからね」
「はい、阿波野君も喜んでくれますよね」
「多分あの子なら」
「阿波野君ならですか」
「ええ、何でも喜んでくれるけれど」
「そうなんですか」
「月餅もね」
 こちらもというのです。
「絶対に喜んでくれるわ」
「そうですか、それじゃあ」
 私はすぐに家族と阿波野君へのお土産を買いました、勿論大石さんの分もです。ただその後で、でした。
 先輩のお言葉で気になったものがあって先輩に尋ねました。
「あの、阿波野君なら何でもっていわれましたね」
「ええ、言ったわよ」
 その通りという返事でした。
「今ね」
「そうですよね」
「ちっちのプレゼントならね」
「そうなんですか」
「絶対にね。ちっちもいい後輩君と会ったわね」
「いいでしょうか」
 このことについてでした。 
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