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星河の覇皇

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第七十五部第一章 最後の戦いのはじまりその四十三

「そうしてです」
「扱っていますか」
「はい」
「そうだったのですか」
「お気に召された様ですね」
「かなり」
 実際にとだ、八条は飲みつつ述べた。
「かなり飲みやすく」
「味もですね」
「いいです、程よい甘さです」
「旦那様は日本酒は甘口ですね」
「辛口もいけますが」
 それでもというのだ。
「やはり日本酒は甘口です」
「そちらですね」
「そうです」
 こうその酒を選ぶ使用人に答えた。
「これはいいお酒です」
「では」
「もう一本下さい」
 おちょこのそれをというのだ。
「そして空けば」
「空くだけですね」
「頂きたいです」
「ですが」
 一人の和服で白髪を奇麗に結い上げている老婆が言ってきた、その顔立ちは気品があるものだ。
「お酒はです」
「過ぎるとですね」
「はい、毒です」
 昔から言われていることを言うのだった。
「適量ならお薬ですが」
「過ぎればですね」
「毒になりますので、しかも旦那様は」 
 名を福山茂子という、八条家に代々仕えている女で家庭ではよき夫優しい妻だが厳格さも備えていることで知られている。
「非常にご多忙で」
「疲れもですか」
「あります、ですから」
 酒は過ぎると、というのだ。
「よくありません」
「それはそうですが」
「美味しくて、ですか」
「一升位は」
「一升ですか」
「駄目でしょうか」
「ぎりぎりですね」
 飲む量として、というのだ。
「それ位が」
「私にとってはですね」
「旦那様はお酒はお強い方です」
 結構飲める方だ、尚甘い食べものも好きだ。日本酒好きであるがそちらの酒も好きなのだ。
「ですが」
「過ぎるとですね」
「よくありません、しかも日本酒は」
 福山は日本酒自体の話もした。
「今はかなり抑えられていますが」
「糖分が多いので、ですね」
「今は完治する病ですが」
 それもすぐにだ。
「糖尿病もあります」
「それで、ですね」
「過ぎるとです」
「ですから一升ですか」
「それがぎりぎりかと」
 飲めるそれのというのだ。
「それ以上になりますと」
「私自身にとってですね」
「よくありません、ですから」
「一升ですか」
「はい」
 福山は八条に厳しい声で答えた。
「本来は一升でもです」
「多いですね」
「どうにも」
「そうですか」
「旦那様は飲まれると普通に日本酒は一升ですね」
「ワインだとボトル二本です」
 八条は自ら答えた、ワインについては。 
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