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八条学園騒動記

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第五百七十話 タイツはないその一

               タイツはない
 マルティは衣装合わせの時に周りにこう言った。
「いや、普通の衣装でね」
「どうなのかな」
「よかったよ」
 こう一緒にいるネロに答えた、彼はフォルスタッフの従者の一人の役だ。
「ズボンでね」
「ああ、タイツじゃなくて」
 ネロはすぐに察して言った。
「それでだね」
「うん、タイツはね」
 これはとだ、マルティは言った。
「僕としてはね」
「抵抗があるんだね」
「あれは恥ずかしいよ」
 こう言うのだった。
「どうしても」
「そうだよね、実はね」
「ネロもなんだ」
「男でタイツはないよ」
 ネロはマルティに嫌そうな顔で話した。
「それにあの提灯ブルマもね」
「ああ、王子様みたいな」
「あと股間の前を強調した」
「あれコッドケースって言うんだよね」
「あれないよね」
「うん、だからね」
 マルティはさらに話した。
「衣装ああいうのじゃなくてね」
「ズボンでだね」
「本当によかったよ」
 マルティはしみじみとした口調で言った。
「僕心から思ってるよ」
「フォルスタッフ卿でもね」
「タイツの場合あるよね」
「舞台によってね」
「そうだよね」
「特にエウロパだとそう見たいだよ」
「あちらがそのタイツを生み出した国だね」
「だから余計にね」
 尚更というのだ。
「舞台の衣装にね」
「タイツが多いんだね」
「シェークスピアの劇だけじゃなくて」
 それに留まらずというのだ。
「歌劇でもね」
「そっちでもだね」
「そう、普通にね」
 それこそというのだ。
「あるよ」
「エウロパだとだね」
「そうなんだ」
「それは余計に嫌だね」
「けれど当時はね」
 シェークスピアの時代ではというのだ。
「タイツはね」
「普通だったんだ」
「男の人だとね」
「何か嫌だね」
「ズボンの方がいいよね」
「絶対にね」
 マルティは言い切った。
「その方がいいよ」
「脚のライン丸見えでね」
「恥ずかしいよね」
「そうそう、そこにブルマとかコッドケースは」
 ここまで加わると、というのだ。
「羞恥心全開だね」
「本当に嫌だね」
「何であんな服出来たのか」
「わからないね」
「中には」
 ネロはこうも言った。
「メフィストフェレスみたいな」
「ああしたタイツもだね」
「あったんだよ」
 そうだったというのだ。
「当時はね」
「実際にだったんだね」
「うん、それとね」
 ネロはさらに話した。 
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