星河の覇皇

「ムハンマドの後継者にもなります」
「そうなりますね」
「オムダーマンはスンニー派、ティムールはシーア派ですが」
「どちらの派でもです」
「皇帝となりますね」
「アッラーの代理人でもありますね」
「そしてムハンマドの後継者です」
　最後の預言者にしてイスラムを開いた彼のだ。
「それもサハラを統一した」
「アッバース朝の頃より分かれていましたが」
　つまりアラブの頃からだ、アッバース朝が出来た時にウマイア朝の者達がリベリア半島に逃れて後ウマイア朝を築いていてそこから分かれているのだ。
「しかしですね」
「そのサハラが統一され」
「イスラムは一つになる」
「アラブのイスラムは」
　この場合連合やマウリアのイスラムはまた別とされている、あくまでアラブからのイスラムのことだ。
「ではですね」
「まさにムハンマド以来ですね」
「その時のサハラになる」
「アッバース朝から分裂していましたが」
「それを遂に統一する」
「そこまでの英雄を迎えますか」
「それだけの英雄はです」
　まさにと言うアッディーンだった。
「サラディンもバイバルスもです」
「サハラを統一していませんね」
「十字軍やモンゴル帝国には勝っていますが」
「イスラムの統一となると」
「適えられませんでしたね」
「はい、しかし」
　それでもというのだ。
「それを適える英雄が出る、そうして」
「その英雄がサハラを統一し」
「そうしてですね」
「発展に向かう」
「そうもなりますね」
「アッディーン大統領もシャターン主席も軍事的に優れているだけではないのです」
　戦略、戦術だけでないというのだ。
「政治家としても優れていますので」
「インフラを整備し農業も商業も発展させていますね」
「勿論工業も」
「教育も充実させ」
「長期的な発展も見ていますね」
「そうした政治をしていますね」
「その結果オムダーマンもティムールもです」
　両国共というのだ。
「かなりの発展を遂げていますね」
「経済成長にして十パーセント程のですね」
「そうした成長を遂げていますね」
「両国共」
「ですから」
　二人共政治家としても秀逸だからというのだ。
「必ずです」
「サハラをですね」
「発展させられますね」
「統一してからも」
「そうなりますね」
「サハラはアッバース朝、オスマン朝の極盛期の様な繁栄を迎えるでしょう」
　統一すればというのだ。
「必ず」
「そうなりますか」
「これまでは繁栄とは無縁でしたが」
「戦乱ばかりで」
「しかしですね」
「その統一した英雄の手によって」
「そうなります、しかし発展するのはです」
　八条は官僚達に確かな顔で話した。
「彼等だけではありませんね」
「当然我々もですね」
「連合もですね」
「このままですね」
「発展していきますね」
「はい」
　その通りだというのだ。