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楽しく働けど

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第三章

「私も残業してるの」
「オーナーさん止めないの?」
「そこまではって言うけれど」
「じゃあ休んだら?」
「だから人手いないし。それにお仕事波に乗ってるし」
 楽しいうえにというのだ。
「だからね」
「それでなの」
「ええ、これからもね」
「半日働くのね」
「週六日でね」
「どう見ても働き過ぎでしょ」
 優子はポテトチップスを齧りつつ妹に告げた。
「本当に」
「そうかしら」
「そうよ、お金を稼ぐことはいいことでも」 
 働いてそうすることはというのだ。
「それでもよ」
「私十代だし体力充分だし」
「だといいけれどね」 
 コーラを飲む妹にビールを飲みつつ応えた、そしてだった。
 妹にだ、こうも言われた。
「頑張って稼いで自分のお店持つね」
「将来はそうしたいのね」
「それで日本一のたい焼き屋さんになるから、お家も建てるわ」
「その意気はいいけれどね」
 それでもとだ、姉は正直妹のことが心配だった。だが麻衣は成人してもそのまま元気に働いてだった。
 順調に稼いでいた、それで姉に言った。
「貯金物凄く増えたわ」
「あっ、そうなの」
「もう三百万あるから」
「二十歳で三百万は凄いわね」
「アクセサリーとか漫画とかも買ってるけれど」
 そうしたものを買って集めることが麻衣の趣味だ、そして入浴もだ。
「やっぱり正社員だしね」
「ギャンブルとかしないからよね」
「最近お酒は飲むけれどホストクラブとか興味ないし」
 それでというのだ。
「だからね」
「お家にお金入れててもなのね」
「実家住まいだしね」
 これは優子も同じだ、二人共である。
「お父さんとお母さんも働いていてね」
「食費もね」
「かかってないし」
「それでなのね」
「お金貯まったわ、この調子でいけばね」 
 麻衣はさらに言った。
「のれん分けの形で自分のお店持って」
「お家もなのね」
「建てられるわ」
 こう言うのだった。
「将来結婚してもね」
「頑張ってね、かく言う私もね」
 どうかとだ、姉は妹に言った。今は妹の店のたい焼きをお茶と一緒に楽しんでいる。つぶ餡やこし餡のものだけでなくチョコレートやカスタードクリームのものもあってどれも実に美味い。
「結婚とかお家とか」
「考えていかないとね」
「ええ、あんたも考えてるし」
「それじゃあね」
「そうね、あとあんた最近忙しい?」
 姉は妹にこうも訪ねた。
「どうなの?」
「最近は週五日で休憩入れて九時間よ」
「普通になったのね」
「うん、そうなったよ」
「だといいけれど。あまり働き過ぎたら」
  その時はというのだ。
「よくないわよ」
「過労ね」
「そう、本当に気をつけなさいよ」
「若いから大丈夫でしょ」
 麻衣は自分が焼いたたい焼きを食べつつ姉に返した。 
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