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戦国異伝供書

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第九十二話 尼子家襲来その十

「相手は今のところ毛利家だけじゃ」
「ですな、大内家はです」
「まだ厳島におるとのことです」
「左様ですな」
「それではですな」
「敵は毛利家だけ」
「それならばですな」
 家臣達も口々に言ってきた。
「我等としては」
「まだ数は多いですし」
「それで、ですな」
「軍勢を立て直し」
「攻めますな」
「そうする、よいな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 晴久はまた毛利家に攻められない様にこれまで以上に警戒しつつ守りを固め態勢を立て直しだした、そのうえで。
 吉田郡山城を攻めんとしたがここでだった。
 晴久は後ろに法螺貝の音を聞いた、それで家臣達に問うた。
「何じゃ、あの法螺貝は」
「さて」
「何でしょうか」
「法螺貝の声なのはわかりますが」
「それでもです」
「わかりませぬな」
「まさかと思うが」
 怪訝な顔でだ、晴久は言った。
「毛利家の軍勢か」
「そうやも知れませぬな」
「これまで常に思わぬ攻撃を受けてきました」
「それならです」
「この度もですな」
「誰か見て参れ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 晴久は後ろの方に物見を進ませた、するとだった。
 物見に出た旗本は血相を変えて言った。
「大内家の旗が見えます」
「大内家!?まさか」
「いえ、それがです」
 旗本は晴久にさらに話した。
「見間違え様のない」
「大内家の旗か」
「はい、その数一万五千はです」 
 それだけの数がというのだ。
「います」
「何と、それだけの数が何時の間に」
 晴久は愕然とするばかりだった、そしてだった。
 その話を聞いた尼子家の家臣達も口々に言った。
「まさか」
「大内家の軍勢はまだ厳島にいるのでは」
「そして戦の様子見をしているのでは」
「毛利家を疑って」
「そうではなかったのですか」
「それは」
「わからぬ、だがここでそれだけの援軍が出るとは」
 それはとだ、晴久は言った。
「まずいのう」
「左様ですな」
「大内家の軍勢がそこまで来たとなると」
「今の我等には手強いですぞ」
「どうも」
「そうじゃな、ここはどうすべきか」
 晴久はその家臣達に難しい顔で述べた。
「一体な」
「はい、どうされますか」
「この度は」
「戦われますか」
「それとも」
「退かれるか」
「このままでは挟み撃ちになる」
 晴久は大内家の軍勢が後ろにいることから述べた。
「決断は今じゃな」
「ですな」
「ではどうされますか」
「これより」
「毛利家は五千、大内家の軍勢は一万五千」 
 その数からだ、晴久は話した。
「まだ我等の方が数が多いが」
「それでもですか」
「この度は」
「これまで散々に攻められ兵達は疲れ士気も落ちている」
 今度はこのことを話した。 
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