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麗しのヴァンパイア

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第二百五十三話

             第二百五十三話  お風呂に入って
 梨花はゆず湯の素に入った、そうして身体を奇麗にするだけでなく充分温まってから上がって母に言った。
「いや、ゆず湯もね」
「よかったでしょ」
「ええ、牛乳風呂はどうか知らないけれど」
 それでもというのだ。
「ゆず湯もね」
「いいわね」
「他のお風呂の素もね」
 これもというのだ。
「いいと思うわ」
「草津や箱根のものもあるでしょ」
「あと薔薇の香りのもあるし」
「そういうお風呂に入ればね」
 それでとだ、母は娘に笑顔で話した。
「いいと思うわ」
「そうでしょ」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「そのまま楽しんでね、しかしね」
「しかし?」
「お母さんも実は牛乳風呂のお話を聞いて」
 クレオパトラが入ったというそれのというのだ。
「入ってみたいと思ったことはあるわ」
「そうなの」
「けれどお祖母ちゃんに言われたのよ」
 あえて梨花の視点から話した、自分から見て母になるその人のことを。
「入ったら臭くなるってね」
「牛乳の匂いで」
「そうなるって言われたから」
 だからだというのだ。
「止めたの」
「そうなの」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「お母さんも止めたの」
「そうだったのね」
「匂いがね」
 どうしてもというのだ。
「気になるから」
「止めたのね」
「入りたいと思わなくなったの」
「やっぱりそうよね」
「そう、だからね」
「お風呂の素でいいのね」
「それで充分だと思うわ」
 娘に笑顔で話した。
「あとスーパー銭湯のね」
「お風呂でもいいのね」
「あれでもね」
 お風呂から上がった娘に牛乳を差し出しつつ話した、梨花はその牛乳を飲んでとても美味しいと思った。


第二百五十三話   完


                   2020・4・12 
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