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戦国異伝供書

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第九十二話 尼子家襲来その三

「尼子家も見てもな」
「それは力を弱める最大の要因ですな」
「内輪で揉めて弱くならなかった家があるか」
 そもそもというのだ。
「果たして」
「はい、それはです」
「ないな」
「この戦国の世でも」
「だから当家はな」
 毛利家、自分達の家はというのだ。
「それをせぬ様にな」
「していきますな」
「これからもな」
「その様にしていきますな」
「そうじゃ、では熊谷家を武田家から引き離し」
 その様に工作をしてというのだ。
「懐柔し脅したり宥めたりしてな」
「そうしてですか」
「あの家を入れる、あと宍戸家にはな」
「先程お話されましたが」
「縁組をしてな」
 その様にしてというのだ。
「当家に組み込んでいく」
「そうされますか」
「して縁組のお相手は」
 誰かとだ、志道は元就に問うた。
「どなたでしょうか」
「五龍を送る」
「五龍様ですか」
「まだ幼子であるが」
 それでもというのだ。
「この度はな」
「あの方をですか」
「送ってな」 
 そうしてというのだ。
「縁組を結ぶ」
「五龍様を送られるとは」
「ここはあ奴じゃ」
 家の主の娘、まさにこうした話の切り札と言っていい。元就はまさにその切り札を切るというのだ。
「あ奴との縁組でないとな」
「宍戸家は加わらぬ」
「こちらにな、しかしな」
「五龍様ならばですか」
「宍戸家も縁組を結んでくれてじゃ」
 そうしてというのだ。
「こちらについてくれる」
「だからこそですか」
「五龍を送る、ではすぐに宍戸家との縁組の話を進め」
 それと共にとだ、元就はさらに話した。
「そしてじゃ」
「熊谷家をですか」
「武田家と切り離してな」
「そのうえで」
「こちらに組み入れるぞ」
「わかり申した」
 志道は元就の言葉に頷いてそうしてだった。
 元就はすぐに宍戸家との婚姻の話をはじめかつ熊谷家を武田家から切り離すことを進めた。そうしてだった。
 すぐに宍戸家との縁組を決め五龍を宍戸家に嫁がせた、そして熊谷家もだった。
「見事にです」
「武田家から離れたな」
「そしてです」
 桂が元就に話す。
「熊谷家は孤立してです」
「この安芸に敵はおらんな」
「そうなっています」
「ではじゃ」
「これよりですな」
「熊谷家に使者を送ってな」
 そうしてというのだ。
「こちらに来てはどうかとな」
「勧めるのですな」
「そうすればな」
「熊谷家はこちらに入る」
「以後あちらが裏切らぬ限りはな」
「毛利家の家臣としてですな」
「丁重に扱う」
 元就はこのことも話した。 
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