| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百六十八話 働き手その二

「されないで下さい」
「それでは」
「はい、今のお仕事をです」
 それをというのだ。
「されて下さい」
「わかりました」
 セーラは確かな声で答えた。
「そうさせて頂きます」
「その様に」
「クラスの皆さんに申し訳ないと思いますが」
「いえ」
「いえ、とは」
「これは仕方がないことなので」
 ラメダスはセーラに恭しい口調で答えた。
「お気になさらずに」
「カーストと家訓のことで」
「確かにここは連合ですが」
 それでもというのだ。
「お嬢様はマウリア人です」
「マウリア人ならですね」
「マウリアの決まりに従うものです」 
 もっと言えば従わねばならないというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「絶対にです」 
「マウリアのカーストに従い」 
 その気まりにというのだ。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「家訓もです」
 シヴァ家のそれもというのだ。
「絶対のことなので」
「守っていかねばならないので」
「そもそもこのクラスにそうしたことを言う人はいません」
 セーラにカーストや家訓に反する様なことをしろと言う者はというのだ、ラメダスは確かな声で話した。
「決して、ですが」
「それでもですか」
「他のクラスで言う人がいれば」
「その人は」
「考えをあらためてもらいます」
 ラメダスはセーラに笑顔で述べた。
「マウリア式のやり方で」
「我が国の」
「マウリアは争いは好みませんが」
「それでもですね」
「敵には容赦しませんね」
「それは決して」
 セーラもマウリアの者なのでこのことはわかっている、祖国の行動パターンは。
「しません」
「徹底的に攻撃し」
「それも執拗に」
「生き地獄を味あわせます」
「酸鼻を極める方法で」
「流石に軽口ではそこまでしませんが」
 それでもというのだ。
「記憶を変えたりしてです」
「ことを収めますか」
「はい」
 そうするというのだ。
「その様にします」
「そうですか」
「はい、ですから」
「私への中傷の類は」
「ご心配なく」
 やはり笑顔で述べる。
「一切」
「左様ですか」
「そしてお嬢様」
 今度はベッキーが言ってきた。
「八条家の方からお話が来ています」
「何とでしょうか」
「寄付が多過ぎると」 
 その様にというのだ。
「返したいと」
「いえ、あまりにも少ないのではと」
 セーラはこうベッキーに返した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧