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戦国異伝供書

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第九十一話 会心の夜襲その二

「本陣を破ったことを伝える」
「そうしますな」
「伝える頃にはもう本陣が破られたことは大内家の軍勢全体に伝わっておる」
「それで浮足立っていますな」
「しかもそこに他の忍の者達を使い」
「さらにですか」
「うむ、敵の軍勢の中に流言飛語を流す」
 そうしたこともするというのだ。
「本陣が全滅しただの大内殿が討ち死にしただのな」
「事実でないことをですか」
「どんどん流してな」
 その様にしてというのだ。
「敵軍を乱すのじゃ」
「そしてそこにですな」
「前からも攻めれば」
「大内家の軍勢は崩れますな」
「そうして安芸から去る」
 そうなるというのだ。
「だからな」
「この度は、ですな」
「その様にするぞ」
「わかり申した」
「では夜にじゃ」
 今ではなく、というのだ。
「攻めるぞ」
「そしてその時は」
「お主の武、期待しておる」
「さすれば」
 元網は兄の今の言葉には笑みで返した、そうしてだった。
 元就は全ての手筈を整えそのうえで夜を待った、戦に疎い義隆は本陣の近くの山の鳥が乱れ飛んでいる、それが元就の軍勢が潜んでいることだということも気付いていなかった。そうして本陣は夜酒を飲んでいたが。
 それを見てだ、元就は言った。
「ではな」
「はい、それでは」
「これよりじゃ」
「夜襲を仕掛けますな」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「敵の本陣を散々に破る」
「敵兵達を倒していく」
「その様にする、しかしな」
「大内殿は、ですな」
「この数では討ち取れぬし討ち取ってもな」 
 例えそうしてもというのだ。
「難儀なことになる」
「敵の総大将、しかも家の主殿を討てば」
「大内家も本気になってじゃ」 
 そうしてというのだ。
「さらにじゃ」
「攻めてきますな」
「この戦に勝ってもな」
「次は今以上の大軍で来ると」
「大内家の勢力は大きい」
 元就はこのことも話した。
「その家が本気で来るとなると」
「難儀なことになるからじゃ」
 それでというのだ。
「それは避ける」
「だからですな」
「ここはじゃ」 
 何としてもというのだ。
「大内殿の周りには必ず強者達が集まってじゃ」
「そうおいそれとはですな」
「攻められぬからな」 
 だからだというのだ。
「ここはじゃ」
「あえてですな」
「そこは攻めずにな」
「他の兵達を破りますか」
「そうじゃ、大内殿は逃げると思うが」
「あえてですな」
「逃げてもらう」
 義隆、彼にはというのだ。 
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