提督はBarにいる。

「広報活動の一環として、ねぇ……」

「はい、是非とも！」

　昼下がりの執務室。そこで眉根に皺を寄せた提督が企画書を眺める。提出者は鎮守府の広報担当であり、『傍迷惑パパラッチ』とのアダ名(？)を頂戴している重巡洋艦・青葉だ。なんでも、俺と金剛の写真を撮って写真集にして自費出版本としてコ○ケに出したいんだとか。

「いや、金剛は解るけどよぉ……美人だから。って、背中を叩くなバカ！」

「も～！darlingったらそんな本当の事を照れも無く言われると恥ずかしいネー♡」

　なんて言いながら背中をバッチバチ叩いてくるウチのカミさん。こりゃ背中一面紅葉だらけだな……なんて事を考えながらも話を進める。

「でもよぉ、俺は写さなくてもよくねぇか？40後半のオッサンなんぞ眺めても面白くもねぇだろうに」

「いやいや！金剛さんの魅力は司令とあってこそ輝くんですよ！」

　青葉曰く、俺と居る時の金剛はキラキラと輝いて見える程に魅力的なんだとか。

「どうせ撮るなら美人な方がイイじゃないですか」

「そりゃまぁ……な」

「じゃあ、そういう事で！まずは日常風景から撮って行きますね！」

　そう言って青葉は密着取材と称して執務の風景やら店での語らいの風景を撮りまくっていったのが、数日前の話。

「う～ん……」

　そしてその写真を撮った張本人は、現像した写真を前に腕組みをして唸っている。

「どうした青葉、写真は必要な分撮れたんだろ？」

「そうなんですけどねぇ……なんというかこう、目玉になるような写真が無いんですよね」

「そりゃそうだろ、俺らの日常を撮っただけなんだから」

　海軍という特殊な仕事場とはいえ、撮っているのは仕事風景。物珍しさはあるかもしれんが、購買客に『おっ！』と思わせるような物はないだろう。

「あ、じゃあさぁ、金剛さんにコスプレでもしてもらったらいいんでない？」

　と、青葉の隣から口を出してきたのは秋雲。しょっちゅう同人即売会に自分の作品を出品してるし、年２回の幕張でのお祭りにも参加し続けている筋金入りの同人作家・オータムクラウド先生である。

「コスプレかぁ……案外良いかも知れませんね」

「ま、アイツがいいって言ったらな？」

「え、何を他人事の様に言ってるんですか司令。司令もするんですよ？」

「は？するって何を」

「コスプレ」

「……はい？」

「だからコスプレですよ」

「えぇ……(困惑)」

　それは予想していなかった。




　店が終わった後、金剛にコスプレしてみるかと尋ねたらあっさり了承。しかも俺もやるならという条件付きで……勘弁してくれ。そして翌日、青葉に指定された部屋に行ってみると多数の衣裳とメイク台。そして撮影スタッフであろう青葉と衣笠、それに古鷹に加古、更には夕張と明石までが待ち構えていた。

「何してんだお前ら」

「いや～、提督がコスプレするなんておいしいイベント逃せるはず無いじゃないっすか！」

　とニヤニヤ笑う明石。

「明石さんには衣裳の調達の方でご協力頂きました！ついでに特殊メイクとか必要になった場合の技術スタッフです」

「あっそ」

　もうここまで来たらどうにでもなれ、だ。

※ここからは読者の皆様より募集した衣裳を着た金剛さんへの感想がメインとなります。挿し絵などはありませんので、皆さん妄想で補完してくださいw

(ゴブリンス○イヤーのエルフ)

提督「なんでゴブスレ？」

青葉「公式Twitterで募集したら案として来たんですよ。『声が似てるから』って」

提督「成る程……ってか公式Twitterとかやってたのか！？」

青葉「今突っ込むべきはそこじゃないと思うんですが」

金剛「Oh……なんだかハロウィンの仮装みたいでちょっと恥ずかしいデース////」

一同『可愛い』

提督「しかし、このエルフ耳とかエメラルドグリーンの髪とか……再現度高けーなオイ」

夕張「フフフ、その辺は拘らせてもらいました！」ﾌﾝｽ

明石「でも、提督さんがこれは……」

提督:Eゴブリンス○イヤーの装備

提督「ちと息苦しいんだが」ｺｰﾎｰ

一同『威圧感ハンパない……』

夕張「あ、じゃあこっちにします？ゴブリンのコスプレ」つ【緑の全身タイツ的な奴】

衣笠「強い(確信)」

古鷹「襲われたら抵抗出来なさそう……」

加古「1発で孕まされそうだよな」

青葉「薄い本が厚くなりますね！」

提督「お前らなぁ……」

金剛「darlingに主役を取られたデース！(泣)」




(咲-saki-の新子憧)

青葉「お次も声が似てるという事で、異能系麻雀バトル漫画から新子○ちゃんですね」

提督「あ～、あのトンデモ麻雀漫画な」

青葉「辛辣ですねぇ、提督あの漫画嫌いですか？」

提督「いんや？適度に酔っ払った時に読むと馬鹿馬鹿しさに笑えてくるから好きだぞ？『ありえねぇ～w』って」

※個人の見解です

青葉「それ麻雀の漫画として楽しみ方間違ってないです？」

提督「だって俺、麻雀の漫画なら『哲也』とか『むこうぶち』とか『天牌』とかの方が好きだし」

金剛「ちょっと！漫画トークで盛り上がってないで、こっちを見て誉めるデース！」ﾌﾟﾝｽｺ

提督「いや、可愛いんだけどさぁ……」

青葉「なんなんでしょうね、この、絶妙なコレジャナイ感といいますか」

古鷹「あの～……」

提督「ん？どうした古鷹」

古鷹「もしかしたらですけど、キャラの体格と金剛さんの体格が違いすぎるから……ではないかと」

一同「あ～、納得」

金剛「ん？どーいう事ネ？」

提督「だから、お前の乳やら尻やら太股やらがその衣装のキャラよりもデカイから似合ってはいてもそのキャラっぽくないって話よ」

青葉「つまりは金剛さんのボディがドエロいのが原因て事ですね！」

提督「まぁ、そうなるな」

提督&青葉「「はははははははははは！」」

加古「うわぁ……」

衣笠「女だらけの空間だから良いけどさぁ」

古鷹「話題が生々し過ぎるよぅ」

衣笠「しかも……」ﾁﾗｯ

金剛「私のボディがドエロい……うへへへへ////」

衣笠「言われた本人が喜んじゃってるし」ﾊｧ

古鷹「どう聞いてもセクハラ発言なんだけどねぇ」ﾆｶﾞﾜﾗｲ

加古「まぁ、金剛さんは提督の奥さんなワケだし？」

三人「本人達が良いなら、いっか！」





(アオザイ)

青葉「アニメキャラばかりというのもアレなので、金剛さんのドスケベボディを活かせそうな奴をチョイスしてみました！」

提督「アオザイ……ベトナムの民族衣装だったか？」

明石「チャイナドレスと悩んだんですがねぇ。こっちの方が若干ゆったりとしてるので此方に」

金剛「Uh～……これスリットが深すぎません？」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

提督「普段もっと短いスカート履いてるくせに」

金剛「あ、あれは制服だから仕方無くデスよ！？」

提督「でもこういうのもイイな。女性的なボディラインが強調されるし、スリットから見えるか見えないかの太股周辺が刺激的だ」

青葉「男の人って好きですよね、チラリズム」

提督「美人のならな。ブスが着ても似合わんし」

衣笠「何がそんなにイイの？」

提督「個人的な見解を言わせてもらえれば、見えるか不透明な状態でチラリと見えるとラッキーってなる。そういうのもプラスされて得した気分になるし、単純にエロい」

古鷹「結局エロに行き着くんですね……」

提督「エロは大事だぞ？子孫を残そうとするのは動物的本能だ」

金剛「Oh……面と向かって言われると恥ずかしいネ////」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

提督「あと普段オープンなクセに照れてる嫁が可愛い」

一同「確かに」




(スモック)

金剛「////////」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

青葉「いや～、リクエストがあったので着てもらいましたが……犯罪臭がプンプンしますね！」ｹﾗｹﾗ

金剛「こ、これをリクエストした人は変態デースか！？な、何でワタシがこんな幼稚園児みたいな格好を」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

衣笠「いやぁ、それにしても名札まで準備しちゃって」

金剛E:スモック+『うごんこ』と書かれた名札+黄色い帽子

古鷹「い、意外と可愛いですよ……？」ﾋﾟｸﾋﾟｸ

加古「古鷹ぁ、一思いに笑ってやれよあっちの2人みたいに。我慢してる方が可愛そうに見えるし」

夕張&明石「…………………」←笑い過ぎて動けない

提督「オイこらお前ら」

青葉「ど、どうしたんです司令？」

提督「意図的にこっちを無視してんじゃねぇよ」

提督E:エプロン+サングラス+口髭

青葉「いや～、明石さんには『保育士さんっぽい格好』とオーダーしたんですが」

衣笠「どう見ても保育士さんっていうよりどっかの喫茶店のマスターだよね」

古鷹「あぁ、スキンヘッドの」

加古「そーそー、本名が伊集院隼人の」

提督「それ海坊主じゃねぇか！」

夕張&明石「ぶふっ！」

提督「オイこらそこの淫乱ピンク」ﾋﾟｷﾋﾟｷ





(提督の制服)

金剛「やっぱりだぼだぼデース！」ｷｬｯｷｬｯ

衣笠「うわぁ……うわぁ」

青葉「予想はしてましたが……これは」

明石「完全に『彼シャツ』状態ですね。事後ですよこれは！事後！」

提督「なら裸に羽織らせなきゃいいだろ？」

一同「そこは購入者にサービスしないと」

提督「オイ」





(？？？？？？？)

提督「そういえばこういうの着たこと無かったな」

金剛「あ～、そういえばそうデスね」

青葉「え、そうなんですか！？」

衣笠「なんか意外だね」

古鷹「確かに……式は挙げなくても写真くらいは撮ってるものとばかり」

提督E:白のタキシード　金剛E:ウェディングドレス

提督「まぁ、俺はこの鎮守府のトップだし金剛も最高戦力だからな。どっちもが鎮守府を離れるなんざ余程の理由がないとな」

金剛「それに、付き合いが長いから今更感がハンパないデスし」

加古「あ～、結婚した時点で熟年夫婦みたいな感じになっちゃってたんだ」

提督「ラブラブではあるんだがな」

夕張「シレッとそういうこと言うわよね、提督って」ｻﾄｳﾀﾞﾊﾞｰ


提督「まぁ、もののついでだ。机にでも飾れるように綺麗に撮ってくれや」

青葉「任せて下さい！青葉頑張っちゃいますよ～♪」




　後日発売された写真集は飛ぶように売れ、提督の執務室の机の上には小さな写真立てが置かれるようになったとさ。


 

ハイ皆さん、お久し振りです。ただ今2020年の7月3日、艦これはイベントの真っ最中……如何お過ごしでしょうか？自分はE3まで攻略し、E4がトリプルゲージの上にトリプルギミックであると聞いて戦々恐々としつつ迅鯨ちゃんとイヨちゃんを求めてE2とE3をグルグルしております。

さて、拙作『提督はBarにいる。』500話記念のお話、お楽しみ頂けましたでしょうか？ぶっちゃけアンケートでこの企画が選ばれた時、頭を抱えました。何しろこの作品はメシテロ小説を自称しつつも、料理の挿し絵すらまっっっっっっったくと言っていい程出てきません。そんな作品で金剛にコスプレさせる？無理じゃね？と無い頭を捻って出した苦肉の策が、コスプレをした金剛をコメントでイジるという方式でした。いつもと違う書き方でしたので違和感はあるかもしれませんが、ここはどうかひとつ。

最後のウェディングドレスはリクエストには無かったのですが、作者の自分からのリクエストという事にしておいて下さいw

それでは、一時期よりは大幅にペースダウンしておりますが、書ける内はしぶとく書き続けていきたいと思っとります。なので皆様お付き合いの程を。ではではﾉｼ