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八条学園騒動記

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第五百六十五話 歌劇も観てその十一

「あの人達は」
「十二人全員が?」
「頭の柔らかい長老さんっていないから」
「一人もなんだ」
「それが選ばれる基準になってるし」
 その長老達にというのだ。
「選挙で選ばれるけれど」
「民主的ではあるね」
「民主主義でもね」 
 そのことはいいとしてもとだ、アンはさらに言った。
「立候補する基準も厳しいのよ」
「そうなんだ」
「ラビで」
 ユダヤ教の聖職者でと、というのだ。
「男の人で」
「男女差別じゃないの?」
 マルティは性別の話を聞いてすぐに突っ込みを入れた。
「それって」
「ユダヤ教ってそうよ」
「男女差別の宗教なんだ」
「今は女の人も軍隊にいて政治家にもなって」
 それでとだ、アンはさらに話した。
「大統領もなれるけれど」
「それでもなんだ」
「ラビにはなれても」
「長老さんにはだね」
「女の人はなれないの」
「そうした決まりなんだ」
「そうなの、それで年齢は」
 アンはさらに話した。
「八十歳以上」
「年齢基準もあるんだ」
「お爺さんでないとね」
「なれないんだね」
「長老さんだけあって、それでそれぞれの支族の人でないと」
「それぞれの支族からしか立候補出来ないんだ」
「そうなのよ」
「まあそれは当然かな」
 マルティは十二支族の長老達がそれぞれの支族からしか立候補出来ないことは当然としてアンに応えた。
「やっぱり」
「それぞれの支族の代表だしね」
「うん、けれど条件多いね」
「もうそれこそユダヤ教の戒律を完全にね」
「頭に入れてる位じゃないと」
「立候補しても」
 例えそうしてもというのだ。
「通らないのよ」
「選挙に勝てないんだ」
「そうなの、もうユダヤ教への知識が凄くて」
「その教えに忠実でないと」
「絶対に通らないから」
 即ち選挙に勝てないというのだ。
「長老さんには」
「物凄く難しい条件だね」
「そうでしょ、だからね」
「頭の固い人しかいないんだ」
「その頭の固さは日本の宮内省レベルで」
 アンはまた日本のこの官公庁の名前を出した。
「ダイアモンドクラスでね」
「頭が固くて」
「もうそれこそね」
 まさにというのだ。
「どうしようもない」
「その域なんだね」
「その人達がそれぞれの支族の代表で」
 アンは彼等の話をどうかろいう顔で続けた。
「大統領の最高顧問団でイスラエル最高の決定機関なのよ」
「つまり大統領より偉いんだね」
 菅はここまで聞いて述べた。
「そうなんだね」
「ええ、実はね」
「やっぱりそうなんだね」
「もう大統領でもね」
 国家元首であるこの者もというのだ。 
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