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八条学園騒動記

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第五百六十五話 歌劇も観てその八

「無理矢理改宗もさせられて」
「あれも酷いね」
「改宗の強要ってね」
「酷いね」
「そんなこと今の連合でしたら」 
 それこそという口調での言葉だった。
「もうね」
「非難轟々だね」
「信教の自由があるから」
 それでというのだ。
「そこに引っ掛かってね」
「問題視されるね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「あのことも問題だよ」
「そうだよね」
「契約を守っただけなのに」
 シャイロック、彼はというのだ。
「あそこまで悪役にされて」
「散々な目に遭うとか」
「理不尽だよね」
「どう見てもね」
「喜劇っていうけれど」
「あの作品は下手したらとんでもないことになるね」
 マルティは考える顔で述べた。
「シャイロックを一方的に貶める」
「原作自体それに近いしね」
「完璧にユダヤ人差別だから」
「アンもね」 
 二年S1組のクラスメイト、イスラエル人即ちユダヤ教徒である彼女の名前もここで出た。
ユダヤ教徒即ちユダヤ人だからだ。
「あの作品は多分ね」
「嫌いだろうね」
「イスラエルの人達にとっては」
 まさにというのだ。
「完全に自分達への冒涜だから」
「嫌いで」
「それでね」
「若し今回僕達がしようとしたら」
 それこそとだ、マルティは話した。
「もうね」
「アンは怒ってたよ」
「そうだね」
「シェークスピアの作品は名作揃いでも」
「ちょっと考えないといけない作品もあるね」
「そうだね」
「そのヴェニスの商人といいね」 
 まさにというのだ。
「あるね、けれど駄作はないよね」
「うん、ないってね」
 実際にとだ、管も答えた。
「言い切れるよ」
「そうだよね」
「そのヴェニスの商人もね」
「名作ではあるね」
「そのことは事実だよ」
 まさにというのだ。
「それはね」
「そうだけれどね」
「結構考えないといけない作品もあるね」
「そのヴェニスの商人にしても」
「どうもね」
 二人でこうした話をしていたがそこにだった。
 ふとそのアンが来て二人に言ってきた。
「劇のお話してるのね」
「そうなんだ」
 マルティはアンに答えた。
「それでアンも出てるよね」
「奥さんの役でね」
「そうだったね」
「いや、正直ね」
「正直?」
「私としてはシェークスピアならね」
 アンはマルティに笑って話した。
「一番好きなのは真夏の夜の夢だったのよ」
「そうだったんだ」
「けれどあの時ウィンザーの陽気な女房達の名前出たわね」
「それで決まったね」
「こっちの作品も好きで」
 それでというのだ。 
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