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八条学園騒動記

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第五百六十五話 歌劇も観てその二

「これでまたってなるから」
「それでだね」
「余計にわかったと思うよ」
 こう言うのだった。
「あの作品とキャラクターのことがね」
「ウィンザーの陽気な女房達と」
「フォルスタッフ卿がね」
「歌劇の方でもだね」
「だからあらすじはほぼ同じで」
 それでというのだ。
「登場人物もね」
「同じだから」
「歌劇の方でもいいんだ」
  ヴェルディのファルスタッフを観てもというのだ。
「勉強になるんだよ」
「そうなんだね」
「だから早速観てね」
 昼休みに菅と話したその日のうちにというのだ。
「よかったと思うよ」
「そうなんだね」
「ここからどんどん忙しくなって」
 文化祭の準備、それにだ。
「もうね」
「それこそだね」
「他のことする余裕なくなるかも知れないから」
「劇を観ることも」
「そう、だからね」
「今観ておいてよかったね」
「うん、あともう一度読んだら」
 そのウィンザーの陽気な女房達をというのだ。
「もうかなりね」
「いいね」
「無敵と言っていい位にね」
 そこまでというのだ。
「いいと思うよ」
「そうなんだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「喜劇だからね」
「面白く、そしてだね」
「人間味も出してね」
 菅はマルティにこうも話した。
「あの作品特に喜劇に多い風刺とかもね」
「ないね」
「人間味を描いた」
「人間の持つ滑稽さかな」
「当時のイングランド社会に言いたいこととかあったかも知れないけれど」
 それでもというのだ。
「シェークスピア独特の人間観をね」
「喜劇に描いたんだね」
「僕はそうした作品だと思うから」
「それでだね」
「そこを出すことをね」
 このことをというのだ。
「意識したらね」
「いいんだね」
「僕はそう思うよ」
「成程ね」
「まあシェークスピアってどの作品でも人間を描いてるけれど」
 化けものではなくそれをというのだ、例えそこに描かれる人物がどれだけ滑稽でも邪悪であってもだ。
「そこをね」
「出すんだね」
「そうしていこうね」
「そう言えばフォルスタッフ卿も」
 マルティも自分が演じる渦中のキャラクターについて述べた。
「人間だね」
「人間的だよね」
「いい面も悪い面もね」
「絶対に化けものじゃないよ」
 菅はこのことは断った。
「もう相当に人間臭い」
「そうしたキャラだね」
「マクベス夫人とかリチャード三世とかヤーゴは悪魔的だけれど」
 その邪悪な面が強くてというのだ。 
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