八条学園騒動記
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第五百六十五話 歌劇も観てその一
歌劇も観て
マルティは菅のアドバイスを受けてその日のうちに歌劇部に行って事情を話してヴェルディのファルスタッフの鑑賞の許可を得た、だが。
歌劇部の映像スタッフの二年生からこう言われた。
「どの映像が観たいのかな」
「どのって?」
「だからファルスタッフのね」
この作品のというのだ。
「一体」
「あれっ、映像幾つもあるんだ」
「アメリカのニューヨーク星系のメトロポリタン歌劇場のとね」
にそのスタッフはまずはこの歌劇場のものを挙げた。
「うちの部のものもあるよ」
「ここのもあるんだ」
「勉強の為に撮ってるんだ」
「反省点とか長所とか観る為に」
「そうだよ、そっちは幾つも映像あるけれど」
「どれにするか」
「どれも時間は同じだよ」
観るそれはというのだ。
「同じ作品だからね」
「じゃあメトロポリタンでいいかな」
「そっちにするんだ」
「うん、出来が一番いいのがいいけれど」
「もうそれならメトだよ」
スタッフはメトロポリタンを略してこう言った。
「プロの人が歌ってるしそれにね」
「それに?」
「メトは連合一とも言われてる歌劇場だから」
「だからなんだ」
「歌手もオーケストラもいいから」
そのどちらもというのだ。
「あと指揮者も演出も舞台もね」
「つまり全部いいんだね」
「だから観るなら」
それならというのだ。
「やっぱりね」
「メトロポリタンだね」
「そこが一番だよ」
こうマルティに話した。
「何といってもね」
「それじゃあね」
「メトにするんだね」
「うん、ただメトって言うんだ」
「歌劇関係者の間ではね」
「略して」
「そうなんだ、メトロポリタンって言ってると長いから」
だからだというのだ。
「そう略してるんだ」
「そうだったんだ」
「だからね」
「メトって今もだね」
「呼んでるんだ、じゃあ視聴覚室でね」
この部屋でというのだ。
「観てね」
「それじゃあね」
こうしてだった、マルティはそのメトロポリタン歌劇場のファルスタッフを観た、そしてその翌日菅に教室で言った。
「ファルスタッフ観てきたよ」
「観たんだ」
「早速ね」
そうしたと話した。
「そうしてきたよ」
「じゃあね」
「うん、観たことをだね」
「劇に活かしてね」
「それじゃあめ」
「君もうファルスタッフは観てきたし」
それにとだ、菅は彼に言った。
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