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親友になった猫

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第二章

 猫は怒った声で前足を出した、そしてだった。
 杏奈のその左手を引っ掻いた、それを受けて杏奈は咄嗟に左手を引っ込めた。
「痛っ」
「杏奈、大丈夫?」
「平気平気、けどいきなり引っ掻いてきたね」
「この子怒ってるね」
「警戒してるんでしょ、まだそんなに汚れてないから最近捨てられたのかも」
「猫捨てるの?悪い奴いるね」
「学校さぼってるあたし達が人のこと言えないけどね」
 杏奈は笑って自分達のことも話した。
「それでも捨て猫ならね」
「可哀想ね」
「最近雨も多かったし雨にも打たれただろうし」
「寒かっただろうね」
「こいつも辛かったんだよ」 
 杏奈は自分を攻撃して今も警戒している猫を見つつ言った、猫は土管の暗がりの中で警戒する目でいる。フーーーーーッ、と今にも唸りそうだ
「多分だけれど」
「そうなのね」
「捨て猫なら放っておいたら保健所行きだし」
 それでとだ、杏奈はこうも言った。
「保護しないとね」
「そうするの」
「一旦動物病院に連れて行こう」
 杏奈は皆実に提案した。
「そうしよう」
「この子病院に連れてくの」
「身体壊してるかも知れないしね」
「それでなの」
「身体診てもらってからね、お父さんとお母さんに話して」
 そしてというのだ。
「うちで飼うよ、丁度この前家族で猫飼おうかって言ってたし」
「丁度よかったっていうのね」
「そう、じゃあおいで」
「ニャッ?」
 猫は再び差し出した杏奈の手をまた引っ掻いた、だが杏奈はそれを気にせず。
 猫を抱いてそうしてだった。
 皆実と一緒に近所の動物病院に連れて行った、そこで引っ掻かれたところも消毒液で消毒した。そして。
 猫を見た獣医に事情を話して診てもらうと獣医は猫に言った。
「身体は大丈夫ですが」
「それでもなの」
「この警戒は」
「フーーーーーー・・・・・・」
 周りを見回しながら威嚇する猫を見つつ杏奈そして今も一緒にいる皆実に話した。
「捨てられてです」
「やっぱりそうなの」
「辛い思いをしてきましたね」
「だから引っ掻いてきたの」
「おそらく」
「そうだったの」
「はい、ですからこの子には飼い主が必要ですが」
 優しい顔立ちの獣医は心配そうに猫を見つつ述べた。
「うちで里親募集の貼り紙を出してボランティア団体にも連絡して」
「あっ、それいいから」
 杏奈は心配そうな獣医に笑って話した。
「うちで飼うから」
「ですがお家では」
「丁度うちで猫飼いたいって言ってたし」
 笑顔で言うのだった。
「だからね」
「飼って頂けますか」
「そうするから」
 獣医に笑顔で話した。
「だからね」
「この子を飼ってくれますか」
「そうするよ」
 こう言ってだった。 
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