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親友になった猫

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第一章

                親友になった猫
 この時飯田杏奈は高校の授業をさぼって家に向かっていた、そこで一緒にいる友人の神戸皆実に言った。見ればストレートのロングヘアを金色に染めていて派手めなメイクである。制服を短く派手に着崩していてスカートも短くしている。背は一六〇位でスタイルは中々だ。
「お家行くまでに公園行かない?」
「公園?」
 皆実は杏奈に問い返した、こちらは髪の毛をピンクにしていてやや肌を黒くしている。少し垂れ目でやはり制服はラフに着崩している。背は一五九位で杏奈と同じ位のスタイルだ。
「杏奈のお家の近くの」
「そう、そこに行ってね」
 それでというのだ。
「一休みしよう」
「そうするの」
「あたし何か疲れたから」
 それでというのだ。
「一旦ね」
「公園で休んでなのね」
「それからお家行こう」
「そんなに疲れてないっしょ」
 皆実は杏奈に突っ込みを入れた。
「別に」
「それはそうだけれど」
「それでもなの」
「喉渇いたから」
「疲れてなくてなの」
「そう、それでね」
 自分でも疲れているのではなくそちらだと思いつつ話した。
「公園でジュース飲んで」
「それからなの」
「お家帰ろう、あの公園自動販売機あるしゴミ箱もあるし」
「空き缶捨てられるから」
「余計にいいから」
 それでというのだ。
「とりあえずね」
「公園ね」
「そこ行こう」
 軽い調子で言ってだった。
 杏奈は皆実と一緒に家に帰る途中の公園に入った、そこで二人で自動販売機でコーラを買ってだった。
 自動販売機の傍のベンチに二人並んで座ってコーラを飲んでいるとだった。杏奈は不意にこんなことを言った。
「何か猫の鳴き声しない?」
「猫の?」
「そう、あそこからね」 
 自分達の近くにある二段、三つに置かれている土管を見て言った。
「聞こえない?」
「土管になの」
「そう、あそこからね」
「あたしは聴こえないけれど」
「ちょっと見に行こう」
 杏奈はこう言ってだった、コーラの飲みかけの缶を右手にだった。
 ベンチを立ってそちらに向かった、皆実もそれについていくと。
 土管の中に小さなシャム猫がいた、首輪はない。痩せていて毛も乱れている。
 その猫を見て杏奈は言った。
「シャム猫いるよ」
「ああ、いたんだ」
「ふうん、首輪してないから野良かな」
「ニャッ」
 杏奈が猫に空いている左手を向けるとだった。 
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