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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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第22節「この拳も、命も……」

 
前書き
タイトルでバレますねw
今回はあの名言が飛び出した、原作六話Bパート後半となります。

しかし、重い話題ばかりではありません。
遂にあの天才が帰ってきます。拍手と共に迎えてあげてください!

それから、昨日でG編開始から一ヵ月です。
このペースで折り返しに到達してるなら、少なくとも来月、多く見積もっても夏には完結する見込みです。
これ、年内でGX編開始も夢じゃないのでは?
取り敢えず、これからも応援よろしくお願いします。

推奨BGMは『Next Destination』です。
それでは今回も、お楽しみください! 

 
「リンゴは浮かんだお空に──♪」

(……マリアの歌……)

マリアの口ずさむAppleに、ナスターシャ教授は目を覚ます。

自分がベッドに寝かされていることに気付いた彼女は、昨夜何があったのかを思い出す。

(優しい子……。マリアだけではない。私は、優しい子達に十字架を背負わせようとしている……)
「ルルアメルは笑った とこしえと──♪」

優しさなど捨ててしまえ。
組織の長として、昨夜はそう言った手前であるが……マリアの歌を聴いていると、自分が年端もいかない子供達に、どれほど重たいものを押し付けようとしているのかと、今更ながらに後悔が込み上げてくる。

(私が……間違っているのかもしれない……)

身体を起こしたその時、壁に取り付けられたモニターに音声通信が入った。

「──私です」
『──っとと……。もしかして、もしかしたらマムデスかッ!?』
『具合はもういいの?』

声の主は切歌と調。
昨夜からドクターを探し、東京都番外地区内を歩き回っているのだ。

「マリアの処置で急場は凌げました」
『よかった……』
『うん……。──で、でね、マム……待機してるはずのアタシ達が出歩いているのはデスね……』
「分かっています。マリアの指示ですね?」
『はあああ……』
『マムの容態を診ることができるのは、ドクターだけ……でも、連絡が取れなくて』

マリアはナスターシャ教授が微笑んでいることに驚き、目を見開く。

「二人とも、ありがとう。では、ドクターと合流次第連絡を。ランデブーポイントを通達します」
『了解デスッ!』

通信を終えたナスターシャ教授は、マリアの方を向くと、穏やかな口調で言った。

「マリア、あなたも……ありがとう」
「マム……」
「さあ、出立しますよ。ツェルトはどこですか?」
「ツェルトなら、多分自室かシミュレーターじゃないかしら?」
「では、後で呼びに行ってください」
「わかったわ」

そう言ってマリアは、ナスターシャ教授を車椅子に座らせる。

武装組織フィーネは、少しずつだが変わろうとしていた。



「はあ~、まさかマムが出るとは思ってもいなかったデスよ……」

切歌は緊張で強張っていた肩を落とし、溜息を吐く。

「でも、本当に良かった」
「うん」

調と顔を見合わせたその時、切歌のお腹がグーと鳴った。
切歌は頬を赤らめながら、後頭部を掻いた。

「おっと~、安心した途端にこれデスよ~」
「今日は朝から何も食べてないから」
「どうするデス? ここでご飯、食べていくデスか?」

二人は周囲を見回す。

今いるのは、小さな商店街の一角らしく、周りにはいくつか店が並んでいる。

ルナアタックの後も、住んでいた家を手放せない住民が少なくないらしい。
『唐青家』、『童夢』、『武藤ゲーム』、『明白堂』、『寺野屋』、そして『ふらわー』……。

飲食店や菓子店、ゲームショップなどが多いところを見ると、ルナアタック以前はきっと、学生たちの溜まり場になっていた場所かもしれない。

「ん~……だけど、急いでドクターを探さなきゃ」
「お……そうだね。うん、そうするデースッ!」

調の言葉に、切歌は拳を天へと掲げ、えいえいおーと気合を入れなおす。

二人は、手を繋ぎながら商店街を走り抜けていくのだった。

そして、通り過ぎた一軒のお好み焼き屋『ふらわー』の中では、店主のおばちゃんが使われたばかりの食器を洗っていたことは、二人が知る由もないのだった。

ff

「もうッ! 復帰早々お仕事だなんて、弦十郎くんも人使いが荒いんだからッ!」

数か月ぶりの白衣に袖を通しながら、彼女は弦十郎に抗議する。

「すまない。しかし、緊急事態だ。君には悪いと思っているのだが……」
「な~んて、冗談よ。報告書は読んだけど、私がいない間になんだか大変なことになってるじゃないの」
「だからこそ、君の力を貸してほしいんだ。了子くん」
「モチのロンよ~! ようやくあの独房みたいな病室から抜け出せたんだもの。好きなようにやらせてもらうわ」

櫻井了子は、指で眼鏡の位置を直しながらそう言った。

「それで、目下一番の問題は、翔くんと響ちゃんの融合症例……そうよね?」
「ああ。これ以上ギアを使い続ければ、遠からず二人は……。幸い、翔からはブレスレットを預かってある。これでギアを纏う事は無いはずだ。問題はギアの破片そのものと融合してしまっている響くんだが──」

弦十郎がポケットから翔のブレスレットを取り出した瞬間、了子の目の色が変わった。

「……ッ!? 弦十郎くん、そのブレスレット外させちゃったの!?」
「む? ああ。翔のギアは、こいつに内蔵されたRN式コンバーターで、胸の聖遺物の欠片を活性化させることで形成されているんだろう? なら、こいつを外せば、胸の聖遺物は活性化しない……違うのか?」
「ええ、それは間違っていなかったわよ……昨日の暴走が無ければね」
「何だとッ!?」

了子は翔と響のレントゲン写真を見比べながら言った。

「弦十郎君が言ってるのは起動方法の方。その身に溢れる聖遺物の力をRN式からのバリアコーティングで抑え込むことで、ギアの形として形成する。それが翔くんの疑似シンフォギアよ」
「という事は……まさかッ!」
「ええ……。それに加えて、翔くんと響ちゃんって付き合ってるのよね? 戦場に出るときも、よくバディを組んでるくらいの」
「ああ、そういう事になるが……」
「それはつまり、響ちゃんの歌に一番近い場所で触れているという事。RN式コンバーターを介さなくても、聖遺物を起動させるには充分だわッ!」
「ぬかったッ! 今すぐ二人を──」

弦十郎が二人を呼び戻そうとしたしたその時……本部内に、ノイズ出現のアラートが鳴り響いた。

ff

「しっかしまあ、うら若きJKが粉モノ食べすぎなんじゃないですかねぇ~」

いつか、翼を連れて遊びに来た公園──翔と響が想いを伝えあった思い出の場所でもある──の階段を下りながら、弓美は響に向かって言った。

「ねぇってば~」
「……あ、ああ~、旨さ断然トップで断トツだからねぇ……おばちゃんのお好み焼きは……」

ぼーっとしていたのを悟られないよう、響は慌てて答える。

「お誘いした甲斐がありました」
「おばちゃんも、すごく元気そうでよかった~」
「以前ほど、簡単に通えませんからね」
「あそこの豚玉、サイッコーに美味ぇんだよなぁ~!」
「僕はツナコーンだな。マヨネーズとの相性が最強だ」
「エビ玉のプリプリ感……。あれは口の中が花火大会」
「麺入りのボリューム、あれに敵うものはないんじゃないかな?」
「ハイハイ男子、お好み焼き大戦を勃発させない」
「えー! おばちゃんの店って言ったらやっぱりキャベツ大盛りが一番でしょー!?」
「ってユミまで!? もー、勘弁してよ~」

詩織、未来、創世が後に続き、更には翔とUFZの4人も並ぶ。
純はクリス、翼と共に本部での待機となってしまった為、今回は不参加である。

「ひょっとして、姉さんに釘でも刺されたか?」
「え?」

隣を歩く翔の言葉に、響は驚く。
図星だ。つい昼休みに翼から、『足手まといが、二度とギアを身に纏うな』と、厳しい言葉と共に突き放されたのだ。

「いやなに、俺も似たようなもんだ。叔父さんはメンテだなんて言ってたけどな」

そう言って翔は、RN式のブレスレットが嵌められていない手首を見せる。

「姉さん、不器用だけど優しいから。多分、俺達を暫く前線から引かせたいんじゃないかな」
「どうして、そう思うの?」
「姉さんや叔父さんの考えてることは、何となくわかる。あんな事があったんだし心配なんだよ、二人とも」
「そっか……。翼さん、わたしの為に無理してあんな事を……」
「あの姉さんが、可愛い将来の義妹をいじめるわけないだろ?」
「それもそうだね。後でお礼言わなきゃ」

笑い合う二人。そこへ創世が声をかける。

「もしかしてビッキー、そこまで深刻じゃなかった?」
「ふえ?」

首を傾げる響に、弓美が呆れたように突っ込む。

「あんたってば、ハーレムアニメの主人公並みに鈍感よね」
「どこかの誰かさんがね。最近響が元気ないって心配しまくってたから、こうしてお好みパーティーを催したわけですよ」
「未来が……」

照れ臭そうにはにかむ未来。

階段を下りた響が振り返って感謝しようとした、その時……。

激しいブレーキ音と共に、三台の黒い乗用車が目の前を走り抜けていく。

乗っているのは、二課の黒服職員……情報部の職員だ。

「ほわッ!?」
「──ッ!」

車が角を曲がった次の瞬間、ブレーキ音、クラクションと共に爆発音が鳴り響き、煙と炎が上がった。

「今のッ!」
「行くぞッ!」

響と翔を先頭に、10人は爆発のあった場所へと走る。
そこに広がっていたのは、破壊され、ひっくり返った乗用車と炭素の山。

そして……。

「……ひ、ひひひ……誰が追いかけてきたって……こいつを渡すわけには……」
「ウェル……博士……ッ!」

乱れた髪に無精髭、精神が崩壊してはいまいかと心配になるような笑い声。
昨夜よりも更に狂気を感じさせる雰囲気を纏ったウェル博士であった。

自分の名を呼んだ者の顔を見るなり、博士の表情は一瞬にして恐怖に歪んだ。

「な、なんで、お前らがここにいいいッ!? ひッ、ひいいいいッ!」

ウェル博士が向けた杖の動きに合わせ、2体のクロールノイズがこちらへ飛びかかる。

次の瞬間、響と翔は友人たちの前へと素早く躍り出て、鞄を投げ捨てるとノイズへ向かって走り出した。

「──Balwisyall Nescell gungnir troぉぉぉぉぉぉンッ!」
「──Toryufrce Ikuyumiya haiya troォォォォォォンッ!」

聖詠と共に、二人はそれぞれノイズに正拳突きと飛び蹴りを放つ。
その拳とつま先は、生身でノイズに触れていた。

「──響ッ!?」
「翔……ッ!?」

未来や恭一郎は、その光景に度肝を抜かれる。
特にウェル博士は、その目を瞠目して驚愕を露わにしていた。

「人の身で、ノイズに触れて──」

二人がノイズに触れた個所から、ギアが展開されていく。

装着が終わり、響のマフラーがたなびくと共に、2体のノイズは粉砕された。

「「おおおおおッ!」」
「ひいいいいーッ!?」

ノイズが砕け、余波で発生した風圧に打たれながら、ウェル博士は悲鳴を上げる。

その瞬間に実感したのだろう。
二人は拳を震わせ、歯を食いしばりながら宣言する。

「この拳も、命もッ──ッ!」
「この身体も、魂までも──ッ!」

「「シンフォギアだッ!」」

我こそはヒトでなく、“シンフォギア”である……と。 
 

 
後書き
書いてる途中に、今ままでコピペしてきた翔くんの聖詠は「tron」のrとoが逆になっていたことに気付いた。
でも直す気が起きない……気付くの遅すぎたし、ハーメルンと違って誤字報告は作者が編集メニューからちまちま打ち直さないといけないっていうめんどくささあるからね、ここ……。

今になって思えば、ここでマムが考えを改めたのもAppleの影響だったのかもしれませんね。
これも後半への、そしてXVへの伏線だったとは……やっぱり、見直していくと発見が多いですわ。

次回、またしてもウェルの野郎が好き勝手。
あいつのターンいつまで続くんだ……いい加減お前は罪を数えろ。

それでは、次回もお楽しみに! 
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