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八条学園騒動記

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第五百六十四話 脚本その五

「本当にね」
「だからだね」
「ちゃんと読んで」
 そしてというのだ。
「読まないとね」
「駄目なんだね」
「うん、もう君は原作も歌劇も読んで観てるから」
 だからだとだ、菅は話した。
「ある程度以上ね」
「もう理解しているね」
「今こうして僕と話せてるし」
「基礎は固まってるかな」
「そうだと思うよ」
「そうだね、しかしシェークスピアって難しい役が多いって言ったけれど」 
 今菅自身がとだ、マルティは彼に話した。
「わかりやすくはあるんだね」
「一作一作短いしね」
「小説だと中編位のサイズだね」
「ロシア文学やフランス文学みたいに長くないよ」
「どっちも長編多いね」
「トルストイとかユゴーとかね」
 特にユゴーは文章自体が異常に長いので有名である、ただしこの文豪は世界の小説で最も短い作品も書いている。何と『!』の一文字だけだ。
「長いけれど」
「シェークスピアは短いね」
「それでキャラの持っている顔は複雑でも」
「お話とかはわかりやすいね」
「単純明快だよ」
 シェークスピアの作品はというのだ。
「勧善懲悪、、因果応報でね」
「愛は素晴らして」
「世に悪は栄えた試しなしだよ」
「悪人は絶対に報いを受けるね」
「だからね」
 そうした作品世界だからだというのだ。
「あらすじ自体はね」
「理解しやすくて」
「作品のテーマもね」
「わかりやすいね」
「それはいいことだよ」
 わかりやすいことはとだ、そして。
 管はマルティにこんなことを言った。
「よく難解な作品とかあるね」
「ああ、理解しにくい」
「うん、何を言いたいのかね」
「文章も難しい言葉使っていて」
「何か独特な単語を多用して」
「哲学とかに多いね」
「ああいうのはね」 
 菅はマルティに無表情で話した。
「僕は一切読まないんだ」
「そうなんだ」
「読んでも訳がわからない様なものはね」
「そうした作品とかは」
「実は中身がなかったりするから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「そうした本とかはだね」
「もう読まないんだ」
「最初からなんだ」
「うん、特に日本の二十世紀の哲学者とか思想家に多いっていうけれど」
「やたら難しい言葉を使いたがる」
「単語とかね、文章も何を言いたいのか言ってるかわからない」
 そうしたというのだ。
「文章を書いていたっていうけれど」
「君はそうしたものは読まないんだ」
「一切ね」
 全くとだ、菅は小さめだが確かな声で言い切った。 
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