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八条学園騒動記

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第五百六十四話 脚本その二

「チャイコフスキーのは」
「あの人が作曲して」
「脚本はあの人とあの人の弟さんが書いたんだ」
 即ち脚本は兄弟合作だったのだ。
「そうしたんだ」
「そうしたら作品として全く違うものになったんだ」
「チャイコフスキーさん女性に冷たくて」
 菅は作曲者の性格から話した。
「女性を悲しませる趣味があったらしいから」
「そうだったんだ」
「それである人が言うには」
「どう言っていたのかな」
「あの禿は悪趣味だったってね」
「女の人を悲しませる趣味があったから」
「チャイコフスキーさんの髪の毛のことも話して」
 このことは写真を見てもわかることだ、尚チャイコフスキーも結婚していたし女性のパトロンも存在していた。
「それでね」
「そう言ったんだ」
「まあこれは悪口だけれど」
「禿って言った時点でそうだね」
「うん、けれどこっちの作品はね」
 そのスペードの女王はというのだ。
「原作と歌劇だとね」
「そういえばかなり違うね」
「原作だとヒロイン死なないのに死ぬし」
「それがチャイコフスキーさんの趣味だね」
「その趣味が出て」
 それでというのだ。
「ホラー作品にもなってるし」
「あの歌劇かなりその色強いしね」
「もうその辺りはね」
「チャイコフスキーさんの個性が出たんだね」
「そしてその結果ああした作品になったけれど」
 プーシキンの原作とかなり違うそれにというのだ。
「けれどね」
「それでもだね」
「ウィンザーの陽気な女房達の方は」
「そういうのはなくて」
「合わせられるんだ」 
 原作と歌劇をというのだ。
「それも物凄く楽にね」
「それだったら」
「もうフォルスタッフ卿は原作より賢者にしていって」
 そうしてとだ、管はさらに言った。
「そこから書いていくよ」
「歌劇みたいにだね」
「うん、ただ酷い目には遭うよ」
「洗濯ものの中に入れられたりお堀に放り込まれたり」 
 マルティはフォルスタッフ卿がやられることについて具体的に話した。
「あとこづき回されたり」
「そうした目には遭うから」
「正直読んでたら当然の報いだしね」
 客観的にだった、マルティは話した。
「あれだけ図々しいことしてたらね」
「女の人二るに同時に言い寄ってね」
「書いてる手紙の内容も同じで」
「しかも完全にお金と色目当てだから」
「そんなのだとね」
 それこそというのだ。
「そういう目に遭うことも」
「当然だね」
「当然というか」
 それこそというのだ。
「まだ足りないかな」
「反省しないからね、あの人」
「もう何があってもね」
「それでまたやらかすし」
 そして物語のクライマックスに至るのだ。
「森の中でこづき回されることも」
「当然だね」
「まあ流石にそこで大団円になるけれど」
「何だかんだで和解して」
「そうなるにしても」
「やっぱり報いは受けないとね」
 マルティは冷静な声で述べた。 
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