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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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男の責任

<海賊のアジト>

昨晩の食べ残しを朝食代わりに食するリュカ…
その横には、互いの顔を見る事が出来ず、頭痛と自己嫌悪で俯く二人の勇者。
その隣には、リュカの動きにビクつくウルフと、妙にイチャついてくるマリーが…

そして其処にビアンカとハツキが現れる。
二日酔いによる頭痛と吐き気と互いの気まずさを纏いながら…
「……ねぇリュカ…私達…何があったの?」
自分とハツキを指差しながら、恐る恐るリュカに尋ねるビアンカ。

「いやぁ…僕の口からは言えないなぁ…こんな大勢の前では…」
目覚めると裸で抱き合って寝ていたビアンカとハツキ…
これ以上ないくらいの最悪なシチュエーションに、今にも吐きそうな二人…

誰も何も喋らない…リュカとマリーだけが楽しそうに鼻歌交じりで食事をするだけ…
他者の表情に気付く事もない…最早自分の事で手一杯の様だ!
リュカも我が子の事を話題に出さない…気の利くパパのつもりの様だ。

そしてこのアジトの主が、大柄な男を伴い姿を現す。
「おぅ、おはようさん!……何だぁ、随分と暗いじゃないか!」
するとリュカ以外の全員が、頭を押さえて文句を言う。
「声が大きい…」
「何だぁ…二日酔いかぁ!情けないねぇ~…」
やれやれと言った表情で、アルルの正面にカンダタと共に座るモニカ。

「アルル…昨日の話だけど………協力するには条件がある!」
急に真面目な表情で話し始めるモニカ…
「条件…ですか…?」
慌てて座り直し真面目に問いかけるアルル。

「あぁ…と言ってもアンタにじゃない!カンダタに対してだ…」
そう言うと隣に座るカンダタに視線を移すモニカ…
皆の視線がカンダタへ集中する。
「この冒険が終わり、世界が平和になったら…ア、アタイと…け、け、結婚してほしい!!」
モニカが耳まで真っ赤に染め上げ、恥ずかしそうにカンダタにプロポーズをする!
そして不安気にカンダタを見つめるモニカ…普段男勝りでも、こう言う時は可愛らしく見える。

しかし中々返答しないカンダタ…
「ダ…ダメ…?やっぱりアタイじゃ…」
「そ、そうじゃねぇ…そう言うんじゃねぇーんだ!」
カンダタはモニカに向き直り、正面から瞳を見つめると本心を語り出す。

「俺は以前…ロマリアから逃げ出した時に、悪党から足を洗うと心に決めた…そんな時にお前から海賊に誘われ、答える事が出来なかった!かと言って『海賊を辞めて俺に付いて来い』とも言えない…お前には、お前を慕う手下が大勢居る…そいつ等まで路頭に迷わすわけにはいかない!………だからあの時は黙って姿を消したんだ………だが、お前の気持ちはよく分かった!だから俺からも条件を出す!」
「じょ、条件…?」

「あぁ…俺と結婚するのなら、海賊から足を洗う事だ!」
「海賊を…辞める…」
モニカは呟き、昨晩同様遠巻きに眺めている手下達を見る。
「…どうした…やはり手下達の為に、海賊業を辞める訳にはいかないか?」
即答出来ないモニカに、優しく声をかけるカンダタ…

「頭ぁ~…俺達の事を気にする必要はねぇーですぜ!」
すると海賊の一人がモニカを気遣い語り出した。
「俺等もそろそろ海賊から足を洗おうと考えてたんですよ!…なんせつい最近、海賊ってだけで俺等をボコボコにする親子が現れたもんで…もう嫌気が差したんでさぁ…」
海賊達がリュカ親子を見ながら、辟易と語る…

「そうですわ!悪党に人権なんてありませんのよ!ね、お父様!」
「そうだね」
《ひでぇ…やっぱりリュカさんの娘だよ、この娘………俺、手を出した事になっちゃってるよ…どうしよう…》
ウルフがたん瘤が出来てる後頭部をさすりながら、哀れみの目で海賊達を見渡す…

「で、でも良いのかい…アンタ達、海賊辞めた後、食っていけるのかい!?」
「そ、それは………」
モニカが最も気にしている事…それが解決しないと、モニカは海賊を辞める事が出来ない…

暫く沈黙が包む。
皆が幸せになれる方法を模索して…
「………こんなのはどうでしょう…」
最初に口を開いたのはウルフだ…

「俺達の旅が終わった後、俺達の船は海賊…イヤ違った、この人達に譲渡するのは………あの船を使って、海運業とかを行えば…」
パーティーリーダーのアルルに尋ねる様に提案するウルフ。
「うん…良いんじゃない!旅が終われば、私達に船は不要ですもんね!」

「素敵ですぅ!さすがウルフ様ぁ!!格好いいですぅ!」
愛らしくはしゃぐ少女は、先程『悪人に人権は無い』と言った少女とは同一人物に思えない…
そんなマリーに抱き付かれ、疲れた表情で力無く笑うウルフ…
それを見て嬉しそうに微笑むリュカ…
ウルフはもう逃げられそうに無い…

「カンダタ!アタイ…アタイ……っん!」
モニカが歓喜の言葉を言おうとするのを、カンダタがキスで遮った!
「……その先は俺から言わせてもらう!…モニカ…俺と結婚してくれ!」
その言葉を聞き、海賊…いや元海賊達から喜びの歓声があがる!
その喜びの叫び声を聞き、二日酔いチームの面々が頭を抱えて蹲る…
喜びと苦痛が同居する中、カンダタとモニカは長く濃厚なキスを続ける!
他人の色恋に興味がないリュカは、詰まらなそうに二人を見つめ不要な発言をした…

「…にしても、男の趣味が悪い女だ!」
「あんだとこの野郎!ぶっ殺すぞコラ!!」
カンダタとの長いキスを打ち切り、リュカに向かい乱暴な言葉を吐き続ける!
カンダタに押さえられて無ければ、襲いかかっていただろう!

「あはははは!取り敢えずはおめでとうカンダタ。とっても手のかかりそうな奥さんだね!」
そんなモニカを見て、爆笑しながら祝辞を述べるリュカ…
「旦那…ありがとう!でもまだ夫婦じゃねぇーよ!婚約しただけさ…結婚は世界が平和になってからさ!」
カンダタとモニカは互いを見つめ頷き合う。

「気にする必要無いのに…僕なんかはプロポーズから2日後に結婚式を挙げたんだよ!周囲の人達が『お前は放っておくと浮気する!さっさと結婚しろ!』って言われてさ。…まぁ、あまり関係なかったけどね!」
リュカが笑いながら自身の事を語る…
「笑い事じゃないだろ…それ!」
呆れるカンダタ…リュカなりの祝の言葉なのだろうと、勝手に思う事にした…

望む望まざるに拘わらず、新たに3組のカップルが誕生したアルル達一行。
この先の旅に影響はあるのだろうか…
きっと影響あるのだろうと思われる…



 
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