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女子高の男子生徒

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第五章

「もうね」
「競争が激しくて」
「もう我先に、人を押しのけて」
「そこまでしてなのね」
「いかないと駄目だったわ」
「それで貴女は駄目だったのね」
「凄かったわ、一人の子に何人も殺到して」
 女の子達がというのだ。
「私じゃ無理だったわ」
「全く、学生の本分を忘れて何をしてるのよ」
「それも大事だけれどやっぱりね」
「交際したいっていうのね」
「そうよ、折角用意もしてたのに」
「何の用意なの?」
「交際した時の勉強よ」
 娘はコンドームのことは隠してこう返した。
「ただね」
「だったらいいけれど」
「今時のことしかしないから」
「その今時が凄く問題なの」
「だからお母さん真面目過ぎるわよ」
「今の世相がおかしいの」
「じゃあ彼女作ろうかしら」
 実はそちらも悪くないと思っている。
「それなら」
「同性愛?」
「不純異性交遊じゃないし」
「それもちょっと」
「駄目なの」
「お母さんそうした趣味もないから」
 それでとだ、栄子は娘にここでは微妙な顔になって返した。
「だからね」
「何とも言えないの」
「ちょっとね」
 どうにもという返事だった。
「そっちについては」
「同性愛だと妊娠しないし」
「そういう問題じゃないわよ、というか妊娠!?」
 栄子はこの言葉にも顔を真っ赤にさせて娘に言った。
「またそんなこと言って」
「だって現実にね」
「同性愛だとっていうの」
「不純異性交遊でもないし」
「だからそういう問題ではないわ、不純なことはね」
「絶対に駄目だっていうのね」
「そう、貴女は本当に」
 また娘を怒った。
「そんなことばかり言って」
「だからお母さんが真面目過ぎるから」
「そうじゃないわ、今の世相がね」
「おかしいっていうのね」
「そうよ、ふしだらなのがね」
「そこまでいくと明治よ」
 その頃だというのだ。
「倫理観が」
「あんまりにも古いっていうのね」
「そうよ、どうなのよ」
「古くてもよ、そうしたところはしっかりしないと」
「だからうちの学校が共学になってなのね」
「全く、ふしだらになりそうで心配よ」
 栄子のこの考えは変わらなかった、しかし。
 当の男子生徒達は新入生達もこうしたことを思った。
「凄かったな」
「入学早々僕達の争奪戦で」
「僕達の取り合いだったよな」
「もう我先に来て」
「押し倒されんばかりだったし」
 そこまで迫られたのだ。
「何か油断したら」
「その場で逆にってなりそうだったよ」
「女の子って凄いな」
「女の子ばかりだとああなるんだな」
「よく見たら僕達の目がないと結構下品だし」
「そうだよね、会話とかも」
 男子がいないと見るや彼女達は一変するというのだ。
「もうね」
「凄く品なくて」
「あけっぴろげで」
「とんでもないね」
「女の子も怖いよ」
「本当に」
 女の現実にかなり引いていた、女の園に入ることが出来てよかったと思っていれば現実は違っていてそうなっていた。
 だが彼等も男女交際自体は楽しんでいて。
 校内は至るところでカップルばかりになっていた、それで校内の雰囲気は女子ばかりのあけっぴろげで実は下品で隠さないものでなくなっていて。
 いちゃいちゃとしているが華やかな雰囲気に彩られる様になった、栄子はそれを見て内心これもまたよしかと思った。そして自分も変わったと内心苦笑いもした。


女子高の男子生徒   完


                  2019・10・18 
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