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オズのハンク

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第十一幕その十一

「メジェド神を探す旅になるとも思わなかったし」
「お祭りにもね」
「参加出来るなんて」 
 それこそというのです。
「本当にね」
「思わなかったね」
「そうよ、何が起こるかわからない」
「それがオズの国だね」
「そのことを実感しているわ」
 トロット自身がというのです。
「心からね」
「そうだよね」
「そう、それでね」
「今はだね」
「このお祭りをね」
「楽しんで」
 そしてというのです。
「過ごしましょう」
「それがいいわね」
「私達も踊って音楽を聴いて」
「飲んで食べて」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しみましょう」
「僕達もね」
「私もまた踊るし」
 今は休憩中なのです。
「貴方もね」
「うん、また食べるよ」
「そうするわね」
「レタスをね」
「レタスが本当に多いわよね」
「このピラミッドの中はね」
「セト神の好物のせいか」
 それでというのです。
「随分とね」
「それがね、僕にとってもね」
「嬉しいのね」
「そうだよ、だからね」
「また食べるのね」
「そうさせてもらうよ、あとパンもね」
「古代エジプトのパンね」
 どうしたパンはかトロットもわかりました。
「あのパンね」
「うん、あのパンもね」
 是非にというのです。
「食べようね」
「そうするのね」
「黒いパンだけれど」
「黒パンも美味しいわね」
「これはこれでね」
「だからなのね」
「また食べるよ」
 古代エジプトの黒いパンもというのです。
「是非ね」
「そうするのね、そういえば私もね」
「パンはだね」
「ずっと白いパンしか食べていなかったわ」
 そうだったというのです。
「最近は特にね」
「白いパンばかりで」
「黒糖パンもね」
 白砂糖ではなく黒砂糖を使って焼いたパンです。
「こちらもね」
「食べていなかったんだね」
「ご飯を食べることも多かったし」
 こちらもというのです。
「あとジャガイモもね」
「ジャガイモだね」
「ここではあまり縁がないけれど」
 ピラミッドではというのです。
「それでもね」
「確かに僕達ジャガイモよく食べるね」
「何かっていうとね」
「マッシュポテトにフライドポテトに」
「他にもジャガイモのお料理多いし」
「そのまま茹でてバターを乗せてもいけるし」
「ジャガイモはいいものだ」
 ここでセト神がトロット達のところに来て言ってきました。
「実に美味い」
「あれっ、セト神ジャガイモも好きなんだ」
「基本野菜は何でも好きだ」
「レタスだけじゃないんだ」
「左様、それで私はジャガイモもよく食べるのだよ」
「そうだったんだね」
「ただ古代エジプトにはなかった」
 そのジャガイモはというのです。
「実に新しく珍しい作物であるな」
「その頃新大陸は発見されていなかったから」
「我々はジャガイモを知らなかった」
「影も形もなかったんだったね」
「全くな」
「そうだったんだね」
「だからだよ」
 セト神はさらに言います。
「私も長い間食べるどころか存在すら知らなかったが」
「このオズの国ではだね」
「よく食べている」
「そうなんだね」
「このお祭りでは出ていないが明日にでも食べよう」
「それがいいね、ジャガイモを食べると」
 ハンクは笑顔でセト神に応えて言いました。
「それだけで幸せになれるしね」
「うむ、ではな」
「明日にでもだね」
「ジャガイモを食べるとしよう」
 古代エジプトのお祭りの中で、です。ハンクはセト神とこうしたお話もしました。その後セト神は親友同士であるトト神と仲良くワインを飲んでハンクを踊りに誘いました。それでハンクも踊りを楽しみました。 
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