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レーヴァティン

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第百四十五話 港町からその一

               第百四十五話  港町から
 久志は兵をカルタヘナやバルセロナといった連合王国の主要な港湾都市にも進めていった、その前にそういった街々に降る様に使者も送ったが。
 するとそういった港町も降っていった、それで久志はセビーリャにおいてマドリードに向かう兵の用意をする中で言った。
「もうここまでくるとな」
「どうしたでござるか」
「いや、怖くなるな」
「使者の言葉を聞いて街が次々に降るので、でござるか」
「これまでもう戦い通しだっただろ」
 進太に顔を向けて彼に問うた。
「そうだったろ」
「確かに。人を送ってもでござる」
「大きい街とか部族とかな」
「降らなかったでござるな」
「それで戦って降してばかりだったからな」
「少なくとも一戦交えて勝利を収める」
「そうでもないとだったからな」
 過去の戦のことから言うのだった。
「だからだよ」
「今そう言われるでござるか」
「皇帝になってしかも多くの兵を持てば」
 この二つの要素が重なればというのだ。
「もう街や村や多少の領主だったらな」
「使者の話を聞いて降るでござるな」
「それか自分達からな」
 使者を送らずとも、というのだ。
「そうしてくるな」
「やはり皇帝の権威とでござる」
「大軍の威か」
「この二つを前にしているからでござる」
「これまでより遥かに降るんだな」
「これまで拙者達は勢力は小さく」
 地中湖中央部の久志が言う長靴の半島を統一する時の湖南岸部を掌握する時もだ、やはり彼等は今よりも小さい勢力だった、徐々に大きくなっていっても。
「二十万の兵なぞなかったでござるな」
「それで攻めるなんてな」
「夢だったでござるな」
「ああ」
 まさにとだ、久志は進太に答えた。
「それで皇帝にも即位していなかったしな」
「だからでござる、前にも皆でこうしたお話をしたでござるな」
「それで今また噛み締めてんだよ」
 このことをというのだ。
「本当にな」
「左様でござるな」
「ああ、それでな」
 久志はさらに話した。
「俺としてはな」
「いいことでござるな」
「相手が戦なしに降るならな」
 それならというのだ。
「本当にな」
「文句はないでござるな」
「ああ」
 久志は今の自分の感情を素直に述べた。
「本当にな」
「左様でござるな」
「やっぱりな」 
 何といってもというのだ。
「こんないいことはないぜ、このままな」
「連合王国自体をでござるな」
「手に入れることが出来れば」 
 それならというのだ。
「文句なしだぜ、連合王国の王様も王妃様もな」
「女王とも呼ばれているでござるな」
「そうだな、まあどちらにしてもな」
「お二人もでござるな」
「両方な」 
「王位はでござるな」
「保証するさ、俺は皇帝なんだ」 
 この地位にあるからだというのだ。 
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