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老人へのサービス

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第四章

「だからね」
「あの人もなのね」
「絶対にね」
 それこそというのだ。
「死んでくれるから、それもね」
「殺人とかにはならないのね」
「犯罪はね」
 それはというのだ。
「絶対にならないから」
「人を死なせても」
「それでもね、だからね」
「あの人のことは」
「絶対に近いうちに死んでくれるから」
 そうなるからだというのだ。
「待っていてね」
「そうさせてもらうわ」
 早百合は志麻がそう言うならと頷いた、すると実際にだった。
 川上が死んだと老人ホームから連絡があった、死因は急性の重度の糖尿病だったが脂肪肝や痛風、腎臓病、そして全身疲労にアルコール中毒も患っていた。
 誰もが彼の死を喜んだ、だが。
 その死因そして彼が様々な病気を患っていることに早百合は首を傾げさせてそのうえで家族に言った。
「あの人健康だったのに」
「そういえばそうだよね」
「お父さん健康にも気を使っていたから」
「そんな身体を壊すとか」
「糖尿病とか痛風とか」
「全く無縁だったのに」
「お酒もそこまで飲まなかったのに」
 子供達も孫達も首を傾げさせて言うのだった。
「それがどうして」
「急に身体を壊したのかな」
「それも色々な病気を患うとか」
「おかしいわね」
「本当にね」
 このことがわからなかった、だが。
 志麻は早百合にまた喫茶店で話した。
「これがね」
「あの人が身体を壊したことが」
「あの老人ホームの秘密なのよ」
 そうだったというのだ。
「実はね」
「秘密っていうと」
「だから。至せり尽くせりでね」
 そうした風で、というのだ。
「いつもご馳走やお酒や女の人を提供してもらえるのよ」
「ご馳走とかお酒を」
「そう、最高級のお料理にお酒にね」
「美人の人達もなの」
「そこまで揃うから」
 それでというのだ。
「もうね」
「糖分とかコレステロールとかが高くても」
「そうしたご馳走ばかり食べてお酒もよ」
 最高級のものでというのだ。
「それでね」
「女の人も」
「その人それぞれの好みに合う様な」
「美人の人を揃えて」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「溺れさせるのよ」
「お酒にお料理に女の人に」
「全て使ってね、溺れれば」
「そうなれば」
 早百合もはっとした、そのうえで述べた。
「もうそれこそ」
「そうでしょ、身体を壊してね」
「すぐに亡くなってしまうわね」
「実際あの人すぐに亡くなったでしょ」
「老人ホームに入るまでは健康そのものだったのに」
 それでもとだ、早百合は志麻に答えた。
「あっという間だったわね」
「そうでしょ、あそこはね」
「人を溺れさせてなのね」
「死んでもらう場所だったのよ」
「そうした場所だったのね」
「殺人は罪よ」
 志麻は早百合に笑って話した。
「理由はどうあれね」
「若しばれたら大変なことになるわね」
「実際にそうしたお話もあるでしょ」
「ええ、それはね」
「そうでしょ、けれどね」
「死んでもらうと」
「美味しいものを飲んで食べて女の人も楽しんで」
 志麻は早百合にさらに話した。 
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