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愛犬の願いごと

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第二章

「本当にかなり弱ってるから」
「ええ、すぐによね」
「病院に連れて行きましょう」
「そうしないと駄目ね」
「助かるかどうかわからないけれど」
「病院に見せないとね」
「まずはね」 
 こう話してだった、そのうえで。
 二人はベスを連れて猫を近くの動物病院に連れて行った、そうして猫を獣医に見せると獣医は二人に深刻な顔で語った。
「手は尽くしますが」
「それでもですか」
「若し今日駄目なら」
 それならというのだ。
「この娘の運命と思って下さい」
「そうですか」
 こう祖母に話した。
「今日ですか」
「元々身体が弱い娘の様ですし」
 それにとだ、医師は言葉を続けた。
「野良猫で辛い状況で」
「余計にですか」
「病気にもなっていて」
「病気ですか」
「栄養失調で。ですから」
「今日ですか」
「はい、ですが無事なら」
 それならともだ、獣医は話した。
「この娘はお家で引き取られますか」
「そう考えています」
 祖母はこう答えた、自分が家で一番年長で息子夫婦も今自分の横にいる孫娘もこうしたことは自分の話を聞いてくれるとわかっていての獣医への返事だ。
「ですから」
「それでは」
「はい、若し無事ならですね」
「明日ですね」
「引き取りに来て下さい」
 二人に話した、そしてだった。
 二人は猫を病院に預けてベルと共に家に帰った、そして祖母から息子夫婦に話すと二人もそんな可哀想な猫ならと生きていれば引き取ることを承諾した。
 だが猫の命はわからない、それで祖母も孫娘もその日ずっと不安だったが。
 朝九時に獣医からの連絡を受けて祖母はこの日の講義は午後からなので家にいる孫娘に笑顔で話した。
「猫ちゃん助かったらしいわ」
「そうなの」
「まだかなり弱ってるらしいけれど」 
 それでもというのだ。
「助かったことはね」
「事実なのね」
「それでね」 
 孫娘にさらに話した。
「今からね」
「ええ、引き取りに行くのね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「ワン」
 孫娘が笑顔で応えるとだった。
 ベルも続いた、それで孫娘は彼女の散歩も兼ねてだった。
 ベルを連れて二人で動物病院に向かった、そして猫を見たが。
 まだあまり動かず目も赤いままだ、だが。
 獣医は二人にこう話した。
「病気の薬やワクチンは打ってご飯もあげたので」
「だからですか」
「この猫ちゃんはですね」
「まずは大丈夫です」
 こう話した。
「それでお家で大事にして頂ければ」
「元気になりますか」
「はい、ただ元々身体の弱い娘なので」
 獣医は祖母にこのことを念押しする様に話した。
「無理はです」
「出来ないですか」
「はい」
 このことを言うことも忘れなかった。
「そこがご注意を」
「そうですか」
「ただ。あと少しで手遅れになっていたにしても」
「間に合いましたか」
「ですから大事にして頂ければ」
「助かるんですね」
「そうなります、大事に可愛がって下さい」
 こう言ってだった、獣医は猫を小さなケースに入れて二人に引き渡した、この時猫が雌であることも話した。 
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