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おぢばにおかえり

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第五十七話 卒業式その二十六

「あら、いいわね」
「何がいいのよ」
「小柄なのが可愛いって言ったのね」
「そうよ、いつも言うのよ」
 本当にいつもです。流石に今日は言ってこなかったですが。
「小さくて可愛いって」
「これは本気かもね」
「そうだな、前から思っていたけれどな」
 お父さんも上機嫌な声でした。
「本気だな」
「あの子はそうね」
「小柄がいいか、そうか」
「千里の全部がいいのかもね」
「私の全部って何よ」
 それがわからないです。
「この小ささなのに」
「けれど可愛いって言うのよね」
「後輩なのにね」
 後輩の子に言われること自体が、です。
「本当にね」
「それがいいのよ」
「そうなの?」
「千里を可愛いって言うのよね」
「そうなのよ」
 後輩なのにです。
「嫌になるわ」
「じゃあ何て言われたいのかしら」
「そう言われたら」 
 私としてはです。
「奇麗とか、かしら」
「奇麗ね」
「ええ、そうね」
 強いて聞かれるとです。
「そう言われたら嬉しいけれど」
「この場合は同じ意味でしょ」
「同じかしら」
「ええ、奇麗でもね」
 それで可愛いもというのです。
「だからね」
「いいっていうのね」
「そう思うわ」
「何か色々言われるわ」
 その可愛いという時もです。 
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