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なんかポケモンの世界に転生したっぽいんだけど質問ある?

作者:ごません
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幼馴染みがスーパーマサラ人とか人生ハードモード過ぎない?

 取り敢えず着替えて、階下に降りてリビングへ。そこには炊きたての白飯に味噌汁、焼き鮭、生卵にほうれん草のおひたし。THE・日本の朝ごはんというメニューが並んでいた。

「いただきま~す!」

 美味い。めっちゃ美味い。米の炊き加減とか味噌汁の味付けとか絶妙。カーチャンは料理……というか家事全般を面倒臭がってやりたがる人じゃなかったから飯も適当で、そんなに美味くなかったんだよなぁ。しかしこっちの母さんは美人だ。美人さんが作ってくれた飯、ってだけで美味さ倍増なのにそういうの抜きにしても抜群に美味い。いやぁ、最初はどうなる事かと思ったけど、こんな日常ならこっちの世界もいいなぁ。なんて、のんびり朝飯を堪能しているとインターホンが鳴る。

「は~い……あら!ごめんね緑郎(ろくろう)君、キョウヘイまだ朝ごはん食べてるのよ」

「いえ、アイツが朝弱いのはいつもの事ですから……なぁ?」

「そうね、遅刻の常習犯だし」

「……ん」

「ごめんなさいねぇ、もし良かったら上がって待ってて?」

「いいんですか?お邪魔します」

 なんてやり取りが玄関の方から聞こえてくる。ロクロウ?誰だろう、声の感じからすると幼馴染みとかか?やべぇ、俺そいつらの事全然知らねぇんだけど。話とか合わせられっかな……そんな心配をしていたら、リビングに3人の子供が入ってきた。まぁ、俺も子供なんだが。そして俺はその少年少女達の顔を見て、

「ブフッ!」

 味噌汁噴いた。




「汚ねぇなぁ、何かビックリする事でもあったか?」

 いや、貴方にビックリしたんですよ“グリーン”さん。

「ちょっとキョウヘイ、今日は大事な成人式なんだからもう少し早く起きなさいよね!?」

 そんな事言われても……俺もこの世界に来たばっかりで戸惑ってたんですよ“ブルー”さん。

「…………………………おはよ」

 そして君はもう少し何か喋る事は無かったのかな“レッド”君!?そう、俺が味噌汁噴いた原因はこの3人。『ポケスペ』のマサラタウン出身三羽烏が揃って降臨なされたからだ。

 『ポケットモンスターSPECIAL』ーー略して『ポケスペ』。小学館の雑誌で連載されているポケモンを題材にした漫画だ。当然俺も大好きで、中学時代は恥ずかしげも無くリアルタイムで読むために『小学○年生』なんて雑誌を毎月地元の本屋で買っていた。一人っ子だと本屋の親父には知られていたので、不審者を見るような目をされていたのを覚えている(遠い目)。流石に中学卒業してからはコミックスになってから買うようにしていたが、未だに集めている愛読書だ。さて、レッド・グリーン・ブルーの3人はその作中でも初期にオーキド博士からポケモン図鑑をもらって旅をしつつ、ロケット団などの悪と戦う主人公ポジのキャラクターだ。とはいえ、見た目はポケスペのキャラクターっぽくても中身は大分違うらしい。ポケスペだとレッドは元気印、グリーンは寡黙でクール、ブルーは小悪魔っぽいキャラだったが、目の前にいる3人は全くの別人ぽい。まぁ別人なんだが。グリーンはよく喋るし、ブルーは世話焼き系の幼馴染みっぽいし、レッドは無口だ。というか、レッドだけポケスペのレッドというより『金・銀』のシロガネ山で出てきた無口なレッドさんぽいんだよなぁ……なんでや。

「取り敢えずキョウヘイはとっとと朝飯食っちまえよ。待っててやるからさ」

「お、おぅ」

 そしてこの3人、『スーパーマサラ人』とネタで呼ばれる位にはポケモントレーナーとしての能力も高いし、とにかく死なない。もうね、どこぞの異能生存体かって位死なない。氷漬けにされたり石化したりビルの崩落に巻き込まれたりしても死なない。頑丈スギィ!そんなリアルモンスター共が俺の幼馴染み?まさか、俺にもスーパーマサラ人の素質が……?いや、ねーよ。あくまでアレは二次元の話だし、これは現実だ。流石にあんな目に遭ったら普通死ぬだろうし。そんな事を考えつつ、俺は残りの朝飯を流し込み、席を立った。




 倉内 紅(くらうち こう)、大城戸 緑郎(おおきど ろくろう)、藍澤 青葉(あいざわ あおば)。それぞれレッド・グリーン・ブルーの本名らしい。それぞれ名前に色が入っているから色がニックネームになった、とのこと。特にグリーンの奴はオーキド博士が付けたらしい自分の名前が気に入らないらしく、

『こんなジジ臭ぇ名前は嫌だ』

だの、

『本名で呼んだらぶっ飛ばす』

 等と、ブツブツ文句を言っていた。この幼馴染み4人グループの中ではまとめ役というか、リーダー的な感じだ。だったら渾名は『ロック』でも良かったのでは?と一瞬思ったが、それだとロアナプラに直送されそうだなぁと一人で納得してしまった。

「それよりさぁ、博士から貰えるポケモンって何かしらね?」

 青葉……いや、ブルーは元気溌剌で陽気な感じ。ポケスペの小悪魔的で少し陰のあるブルーさんも良かったが、個人的にはこっちのブルーの方が好きだ。やっぱり可愛い女の子は明るく笑っているのが一番だ。

「…………………………」

 そしてさっきから一言も話さないレッド。超絶口下手の無口キャラ。シロガネ山で対戦した時も………だったし、対戦後に忽然と姿が消えるから『レッドさん幽霊説』が流れたりもしたが後の作品で成長したレッドさんが登場したらしい。あ、らしいってのは俺はその作品をプレイしてないから。体験版は遊んだんだけど、何故だか食指が動かなかった。その当時、俺はモンスターは捕まえずに狩る方に浮気していたから。速攻で飽きてまたポケモンの方に戻ってきたんだけど。だから、ぶっちゃけアローラ地方の知識は殆ど無い。カロス地方の知識も怪しい。いや、『XY』は遊んだんだけど、歳のせいか記憶力が……ね?察して(泣)

「う~ん、多分フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメじゃねぇの?」

「詳しいなぁキョウヘイ」

「まぁね?」

 ゲーム知識だけど。でも、改めて考えると御三家ってスゲーよな。タイプ相性が三竦みになってて、基本を学びやすくしてあるし。その辺を考え出したのもオーキド博士らしいから、ますますスゲェなあの爺さんと思ってしまう。そんなスゲェ爺さんの血を引いてるんだから、グリーンの奴は正にサラブレッドだろう。対して俺は普通の家庭っぽいし、ちょっとくらいゲーム知識でズルしても良いよな?と都合よく考えている。何しろ他の2人も未来のチャンピオンとポケモンリーグベスト4の実力者に育つのだ……ポケスペと同様なら、ね。そう作品通りにはならなくても、ここまで似てるんだからその実力は近しい物になっているだろう。

「しかし、改めてマサラタウンって広いなぁ」

「何言ってんの、こんなのただの田舎町でしょうに」

 ブルーは呆れているが、ゲーム基準で考えてしまう俺としてはマサラタウンは広い。とてつもなく広い。何しろゲームだと主人公の家とライバルの家、そしてオーキド博士の研究所と町どころかどこの限界集落だよって感じだったのだから。しかし、何度も言うがこれは現実だ。流石に東京の様な開けた感じではないが、地方の田舎町ってこんな感じなのでは無いだろうか?普通にコンビニとかあるし。ポケモンセンターらしき物は見当たらないが、それなりに家の数は多い。アニメのマサラタウンをイメージすると解りやすいだろうか?

「へー、ほー、ふーん?」

 そんな風に物珍しくてキョロキョロしていると、

「何キョロキョロしてんだよ、この町に初めて来たみたいなリアクションだな?」

 とグリーンに突っ込まれた。仕方無いだろ、実際初めて来たんだし。そんな会話を交わしつつ歩いていると、

「…………着いた」

 どうやら目的地・オーキド博士のポケモン研究所に到着したらしい。


  
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