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戦国異伝供書

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第七十四話 元服しその十一

「励んで常に汗を流すと身体にも心にもよい」
「そうなのですか」
「武芸は」
「身体を動かすことはよいですか」
「心にも」
「気持ちがすっきりする、そしてな」
 宗滴はさらに話した。
「そしてな」
「それで、ですか」
「そして、ですか」
「そのうえで、ですか」
「うむ、そしてな」
 それでもというのだ。
「華佗も言っておったらしい」
「異朝の医者でしたな」
「確かかなりの腕だったとか」
「妙な痛みをなくす薬まで作って使っておったとか」
「そう言われていますな」
「うむ、あの者が言っておったことらしいが」
 その話もするのだった。
「人の身体は常に動かした方がよいらしい」
「宗滴様の様に」
「そうされているとですぁ」
「お身体にもよいですか」
「そうですか」
「健康にもな、心もすっきりするしな」
 このこともあってというのだ。
「身体によいとのことじゃ、そして身体によいからな」
「いつも身体を動かしているとですか」
「身体によい」
「ではですな」
「長生きの為には」
「常に武芸を続けることがな」 
 これまでの様にというのだ。
「よいらしい、酒も控えると尚更とのことじゃ」
「ではです」
「これからも武芸に励みましょうぞ」
「今も」
「馬に乗るなりして」
「そうするか、やはりわしは長生きしたい」
 この気持ちは隠せなかった、どうしても。
「だからな」
「では馬に乗られ」
「槍や弓も使われ」
「そして水練もですな」
「していく、身体はしっかりと動かし」
 そしてというのだ。
「酒もあまり飲まずな」
「長生きされましょうぞ」
「是非」
「これからも」
「そうせねばな、そういえばな」 
 こうもだ、宗滴は己の家臣達に話した。
「織田殿は酒は飲まれぬそうじゃな」
「そうなのですか」
「あの御仁は下戸ですか」
「そうでしたか」
「その様じゃ、その振る舞いから飲まれる様に思えるが」
 それがというのだ。
「その実はな」
「酒は飲まれぬ」
「そうした方ですか」
「実は」
「時折そうした御仁もおられるな」
 世の中にはというのだ。
「酒には滅法弱い、弱いどころかな」
「飲めぬ」
「もう一口だけで酔い潰れる」
「そうした御仁は確かにおられますな」
「織田殿もそうであってな」
 そしてというのだ。 
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