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仮面ライダーの力を得て転生したったwwwww

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第2話

『・・・・・・』


 アナザージオウは左拳を力強く顔横で握りしめ、アナザービルドとの間合いをゆっくりと詰めて行く。アナザービルドは左足に力を込めて──―瞬く間にアナザージオウとの間合いを詰める。 先制攻撃だろう。

 アナザービルド──そのオリジナルである、『仮面ライダービルド』。アナザービルドは、ビルドの基本フォームであるラビットタンクフォームを象っているため、ラビットの瞬間的ジャンプ強化や、タンクの打撃及び無限軌道の回転によるキック力の向上が施されてる。

『シェァッ!!』

 理不尽なまでの初見殺し。この攻撃を初見で対応出来た者は今迄に誰1人として居なかった。故にアナザービルドはこの初撃に絶対的な信頼を置いていた。
 アナザービルドはニヤリと嗤うように、アナザージオウのがら空きの胸部に拳を振るうが──

 アナザージオウはそんな事など最初からわかってたかのように、腰を低く構える。アナザービルドの放った拳は狙いが逸れ、アナザージオウの左に阻まれる。逆にアナザージオウによるカウンターパンチが、アナザービルドの禍々しくベルト部分へと直撃し、アナザービルドが吹っ飛ばされた。

 吹っ飛ばされたアナザービルドは腹部を抑えながら、驚愕を覚えて狼狽える。

『ナ、ニ・・・・・・ナゼ、破られた!?』
『なぜその攻撃が躱されたか? 答えは、知ってるからだ。その戦い方をな』

 アナザービルドの驚愕に、アナザージオウは淡々と答える。

 無論俺はアナザービルドの記憶に関しては曖昧だ。俺が 把握してるのは(知ってるのは)──『仮面ライダービルド』の事だ。

『平成仮面ライダーシリーズ』の視聴者であった俺は、断片的とはいえ歴代の平成ライダーのスペックや能力を事細かに把握している。更にビルドといえば、『仮面ライダージオウ』の一つ前に放送された作品のためか、擦り切れた記憶の中でも比較的ハッキリと憶えている。恐らくアナザービルドに選ばれた転生者よりもそのライダー達の特性、性能を遥かに把握していると自負できる。

 ライダーの力を知っているからこそ、先程の奇襲にも対応出来たのだった。

『・・・・・・さて、闘いは始まったばかりだ。精々退屈させるなよ?』
『舐めるな・・・・・・!!』

 地面に片膝を付けて睨むアナザービルドに、アナザージオウは今度はこっちの番だと言うように、アナザービルドに接近し、体勢を立て直したアナザービルドの胸部へとパンチを入れる。
『グゥっ!!?』
『ふん! ・・・・・・オラッ、セァッ!!』
『ガッ! ・・・・・・クソ、こんな、ザコに!!』

 ノックバックするアナザービルドに、アナザージオウは手を休めずに猛攻を加える。アナザービルドは人間を吸収したボトルを使う間もなく、防御へと徹せられる。 僅かに出来た隙を見出してはキックやパンチを繰り出すが、苦し紛れの大振りであるが故に簡単に受け止められ、逆に重い一撃を入れられていく。 数分にも満たない、しかしその中で繰り広げられた激しい撃ち合いを制したのは──アナザージオウ。

『はぁっ!!!』
『グぁっぁあ!!?』

 アナザージオウに収束した紫のエネルギーを込めた右拳のストレートがアナザービルドの左頬を捉え、大きく吹き飛ばされる。だが、アナザービルドはこの状況を不利と見たか、吹っ飛ばされた勢いを利用して、距離を取る。

『・・・・・・コンナ、トコロデ終わると思うな・・・・・・! 次は、貴様を必ずコロス・・・・・・!!』

『・・・・・・』

 捨て台詞を吐き捨てて遠のいて行くアナザービルドを、アナザージオウは追従せず、完全に姿が見えなくなった事を見計らってドライバーからウォッチを引き抜く。

 力の源でもあったウォッチからのエネルギーの供給が止まり、アナザージオウから元の俺の姿に戻る。俺はすぐさま先程まで懸命にアナザービルドと戦い、ボトルに吸収された人達が居た場所へと向かい、膝を付いて手を合わせ、目を閉じる。死んだ者達への、せめてもの祈りを捧げるために。


「・・・・・・」

 勿論、こんな事をしたところであの人達は帰ってこない。俺がなりふり構わず助けに行けば結果は変わっていたかもしれないが、俺はその選択を取らなかった。助けられたはずの生命を、叫びを俺は耳を塞ぎ、目を閉じ、無視した。


『何で助けてくれなかった』
『もっと生きたかったのに』
『人殺しめ』
『呪ってやる』
『許さない・・・・・・!!!』
『許さない』
『ゆるさない』
『ユルサナイ』



ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ・・・・・・!!!!!


「ぅっ・・・・・・!!」

 見殺しにした者、俺が置き去りにしてきた者達からの、そんな呪詛のような言葉が頭を過ぎる。同時に猛烈な吐き気を感じたが、俺はそれを寸でのところで堪えた。

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」


 ココで吐けば、どれだけ楽だったろう。ココで死ねば、どれだけ楽なのだろう。


 だけどそれはしてならない。俺が置き去りにしてきたものの為に、狂ったこの世界で抗い、散った人達のためにも、逃げる事は許されない。


 もし、俺が最後に勝ち残って、この世界の王となったなら。
 やるべき事をやり切って、然るべきこの世に蔓延る全ての呪いを一身に背負おう。

 それが死ぬべき時に生へと逃げ、異形たる力を得てしまった俺の責任だ。


 だから、それまでは。


「・・・・・・逃げる訳には、いかないよな」


 俺はズシリと重くなった腰を上げて息を吐き、再びアテもない道を歩いて行く。死者たちの鋭く突き刺さる視線を一身に背負って。

 そんな俺の先を暗示するかのように、厚い雲に覆われた空から、太陽が微かに行く先を照らした。




 ──


 先程までアナザービルドとアナザージオウの戦闘が行われた場所の時間が止まる。景色も、風も、何もかもが。

 刹那、3人組の男女がバグのように現れるる。

 1人は整った顔立ちの美少年。

 1人は長身に長髪の、スカートを穿いた少女。

 そして、ノースリーブの長身の大男。


 3人に共通する事としては──奇抜な服装を着ている事と、王を擁立させる導き人──ーということくらいか。少年──『ウール』は、つまらなそうな表情を浮かべて愚痴をこぼす。

「仮面ライダー達の力を20人に与えてから2年。ようやく誰かが倒れるかと思ったんだけどなぁー」
「それよりもアンタのビルド、押されっぱなしだったじゃない。選んだ人間を間違えたんじゃないの?」
「うるさいな、オーラ。彼にはまだまだ奥の手があるからね。・・・・・・大体、君の人選の方がイかれてるよ」

 ウールは口を開いて、嫌味たらしく言う少女──『オーラ』に嫌味で返す。オーラは髪を靡かせていたが、そのウールの言葉が気に食わなかったようで。

「はぁ? 私のカワイイライダー達の何処が悪いっていうのよ? アンタのライダー達殆ど狂化しててつまんないのよ」
「そのライダーに選んだ者を、自分の身体を使って調教してる君がよく言うよ」
「私は自分が気持ちよくなれればそれでイイだけ。ついでに王座も取れれば一石二鳥よ」
「このビッチが」
「このクソチビが」

「低脳な口喧嘩は控えろ」

 身長差のあるウールは見上げ、オーラはそれを見下ろすことで睨み合っていると、最後の大男──『スウォルツ』が口を挟む。

「スウォルツ、今は君と話してるんじゃない、オーラに文句があるんだよ」
「スウォルツ、口を挟まないでくれる?」
「お前らの意見は求めん」

「・・・・・・ふんっ」
「・・・・・・ちっ」

 食ってかかるようにオーラとウールは矛先をスウォルツへと向けるが、スウォルツのやや怒気の篭った言葉に、お互い悪態を付くも、それ以上のことはしなかった。沈黙した所で、スウォルツが口を開く。

「お前達、この世界の王を擁立させるために至って決めたルール。忘れてはいないだろうな?」
「当たり前だろう、そんなこと」
「私達の選んだライダーの誰かが最後まで勝ち残って王となったら、そのライダーを選んだ私達3人の誰かが側近となる。でしょ?」
「その通りだ。そして負けた者は、その王の 従者(奴隷)として仕える」


「・・・・・・ま、負けるつもりないけど。 それじゃあ私、この後用事あるから」

スウォルツの舐め回すような視線が癪に障ったのだろうか、オーラは心底嫌だと顔に出しながら、会話を区切りをつけるようにオーラは瞬く間に消える。

「僕もそろそろこの辺で。 王様候補と対等に接するのも、僕達'タイムジャッカー'の役目だからね」

 ウールは退屈そうにそう言って、オーラの後に続くようにこの場を去る。


 唯一残ったスウォルツはやれやれとしながら、'自身わが与えたライダーの力を持つ青年が歩んでいるであろう路を見る。


「・・・・・・さて。この世界を制するのは、お前か? それとも他の誰かか? 或いは・・・・・・」


 スウォルツはその姿を消すまで、ただひたすらほくそ笑んでいた。
 そしてスウォルツが消えるや、青年の道に僅かな光を差し込ませてた太陽もまた、厚い雲に覆われていった。

 
 

 
後書き
原作キャラも出てきますが、性格やキャラに若干の改変も加えてます。 オーラちゃんは私の性癖の犠牲になって頂きました(小声)

感想、お気に入り等まったりお待ちしております。 
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