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レーヴァティン

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第百三十九話 西への出航その八

「そうそうするとかな」
「ならないよな」
「そうやな」
 美奈代は商人としての職業から話した、商人は銭を手に入れそこからまた儲けるかを考える職業だからだ。
「収入につながらんからな」
「どうしてもな」
「それで戦好きとかな」
「政がわかってないな」
「本当にな」
 実際にというのだ。
「うちも思うわ」
「本当に戦をしないで済むならな」
「それがベストや」
「全くだな、日本の隣にやけに物騒な世襲制の独裁国家あるけれどな」
「あそこはアホやで」 
 美奈代の今の返事は一言だった。
「その軍隊にばかり金使ってるからな」
「やっぱりそうだよな」
「それで国民餓えさせてるからな」
「余計に駄目だよな」
「ほんまのアホや」
「どう考えてもな」
「あそこは明らかにな」
 美奈代の辛辣な言葉は続いた。
「体制維持しかないわ」
「あの独裁体制のな」
「国民が餓えるのと世襲制の独裁体制を守るのどっちが大事か」
「それで独裁体制になったんだよな」
「あそこはな」
「本当に漫画に出て来るみたいな国だな」
 久志も思うことだった。
「あそこは」
「国民の殆ど餓えさせて何が国家や」
「それで体制もな」
「そんなんやとな」
 国民が餓えている、国家がそこまでの極限状態ならというのだ。
「この時代でもどうかやし」
「現代だとな」
「もう特にな」
 それこそというのだ。
「失格やからな」
「だよな、他の国は餓えてる人間がいてもな」
「僅かやろ」
「そんな国は減ったな」
 あるにはあるがとだ、久志も答えた。
「やっぱり」
「深刻な天災か内乱でもないとな」
「それこそな」
「そんなことはないけどな」
 国家が国民の大部分が餓える様な事態に陥ることはというのだ、これは農業やインフラが発達した現代ではそうなることだ。
「それがや」
「あそこはあからさまな失政でそうなったからな」
「それで国民を餓えから救うどころかな」
「餓えはそのままにしてな」
「体制の維持ばかりに必死や」
「とんでもない規模の軍隊持ってな」
 出費ばかりで収入にはつながらない、久志達が今そこが問題だと話している国家の分野についてというのだ。
「核兵器も開発してな」
「しかも」 
 清音は怒った顔で言った。
「あそこはその世襲制の独裁者への個人崇拝にもね」
「金かけてるよな」
「独裁者への贅沢にもお金かけてるから」
「そっちもってな」
「美奈代の言う通りにね」
「あんな馬鹿な国はないな」
「あんな国になる位なら」 
 それこそとだ、清音はまた話した。
「この世界を救うとかね」
「絶対に無理だな」
「出来る筈ないわ」
「内政失敗して国民餓えてるのに自分達の地位や権力の維持に必死になって」
 それにと言うのだった。 
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