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星河の覇皇

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第七十三部第三章 国境の防衛ラインその二十

「無論私も同じだ」
「司令もですね」
「このことについては」
「ティムールは私も狙っている筈だ」
 ムラーフは自分自身についても述べた。
「確実にな」
「そうですね、閣下もです」
「狙われている可能性がありますね」
「そしてその可能性は高いです」
「ティムールのこれまでのことを見ますと」
「有能な人材は取り込むかだ」
 ムラーフは鋭い目になり述べた。
「消す」
「そうしていきますね」
「それもまた戦略ですね」
「有能な敵は取り込めば強い駒となる」
 その国家に対してというのだ。
「確実にな、しかしな」
「それでもですね」
「味方にならないのならですね」
「有能な敵のままですね」
「そうだというのですね」
「私も自身の能力に自信がある」
 伊達に将官それも大将というその将官においても高位にあると言っていい階級にまでなった訳ではない、確かにムラーフにはそれだけの資質があり自信もある。
 だからだ、こう言うのだ。
「狙われているだろう」
「ではですね」
「閣下もですね」
「身辺のことには気をつけられますか」
「そうされますか」
「この司令部から出ない方がいいか」
 これがムラーフの考えだった。
「戦争が終わるまでは」
「それがいいかと」
 幕僚の一人もこう答えた。
「やはりです」
「そうだな、家族のいる自宅や官邸にいるとだ」
「どうしてもです」
「狙われるな」
「警備に限りがありますので」
「食事にもな」
「司令部の食事は徹底してチェックされています」
 毒見が為されているというのだ。
「そちらについては」
「そうだな」
「毒殺はよくあります」
 サハラではだ、それこそ千年の戦乱の歴史において非常によくあったことだ。戦乱の中で多くの毒殺も為されてきたのだ。
「特に食事の中に毒を入れたうえの」
「その通りだな」
「はい、ですから」
「このことはだな」
「注意に注意をしてもです」
「足りないな」
「はい」
 まさにというのだ。
「他の暗殺への対策もです」
「この司令部にいるとだな」
「対応しやすいです」
「司令部には窓があってもだ」
 それでもとだ、ムラーフは述べた。
「こちら側からは見えてもな」
「外側からは見えません」
 そうした仕様の窓を使っているのだ、これは連合ではさらに発展した技術によって仕様されているガラスである。
「決して」
「だからだな」
「はい、この司令部にいれば」
「暗殺のリスクは減るな」
「極めて、後は司令部の出入りのチェックも徹底すれば」
 それでというのだ。 
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