| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十三部第三章 国境の防衛ラインその九

「実は違っていた」
「そうなのですね」
「実は内閣や議会が政治を行っていた」
「あの頃の日本もそうだったのですね」
「天皇は確かにいた」
 強い権限を持ち主権者であられるこの方がだ。
「しかし同時に元老と呼ばれる国の中枢を担う政治家達がいた」
「元老ですか」
「そう呼ばれる者達がですか」
「そうだ、九人いた」 
 伊藤博文や山縣有朋である、この人物達が陛下を補佐し国を動かしていたのが明治期の日本であったのだ。
「実質的にはその彼等の力が大きかった」
「そしてその元老達が国を治めていて」
「そのうえで、ですね」
「国家を動かしていた」
「そうだったのですね」
「そうだった」
 当時の日本はというのだ。
「その為大日本帝国憲法には軍の統帥権が内閣にはない等の弱点があったが当初は機能していた」
「元老達が軍も統制していたので」
「だからですね」
「彼等は憲法の上にあった」 
 元老達はというのだ。
「そして国を治めていた、しかしだ」
「天皇はですか」
「実質的にはですか」
「国政にはあまり関わってはいない」
 あくまで国家元首としての勤め、つま国事行為に専念されていたのだ。
「主権者であり強力な権限があってもだ」
「実質は元老ですか」
「その政治家達が当時の日本を動かしていた」
「そしてですね」
「日本は発展していたのですね」
「そうだったのだ、だから憲法に明記しておいたのだ」
 先日発布したそれにというのだ、先の統一を念頭に置いたそれを。
「国家元首である大統領は強い権限を持つが」
「それでもですね」
「あくまで非常時と内閣と議会が認めた時だけですね」
「大統領はその権限を行使出来る」
「そうですね」 
 まだ主権者とはされていない、それは皇帝になってからだ。
「そうなっていますね」
「非常時のみですね」
「主権者である皇帝が国政を担うのは」
「その時だけですね」
「初代皇帝である私以降だ」
 二代皇帝以降はというのだ。
「軍の直接指揮もだ」
「それもですね」
「非常時でないとですね」
「指揮をしない」
「そうなのですね」
「そうだ、私の時は別にしてだ」
 それでもというのだ。
「以後はそうなる、無論首相にも軍の指揮権がある」
「明治期の日本とは違い」
「そこも明記してですね」
「あの時の日本の様に発展しますが」
「以後はですね」
 アッディーン以後はだ。
「内閣と議会が実質的に国家を統治していく」
「中央集権国家として」
「そうしていくのですね」
「そうなる、サハラはな」 
 統一されたこの国はというのだ。
「私もシャイターン主席もそう考えている」
「わかりました、ではです」
「その統一した先も考え」
「そのうえで、ですね」
「首都機能を移転させていきますか」
「そうしていく、では間もなくここを去ろう」
 アスランの大統領官邸、近いうちに歴史博物館となるこの場所をというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧