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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その十九

「払うだけだ」
「それだけですね」
「所詮はその程度ですね」
「そうした輩は」
「そうだ、私は大きなものを見ている」
 実際にその目は近くのものを見ていなかった、遥かな先にある巨大なものを見ていた。そうした目のままの言葉だった。
「そうした批判や言いがかりなぞだ」
「何でもないですね」
「総統にとっては」
「その様な相手ですね」
「小人はどの世界にもいる」
 それこそ国や組織、立ち場等を問わずというのだ。
「そうした輩はただ重箱の隅を突いているつもりになっているだけだ」
「何でもないですね」
「批判の為の批判であるだけで」
「所詮はですね」
「どうというものではないですね」
「言い掛かりも同じだ」
 そちらもというのだ。
「ただ言っているだけでだ」
「何でもなく、ですね」
「総統の歩まれる道からどけるだけですね」
「それで終わりですね」
「そうだ、そうした者はそうするだけだが」
 口だけの小人はというのだ。
 だがそれと共にだった、ギルフォードは言うのだった。
「私の政策の欠点を指摘してきてだ」
「よりよい政策を出してくるのなら」
「それならばですね」
「認められますか」
「そうされますか」
「そうだ、そうした人物はエウロパの益になる」
 この国のというのだ。
「野党であっても用いたい」
「総統の政権は挙国一致内閣ですし」
「だからこそですね」
「それもされますね」
「私は有能な者ならばこだわらない」
 政党、それにというのだ。
「そして出自にもだ」
「貴族でも平民でもですね」
「気にされませんね」
「私自身は貴族だがな」
 中世イングランド以来の名門だ、その血脈を受け継いでいるのだ。
「しかしだ」
「階級にもこだわらないですね」
「有能な人物であれば」
「遠慮なく用いられますね」
「それが例え野党であっても」
「だからこそカミュ首相やアランソ副首相を用いたのだ」
 改革派である彼等をというのだ。
「そしてモンサルヴァート国防相もな」
「ああした方々をですね」
「エウロパの力になるからですね」
「用いておられる」
「そうなのですね」
「そうだ、有能だからだ」
 まさにそれ故にというのだ。
「私は用いている、しかも彼等には愛国心もある」
「エウロパに対するそれも備えておられる」
「そのこともあり」
「有能でも心がないとだ」
 この場合は愛国心だ、例えどれだけ有能であろうともそれがなくてはというのだ。
「せめて最低限のな」
「それでは用いられませんね」
「愛国心のない政治家程国家にとって害になる者達はいません」
「だからこそ」
「そうした者達でもない」
 カミュはギルフォードはというのだ。
「だからだ」
「用いておられますね」
「政党が違うといえど」
「それでもですね」
「そうだ、しかも今のエウロパは政党にこだわってもいられない」
 限られた場所から人を選んではというのだ。 
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