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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その十八

「ああなった、エウロパ戦役も名を売ったしな」
「大将として参加されて」
「そうしてでしたね」
「果敢に戦い健闘されたことからも名を挙げられた」
「それも大きかったですね」
「そうだ、そしてカリスマもあったしな」
 ここからも知られたというのだ、実際にギルフォードのカリスマは相当なものでありそこから圧倒的な支持も集めている。
「知られる要素が揃っていた、有名、美名は政治家にとって最高のものでだ」
「最低は無名ですね」
「そうだ、悪名よりも悪い」 
 スタッフの一人に答えた。
「無名はな」
「むしろ悪くともですね」
「知られる方がいいのだ」
「政治の世界では」
「それが名前を売ることになっているからな」
 何よりも大事なだ、民主政治においては。
「だから何よりも悪いのだ」
「無名こそが」
「政策も然りだ、知られていない政策は何の意味もない」
 議員はまた言い切った。
「完成した時は共にだ」
「はい、宣伝させて頂きます」
「我々としても」
「そうさせて頂きます」
 スタッフ達も次々に答えた、そしてこの議員は政策を考えていった。こうした議員は彼だけでなく多くの議員達がだ。
 研究していった、その中でエウロパの議員達は質を上げていった。これは野党だけでなく与党もそうだった。
 ギルフォードは与党即ち自身の政党の勉強会を見て笑みを浮かべてだ。党の要人達に対して言った。
「いいことだ」
「議員達が学ぶことはですね」
「我が党だけでなく野党である保守派、改革派もですね」
「総統の政策を学ばれることは」
「いいことですね」
「そうだ」
 実にというのだ。
「それでこそいい、私の政策に欠点があるならだ」
「それを訂正も出来る」
「だからですね」
「私は自分に誤りがあればだ」
 そうであった時はというのだ。
「常にそれを正してきた」
「だからこそですね」
「誤りを指摘されるのもよし」
「それもですね」
「正す」
 そうするというのだ。
「今回もな」
「左様ですか」
「それでは野党の議員達が学んで指摘してきてもですか」
「恐れはしない」
「それを正すだけですか」
「若し誤りがあればだがな」
 自信もだ、ギルフォードは見せた。
「私の今出している政策全てにな」
「若しそれを指摘して代案を出せたならですか」
「総統の政策以上のそれを」
「それを出せればですか」
「素晴らしいというのですか」
「そうだ、出せればだ」 
 その時はというのだ。
「かえって素晴らしい、その議員を認められる。だが」
「それが批判の為の批判だったり言いがかりならですね」
「そうしたものはですね」
「何でもない」
 所詮はというのだ。
「簡単に論破する」
「そうされますか」
「何でもない様に」
「そうされますか」
「そうだ、そうした相手は何でもない」
 まるで路傍の石を語る様にだ、ギルフォードは言った。 
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