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純文学と高校生

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第三章

「それでね」
「ああ、少子化も解決するね」
「そうなるから」
 だからだというのだ。
「そうした感情もね」
「あっていいんだね」
「若し誰にもそうした感情がなかったら」
 本能に基づくそれがだ。
「人類は滅んでるよ」
「それもそうか」
「まあどの生きものにもあるけれど」
「種族を残し繁栄させようっていう」
「そうした感情はね」 
 どうしてもというのだ。
「あるから」
「それでなんだ」
「誰でもあるし」
「僕達が今こうでも」
「いいと思うよ」
「そうなんだね」
「というか変に禁欲的な宗教とかって」
 佐藤はあえてどの宗教か言わなかったがそれでも小林に話した。
「僕達には鬱陶しいだけだよね」
「この感情を我慢しろとか」
「ある程度は出来てもね」
「全部は無理だね」
「やっぱり吐き出さないと」
「純文学読んでもね」
 井上はこう返した。
「思うものだね」
「どうしてもね、というか」
 佐藤は井上にさらに話した。
「純文学でも書いてるし」
「そうだよね、そうした感情をね」
「そうそう、純文学と言っていいかわからないけれど」
「何かな、今度は」
「エマヌエル夫人とかチャタレイ夫人の恋人とか」
「どっちも純文学かな」
「だから言っていいかわからないけれど」
 それでもとだ、井上は佐藤に返した。
「こうした作品だってね」
「君ひょっとして人妻好き?」
「というかそうした経験をね」
「早くしたいんだ」
「そんなことばかり思うから」
「だからなんだ」
「タイトル出したんだ、ただ」
 ここで井上は佐藤にこうも言った。
「サド侯爵とかはね」
「サディズムだね」
「そういうのはね」
「いいんだ」
「痛いの嫌いだし」
「何かそれがいいって人いるみたいだけれどね」
「僕はいいから」
 サディズム、こちらはというのだ。
「別に」
「そうなんだね」
「マゾヒズムとかもね」
 サディズムとは逆のこちらの嗜好もというのだ。
「別にね」
「いいんだ」
「痛くするのも趣味じゃないから」
「というかひたすらだね」
「そう、もう経験したいんだよ」
「それも何度もだね」
「昔は僕達の年齢になると皆結婚したんだよね」
 井上は今度はこちらの話をした。 
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