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星河の覇皇

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第七十三部第二章 油断出来ない男その六

「そうも言われているとか」
「マウリア独自ですね」
「まさにそうした考えですね」
「ヒンズー教の考えですね」
「神がこの世に人の姿を借りて生まれた等」
「そうした考えは」
「そう思います、ヒンズー教ではよくある考えです」
 ヴィシュヌやシヴァでも多い、ヴィシュヌの転生おして釈迦やクリシュナ、ラーマーヤナの主人公等がある。
「神々は人間に転生出来る」
「そして人として何かを為す」
「そうした考えですね」
「はい、ですから」 
 法皇はさらに話した。
「あの方もです」
「実際にですか」
「ヒンズー教の考えに従えばですね」
「ガルーダ神の転生かも知れない」
「そうなのですね」
「そういかも知れません、しかしガルーダ神は善神で力も強いですが」
 こうした存在であるのは間違いない、しかしというのだ。
「ですが荒ぶる神であります」
「気性は、ですね」
「善であろうともですね」
「そうです、悪龍を喰らい好きに暴れてもいます」
 神話の中でもそうしている、何処か童心を思わせる行動がその中で書かれている。そうした意味でも愛されている神でもあるがだ。
「その面を考えますと」
「危険でもありますね」
「その面は否定出来ない」
「そうした方でもありますね」
「そうです、ですから思うのです」 
 ジャバル、彼についてだ。
「あの方については、ですから」
「バチカンとしては」
「あの方も見ていきますか」
「余力という形になりますが」
 今は何といっても分裂の回避だった、法皇は困難にしても何とかこのことを彼の望む形で収めようと考えているのだ。
「そうしていきましょう」
「わかりました」
「それではですね」
「ことを進めますか」
「今は」
「是非」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 彼等は今彼等が為すべきことを進めていた、しかしだった。
 エウロパ総統であるギルフォードはその話を聞いてだ、報告をしたアランソそして首相のカミュに対してこう言った。
「いいことではないか」
「教会の分裂はですね」
「『あちらの』法皇はだ」
 その彼はというのだ。
「そう考えていてもな」
「エウロパはエウロパですね」
「そうだ、だからだ」
「こちらとしましては」
「是非分裂してもらいたい」
 バチカンにはというのだ。
「そしてだ」
「連合から工作員が入ることですね」
「防ぐ、そしてだ」
 ギルフォードはアランソにさらに話した。
「エウロパにも権威が必要だ」
「その通りですね」
「法皇がな」
「では」
「信者が望むことだ」
 カトリックのとだ、ギルフォードは一旦彼等に下駄を預ける言葉を出した。
「彼等のな、しかしだ」
「政府はですね」
「政教分離だ」
 笑みを浮かべてこうも言ったのだった。
「このことはな」
「政治は宗教に関わらない」
 この逆もある、実は政教分離は欧州からはじまったが教会即ち宗教が政治に関わるのを排除する為の考えなのだ。 
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