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星河の覇皇

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第七十三部第一章 野心家のはじまりその四十

「本来落語は日本のものだが」
「その落語もですね」
「ソマリア文化になっている」
「そしてアフリカ系の者が行っている」
「そうなのですね」
「そうだ、しかもそのアフリカ系の者の目は紫だった」
 ケルト系の目の色の一つだ、ケルト系でもこの目の色の者は滅多にいないという貴重な色の目の一つである。
「そうしたものも見た」
「そしてそれが連合ですね」
「複雑に混ざり合いですね」
「変質していき」
「同じ名前でもですね」
「あらゆるものが変わっていっている国なのですね」
「そうだ、あの国は特に極端だが」
 変化し続けている人類の国の中でもというのだ。
「他の国も同じだ」
「エウロパもですね」
「そしてサハラもそうであり」
「ひいてはこのマウリアもですね」
「この国もですね」
「そうだ、この世で変わらないものはない」
 それこそ何一つとしてというのだ。
「千年の間に本当に変わっている」
「だからですね」
「これから我々がどうなっているか」
「わからないですね」
「国の名前は同じでも」
「中身が違っていたりしますね」
「その通りだ、そしてそれは人間ではわからない」
 未来、そちらはというのだ。
「どうもな、それで話を変えるが」
「はい、何でしょうか」
「次の話は」
「今度連合中央政府から舞台に誘われている」
 ジャバルはいささか表情を柔らかくさせて側近達に話した。
「あちらの舞台にな」
「ミュージカルか京劇か歌舞伎か」
「どれでしょうか」
「歌劇だ」
 そちらだというのだ。
「それもイタリアオペラだ」
「連合のですか」
「それをですか」
「そうだ、こちらで上演するとのことでだ」
 それでというのだ。
「中央政府の大使から誘われている」
「あちらからですか」
「中央政府の大使からですか」
「直接、ですか」
「お誘いがありましたか」
「連合では歌劇は原語で上演されることが多い」
 イタリア語なりドイツ語なりでだ、英語やスペイン語といった連合で多く使われている原語がそれぞれドイツ語、イタリア語やフランス語に近いのでその辺りは方言の様に使われているのだ。
「何でも原語がだ」
「一番いい」
「その原語で歌われる方がですか」
「だから敵であるイタリアやドイツの言葉でも使っている」
「そうなのですね」
「あの国はその辺りは柔軟だ」
 連合という国はというのだ。
「非常にな、それでだ」
「あの国はですね」
「そうした国ですか」
「だから今回もですか」
「原語での上演ですか」
「オテロを上演するらしい」
 ヴェルディ最晩年の傑作の一つだ、シェークスピアの悲劇を歌劇にしたもので主人公はムーア人即ち黒人である。
「マウリアにまで連合屈指の歌手をマウリアに呼んだらしい」
「わざわざですか」
「そうしてくれたのですか」
「あの国は」
「大使が」
「外務省から特別に予算を出してだ」
 そうしてというのだ。 
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