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曇天に哭く修羅

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第一部
  歴然

 
前書き
_〆(。。) 

 
黒鋼焔(くろがねほむら)》と《クリス・ネバーエンド》を先頭に《立華紫闇(たちばなしあん)》《エンド・プロヴィデンス》、《的場聖持(まとばせいじ)》、《江神春斗(こうがみはると)》を含めた6名は【龍帝学園】の体育館へと来ていた。


焔とクリスが戦う為だ。


【魔術学園】に在る体育館は一度に何百人もの学生魔術師が実戦訓練を行う前提で作られているので生半可な実力しかない【魔術師】や【超能力者】には破壊することが出来ないくらい頑丈であり、床には戦闘する者を周囲と隔離してバトルフィールドを作る『結界/バリア』の発生装置も設置されている。


「クリス・ネバーエンドだったね。あたしは皆と違って律義(りちぎ)にルールを守るような人間じゃないよ? 普通のラウンド制は無視するし、君が倒れてしまっても立ち上がるまで待つなんてことはしないから」

「上等よ。あんたのお望み通りストリートファイトの実戦仕様に付き合ってあげるわ。ルール有りにしなかったことを後悔させてあげる」


クリスと焔が向かい合った。


「さて、結界は要らないか。君達も流れ弾を気にするような実力じゃないだろうし」


紫闇や聖持は焔に頷くと壁際へと移動して白銀の【魔晄/まこう】による防壁を展開し、二人の少女が繰り出す攻撃が逸れて自分達の方に飛んできた場合に備える。


クリスは獰猛に笑い、焔は不敵に笑いながら互いの【魔晄外装】を顕現させた。

焔の右腕は黒く分厚い籠手のような装甲。

クリスの両手には金色に光る大型拳銃が握られ周囲に巨大な鎧の一部に見える腕が浮かぶ。


「ふーん。あんたも彼処(あそこ)に居るタチバナシアンと同じで『規格外』の外装なのね。【異能】が宿っていないゴミタイプ。でもあいつとおんなじでそんなの関係無いんでしょ?」


クリスは紫闇が予選試合で外装と基本の魔晄操作だけを使い無双していたのを見ているので相手が規格外と言えど気を抜いたりしない。

圧倒的強者の匂いがするなら尚更。


(ハルトの言っていた言葉通りに受け取るならこの女はタチバナシアンの師匠。それならハルトと戦うつもりで()らせてもらうわ!)


クリスは開始の合図無しに両腕を上げて焔に銃口を向けると撃って撃って撃ちまくる

その最中、外装の異能でクリスの周囲に円柱が何本も召喚され次々とフタが開いていく。

見えたのは無数の弾頭。


「ミサイルポッドか。派手だな」


エンドが呟くと焔の身長ほど有る小型ミサイルが何百と発射され、それらの全てが寸分違わず焔の元へと飛来して急襲を仕掛ける。


「相変わらずだなぁあの娘」


聖持は入学初日に見たのと同じでクリスが得意とする手数と高火力の広範囲攻撃で相手を逃がさないゴリ押しの正面突破に苦笑い。


「確かにクリスの火力なら防御力の有る異能無しで耐えられる魔術師は多くないだろう。だがしかし、お前の正面に立っている黒鋼焔はその『多くない』分類に入る」


そう言い放つ春斗に限らず他のクリスと焔の戦いを見ている者も判っていた。

この戦いでクリスが勝つことは無いと。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ブゥゥレェイカアアアアアアアッッ!!」


絶叫するクリスからトリガーハッピーに押し寄せる波の如き勢いで銃弾・砲弾・弾頭が対峙する焔に対して押し潰すように到来。


(攻撃の密度は有るね。だけど)


焔は展開していた魔晄防壁を膨らませて防壁を強化すると[黒鋼流練氣術・三羽鳥ノ一・盾梟(たてさら)]を発動し、全ての攻撃を弾き飛ばす。

召喚する重火器と延々続く爆発的な大火力による攻撃から『爆裂戦姫』という渾名(あだな)で呼ばれるようになったクリスの攻撃力が通じない。

カメラフラッシュのように視界を埋め尽くす無数のマズルフラッシュと頑丈な体育館の床や壁を削っていく異能の着弾に爆風は焔を包み込んで途切れることは無いが、焔はまるで微風程度にすら感じていないかのように余裕の笑みを浮かべ続けている。


(今の紫闇でも暫くは耐えられるくらいの攻撃力なんだろうけど、流石にネバーエンドの魔晄が切れるまで浴びてはいられないだろうからな。焔さんは当然のように大丈夫なんだが)


聖持は焔とクリス、二人の間に存在する隔絶した力の差を正しく認識していた。

闘技者としての次元が歴然なのだ。


「あああああー! もおおおおー! 腹っ立つわねええええー! こんなんで(ひる)むタマじゃないでしょうアンタは! さっさと本気出しなさいよおおっ! それともあたしの強さにビビってんのおッッ!?」


聖持とエンドがクリスの台詞に噴く。


「お前だって本当は理解(わか)ってるんだろう? クリス・ネバーエンド」

「違う。違うんだよクリス。『()』が」


比べることが烏滸(おこ)がましい。


「うーむ。君は随分『強さ』という概念に執着してるんだねクリス。何か理由でも?」

「決まってるわッ! 馬鹿にされたくないッ! 見下されたくないッ! 逆にそういう風に私を見るクソッタレをブッ壊して魔術師の頂上に登るッ! そして私がどいつもこいつも見下す! その為に私は世界最強にならなきゃいけないのよッッ!!!」


焔はクリスの答えが気に入ったのか笑みが深く凶暴なものとなり、顔貌(がんぼう)に鬼を宿す。


「素敵な夢じゃないか。でも───」


次の瞬間、クリスの体がコの字に折れて吹き飛び体育館の壁に激突する。

遅れて轟音が鳴り突風が吹き荒れた。

クリスが立っていた辺りには何時の間にか拳を振り切っていた姿勢の焔が。


世界最強(そのばしょ)は私の夢でもあるんだよ」

 
 

 
後書き
_〆(。。) 
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